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2016.8.18

IRIDeS研究者、河北新報社を訪問 -「新聞ができるまで」を見学― (その3)

 

5.新聞は読者とともに

 

河北写真5 新聞をめくる朝刊が発行後、その日の午前中のうちに全部長が集まり、20~30分程度、朝刊反省会議を行います。

 

例えば、見学会の日の朝刊については、おおむね妥当な内容であった、という見方が大勢であったそうです。

 

しかし、「この事件について、もっと違う角度の話はなかったのか」「このスポーツ記事は、中身を表現する見出しをつけるべきだった」「この記事は文章が頭に入ってきにくい。もっとかみ砕くべきだった」などの意見も出されたとのことです。

 

今野次長は、数分単位の戦争状態で紙面を作る厳しい現場の状況を知りつつも、ちゃんとした商品を作るという意味で、冷静にやらなくてはと話します。読者目線から紙面を反省し、改善につなげる努力を怠らないことがわかりました。

 

 

見学会出席者は、今野次長とともに、あらためて新聞を1ページずつめくり、内容を確認しました。

 

新聞は色々な記事が載る「一覧性」が特徴です。従来の記事のありかたを見直し、改革も随時試みているそうですが、例えば「株式」や「食品市況」欄を縮小したり廃止したりした際は、その記事の愛読者からの猛抗議を受け、元に戻したこともあるそうです。

 

「新聞に大胆な改革も必要ですが、ずっと続けてきたことをやめることも難しいのです。多くの読者は、どこの面にどんな記事があるかに慣れ親しんできているので、それを変えてしまうと、部数が落ちてしまうのが難しい」

 

河北新報には読者がよく電話してこられますが、9割は「お叱り」の電話です。一般読者のごく一般的な反響は、実際のところなかなかわからない、とのことですが、今野次長が「読者からのお叱り」に言及する時は、どことなく嬉しそうでもあり、新聞社が地域の長年の愛読者に支えられていることを感じました。

 

 

6.新聞は非常に特殊な「装置産業」

 

河北写真6 印刷センター見学会では、 仙台市泉区にある印刷センターも訪れました。印刷センターでは、若生・河北新報印刷センター常務取締役が、主な説明役です。

 

 

河北新報社は、新聞印刷用として一般的な「タワー型オフセット輪転機」を4セット使っています。超高速(時速46km)で印刷できる、新聞印刷用に特化した特殊な機械です。

 

できるだけ新しいニュースを盛り込み、大至急で印刷し、読者のもとへ届けます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河北写真7 印刷センター内部この輪転機は4セットで80億円もするそうで、耐用年数は15~20年です。つまり、15年で80億円を回収し、入れ替える必要があります。

 

今野次長によると、「新聞は高いとよく言われますが、この装置代が料金に入っているのです。また、紙代も非常にかかります。」

 

「通常の業態で、一番コストがかかるのは人件費ですが、新聞社に限っては、総人件費より資材代のほうがはるかにかかるのです」

 

「新聞は非常に特殊な装置産業。細々と利益を上げてはいるが、全く儲かりません」。

 

昨今はネットに押され、厳しい状況にはあるということです。

 

 

 

 

 

河北写真8 印刷センター内部 ヘルメット河北新報社は自前の印刷を行うと同時に、他の新聞社の印刷も代行で受託しています。

 

ヨーロッパなどでは、ほとんどの新聞社が印刷工場を持っておらず、出資して会社を別に設立し、順番に使っていますが、この形態では、一社の思い通りには印刷できず、締め切りが早まるなどの問題もあるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河北写真9 印刷センター 新聞が運ばれるヘルメットをかぶって輪転機のそばで見学しましたが、強いインクのにおい、超高速で新聞を印刷し、自動で仕分ける巨大機械、そのそばできびきびと働く人々の様子は、ただ圧巻の一言でした。

 

朝刊印刷担当者は、午後8時出勤、印刷とメンテナンスを終えると、帰宅は朝の4~5時ころ、とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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