災害情報認知研究分野

災害科学国際研究所トップページ > 研究所組織 > 人間・社会対応研究部門 > 災害情報認知研究分野

教授: 邑本 俊亮杉浦 元亮 助教: 野内 類(兼)
 防災・減災・復興のあらゆる側面で人間の認知・行動が重要な役割を果たす。本研究分野では、複雑な物理・社会的環境における人間の知覚・行動の認知過程に関する基礎研究を行うとともに、その成果をより人間の認知特性に適した防災・減災・復興のシステム設計に反映させる応用研究を行う。基礎研究では、知覚する情報の形式・内容とそれを取り巻く文脈、これらを知覚する主体の知識・心情・期待・自己と社会の認識、これらが統合され判断や行動に反映される認知過程について、その特性・メカニズムを様々な心理学・認知科学・脳科学的手法を用いて明らかにする。応用研究では、基礎研究の成果を応用し、認知科学的な根拠に基づいた防災教育・訓練、災害時の情報発信・伝達、応急対応のシステム設計、街作りや復興のありかた等について提言を行い、実証的な研究を展開する。現在推進中のおもな研究は以下のとおりである。
 
(1) 災害を生きる力に関する認知神経科学研究
 東日本大震災の様々な場面で危機回避や困難克服に貢献した個人の性格・考え方・習慣(生きる力)について、脳内の情報処理特性に還元する。これまでに、被災者78名を対象に被災体験と生きる力に関する見解を聞き取り調査し、発災直後と応急・復興フェーズで異なる生きる力が貢献していたことを明らかにした。さらにそこで得られた見解をまとめ、被災者3600名にアンケート回答を依頼した。約1400名分の回答を因子分析した結果、①人をまとめる力、②問題に対応する力、③人を思いやる力、④信念を貫く力、⑤気持ちを整える力、⑥きちんと生活する力、⑦人生の意味の自覚、⑧生活を充実させる力、の8つの生きる力因子を抽出した。今後、各因子の脳内基盤の解明を進め、その成果を新しい防災・減災・復興のプロトコールに反映させる。
 
図1 聞き取り調査の様子
 
 
図2 質問紙調査
 
 
 
図3 8つの生きる力
 
 
(2) 災害シュミレーションゲームブックの開発
 心理学・脳科学の知識を応用した災害教育ゲームを開発している。知識と災害時の対応力を伸ばすことで、個人と社会全体が災害に対して賢く対応できるようになることを目指している。ゲームでは参加者が物語の主人公となり、災害に関連した様々な状況でどのように行動するのかを判断する。自分の選んだ行動によって、次の状況が変化していくという特徴がある。教育効果として、ゲームブックを用いた災害学習群の方が、「次に災害が起こったら、自分で対応・対処できる」と回答するようになっていた。これまで小・中学生を対象にゲームを用いた災害教育を行ってきており、今後は、災害教育の対象を高齢者まで広げていく予定である。
 
 
図4 災害シュミレーションゲームブックの概要

 

 

図5 災害シュミレーションゲームブックを用いた災害教育の風景

 

 

 

図6 ゲームを用いた災害教育前後の災害に対する対応能力の前後の変化

 
 

当分野では,「災害・認知・脳科学研究会」を開催しています。

 

 

8つの「生きる力」質問紙

最終更新 2015/07/07

東北大学災害科学国際研究所「災害を生きる力」プロジェクト

  • 本質問紙は研究・教育目的にご自由にお使いいただけます。
  • ご使用の際に、体裁・デザインやID等記入欄を適宜改変して頂いて結構です。
  • 冒頭の指示や設問文を改変すると回答の学術的な価値は失われますのでご注意ください。
  • 質問紙の再配布,並びに質問紙の販売を含む商業的利用を禁じます。
  • リンクはファイルではなくウェブページに張って下さい。
  • 本質問紙の詳細は以下の原著学術論文(英語)に掲載されています。オープンアクセス(無料ダウンロード可能)です。公的な文書での言及や、研究成果の発表に当たっては必ず引用してください。

原著学術論文

Sugiura M, Sato S, Nouchi R, Honda A, Abe T, Muramoto T, Imamura F. Eight personal characteristics associated with the power to live with disasters as indicated by survivors of the 2011 Great East Japan Earthquake Disaster. PLOS ONE, 10(7), e0130349, 2015.
 
8つの「生きる力」質問紙のダウンロード