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平成25年度 特定プロジェクト研究【学外/連携研究】(採択課題)

東北大学災害科学国際研究所の使命は、東日本大震災における調査研究、復興事業への取り組みから得られる知見や、世界をフィールドとした自然災害科学研究の成果を社会に組み込み、複雑化する災害サイクルに対して人間・社会が賢く対応し、苦難を乗り越え、教訓を活かしていく社会システムを構築するための「実践的防災学」の体系化とその学術的価値の創成である。

平成24年度は【所外/共同研究】として広く募集をしたが、平成25年度は研究所における国内外の研究戦略に合致したプロジェクトを展開するために、協定関係等にある大学機関との連携研究を募集し、採択した。

ここでは、平成25年度特定研究プロジェクト【学外/連携研究】として採択された研究課題を掲載する。

【学外/連携研究】

  • 研究種目(a)「海外大学(協定校等)との連携研究及び戦略的海外連携研究」
  • 研究種目(b)「被災地の国立大学との連携研究」
  • 研究種目(c)「国内の連携国立大学との連携研究」

研究種目(a)

a-1 TerraSAR-Xによる津波被災地モニタリングと建物被害把握技術確立に向けての国際共同研究
連携機関 ドイツ航空宇宙センター
研究代表者 越村俊一(災害リスク研究部門・広域被害把握研究分野)
所内共同研究者 エリック・マス
所外共同研究者 Joachim Post(ドイツ航空宇宙センター),Christian Geiβ((ドイツ航空宇宙センター)
研究の概要 ドイツ航空宇宙センター(DLR)と連携し、合成開口レーダー衛星TerraSAR-Xによる東日本大震災の津波被災地の解析を通じて、今後起こりうる世界の巨大災害による被災地の迅速な被害把握手法を確立・一般化する。特に、災害対応の基礎的情報として最も重要になる「建物被害程度」に関する情報をTerraSAR-X画像から取得すための技術を確立することを目標として共同研究を実施する。得られた成果は、宇宙機関を中心とする災害管理に係る国際協力枠組み、通称「国際災害チャータ」に実装することを前提として国際展開を図る。
a-2 米国地質研究所との連携による津波堆積物調査,分析法の高度化
連携機関 米国地質研究所
研究代表者 後藤和久(災害リスク研究部門・低頻度リスク評価研究分野)
所内共同研究者 菅原大助
所外共同研究者 Bruce Jaffe(米国地質研究所),Bruce Richmond(米国地質研究所)
研究の概要 米国地質研究所の研究者と共同で、津波堆積物調査法および分析法を高度化するための技術開発を行うことを主目的とする。具体的には、軽量かつ少人数で掘削コアを採取できるシステムを構築し、東北地方太平洋岸で試料採取を行う。また、粒度分析法の改良を行い、迅速かつ高精度で解析結果が得られるとうにする。こうして得られた調査および粒度データを用いて逆解析モデルを適用することで、2011年東北地方太平洋沖地震津波や過去の津波の水理量(流速値など)を推定する。本研究の過程で行われる掘削装置開発や粒度分析法の高度化、ならびに逆解析法の適用は、国内外に向けて公開し、今後各地で津波堆積物を実施する大学、民間企業、行政機関などに提供する。これにより、被災地のみならず今後来るべき津波を想定する必要がある各自治体の防災計画立案に、津波堆積物調査結果を迅速に反映させる体制を整えることができるようになると期待される。また、津波堆積物調査の迅速化と分析の高度化は、国際的にも強く望まれており、本研究の成果は世界各地の低頻度津波リスク評価の迅速化に大きく貢献できると考えられる。
a-3 水災害軽減のための流体力学の活用
International workshop on the application of fluid mechanics to disaster reduction
連携機関 スタンフォード大学
研究代表者 ブリッカー ジェレミー ディビッド(災害リスク研究部門・国際災害リスク研究分野)
所内共同研究者 今村文彦,真野明
所外共同研究者 Stephen Monismith(スタンフォード大学),Solomon Yim(オレゴン州立大学),Blair Greimann(US Bureau of Reclamation),Frank Wu(US Army Corps of Engineers),Gary Chock(米国土木学会),Kwok Fai Cheung(ハワイ大学),栗山善昭(港湾空港技術研究所),灘岡和夫(東京工業大学),高木泰士(東京工業大学),中山昭彦(神戸大学),石川忠晴(東京工業大学)
研究の概要 The goal of this waorkshop is to clarify the current state of the art in hydraulic modeling applied to disasters (such as tsunamis,river floods,and storm surge),and to gain consensus on where the critical areas lie in which further research is needed. The experts to be convened thus include academics involved in developing these models, practicing engineers and researchers who apply the models to specific problems, and government officials who guide development decisions based on the results of these models. Bringing these various parties together is important for model developers to determine whether practitioners are applying models correctly, and for practitioners to give feedback to the developers about the situations in which models are most useful and improvements are needed. It will also allow researchers from the US and Japan to learn each other`s techniques and thereby improve their own skills. The outcome of the workshop will ideally be formation of a consensus between developers and practitioners, Japanese and Americans, about the course for the hydraulic modeling profession to take as climate change is causing the application of hydraulic models to proliferate.
a-4 ニュージーランド・日本における沈み込み帯地震研究国際連携ネットワークの構築
連携機関 カンタバリー大学
研究代表者 岡田知己(災害理学研究部門・地震ハザード研究分野)
所内共同研究者 日野亮太
所外共同研究者 Martin Reyners(GNS Science),Jarg Pettinga(カンタバリー大学),Rick Sibson(オタゴ大学),飯尾能久(京都大学),松本聡(九州大学),伊藤喜宏(東北大学大学院理学研究科)
研究の概要 震源域が都市部に近接していることから大きな災害を引き起こす内陸地震については、これまで発生機構が十分理解されていない。そのためには多くの内陸地震のサンプルを詳細に研究する必要がある。一方、これらの発生頻度は数千年_数万年であり、日本国内のみでは大規模地震のサンプルを増やすことが出来ない。また、内陸地震の発生源となる応力場の理解のために、プレート境界での固着・すべりの把握と内陸地震との相互作用の理解も重要な課題である。そこで、国内および、沈み込み帯としてテクトニクス的に類似したニュージーランドの研究機関と協力し、ネットワークを構築することで、発生機構の理解を推進する。東北大学を中核とし、従来より協力関係にある京都大・九州大・ニュージーランド(GNS Science、カンタバリー大学、オタゴ大学)との研究ネットワークの構築を行う。
a-5 サバイバーズ・バディ(ロボット)を用いた捜索・救援の基礎的研究
連携機関 テキサスA&M大学
研究代表者 江川新一(災害医学研究部門・災害医療国際協力学分野)
所内共同研究者 田所諭
所外共同研究者 Robin R. Murphy(Texas A&M 大学)
研究の概要 災害時に被災者がどのような支援を必要としているのかをアセスメントし、必要な支援を届けることは、地域全体としてのマクロレベルと個別の被災者対応のミクロレベルの両方で必要である。空域、水域、陸域のそれぞれにおいて自律的に動くことのできるロボットを用いて被災者の心理的・生理的情報を収集し、またロボット(サバイバーズ・バディ)の動きと被災者の相互反応を測定する基礎的検討を行うための国際共同研究。国内でボランティアのべ20名に参加してもらい、被災シュミレーションとロボットの動きに対する心理的・身体的反応を計測し、より適切な災害対応、捜査・救援活動の開発を行う。
a-6 「人間の安全保障」に基づく国際的災害医学教育研究連携体制構築
連携機関 エンジェルス大学
研究代表者 服部俊夫(災害医学研究部門・災害感染症学分野)
所内共同研究者 江川新一,富田博秋,小野裕一,泉貴子
所外共同研究者 福本学(東北大学加齢医学研究所),Arturo Ppesigan(WHO神戸センター),Razel Kawano(Angeles University Foundation),Elizabeth Telan(De La Salle University College of Medicine),Bacthi Alisjahbana(Padjadjaran University)
研究の概要 「人間の安全保障」の観点から、災害医学の国際的な教育研究の連携体制を構築する。アジア地域、特にフィリピンとインドネシアと連携し、災害医学教育のニーズを明らかにする。1)実態調査と交流の実施 2)教育プログラムの導入検討 3)教育上の連携検討 4)情報交換と発信の4つを目的として、同地域で災害医学プログラムを実施するための調査、カリキュラム内容の検討、実施に向けた制度設計などを行う。
a-7 ハワイ大との学際的リスク研究推進のためのネットワーク構築
連携機関 ハワイ大学
研究代表者 浩日勒(災害医学研究部門・災害感染症学分野)
所内共同研究者 服部俊夫,今村文彦,保田真理,菅原大助,馬奈木俊介
所外共同研究者 Denise Eby Konan(ハワイ大学),Kwok Fai Cheung(ハワイ大学),Lishomwa C. Ndhlovu(ハワイ大学),Vivek R. Nerurkar(ハワイ大学),Velma Kameoka(ハワイ大学)
研究の概要 本年度、災害リスク、感染症、経済被害などのリスク研究に関する学際的なテーマについてのネットワークを構築するために合同ワークショップを行う。全体の会議(3つの分野で日米のスピーカー)に続き、各分科会を開催し、最後に、合同なテーマについて議論する。共通のテーマについては、リスクに関する啓発・教育、さらに2015年国連防災世界会議に向けた協働の研究体制についても議論を行う。 災害リスクでは、地震や津波のリスク評価の高精度化、さらには解析結果の公表と周知、防災教育プログラムなどの検討をおこなう。災害感染症として、まず蚊媒介感染症のデング熱、水によるレプトスピローシスなどの研究を主として行い、また日本人に多いHTLV-1研究の学際的共同研究を行う。これらの感染症はハワイに散発的に発生する感染症で、既にハワイ大学のエイズセンターとその早期発見のバイオ-・マーカーに関する共同研究を行っている。最後に、経済的な面からの特徴が災害にはある。自然災害は、発生の時点と地点さらに被害の大きさの予測が困難であることを特徴とする。しかし、事前あるいは事後における措置によっては、その被害の規模を縮小することが可能であり、政府はその主たる役割を担う。東日本大震災においても、被害の予測の難しさは観察されている。現在、甚大な被害をもたらした東日本大震災から一定期間が経過し、復興へ向けた議論が活発になっている。その際、被災地域の社会活動の再建・復興と建築物のインフラの整備は強く結びついており、被災前の状況と比較しつつ、社会・経済面を考慮して復興計画を立てる必要がある。
a-8 震災アーカイブの国際標準化及び相互連携に関する研究
連携機関 ハーバード大学
研究代表者 柴山明寛(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
所内共同研究者 佐藤翔輔,今村文彦
所外共同研究者 Andy Gordon(ハーバード大学),Nick Kapur(ハーバード大学),Molly Des Jardin(ハーバード大学)
研究の概要 みちのく震録伝は、ハーバード大学エドウィン・0・ライシャワー日本研究所と1年半以上の渡り、双方の震災アーカイブについて議論を交わし、震災アーカイブに関するシンポジウム等を共同開催するなどを行った。また、研究者の学術交流と研究促進のために柴山がハーバード大に2回の訪問、また、ハーバード大の研究者が複数回に渡って本学に来訪し、直接研究の議論を交わした。これらの議論の中で、震災記録の一部の連携等が実現された。 本研究では、さらなる震災アーカイブの研究を推進するためにハーバード大学と共同で震災アーカイブの国際標準化及び相互連携に関する研究を実施する。具体的には、ハーバード大学のJDArchiveとみちのく震録伝のシステムの相互連携強化及び、震災記録の国際展開、震災アーカイブの国際標準化、震災記録の利活用、相互システムの技術協力・共同開発を実施する。
a-9 津波被害からの早期復興を支援する住宅型の開発に関する国際研究
連携機関 インドネシア大学
研究代表者 本江正茂(情報管理・社会連携部門・災害復興実践学分野)
所内共同研究者 小野田泰明,小林徹平,石坂公一
所外共同研究者 Evawani Elisa(University of Indonesia), Ikaptora(Gadjah Mada University), 塚本由晴(東京工業大学),貝島桃代(筑波大学),小嶋一浩(横浜国立大学)
研究の概要 津波被害を受けた沿岸部においては、住宅の復興が急がれている。しかしながら、被災者の多くは十分な資産を持たず、従前の広さの家の建設は経済的に困難である。さらに、仮設住宅からの通い漁業は、高齢の漁業者を疲弊させるとともに、業としての効率を著しく下げている。一方、一旦、漁が始まれば資金が回り、比較的早く建設資金が蓄積される。こうした漁業集落の特性を勘案し、小さく作って、そこに住み、漁業に専従して資金がたまった後、増築する「コアハウス」という供給方法が存在する。もともと東南アジアで低所得者向けの住宅供給方法として発展したこの手法は、インドネシア津波の復興にも大きな役割を果たし、多くのノウハウがある。しかし日本では、一般法人アーキエイドが、モデルハウスとして一棟建てたのみで、その展開には課題が存在していた。本研究では、コアハウスのプロジェクトをかの地で実践しているインドネシアの研究者・建築家と被災地で復興に関わっている日本の研究者・建築家が連動し、日本におけるその展開を実践的に進化させるとともに、その展開の成果を国際比較研究として再回収するものである。
a-10 APRU大学間協力によるマルチハザードプログラムの推進
連携機関 カリフォルニア大学デービス校
研究代表者 泉貴子(情報管理・社会連携部門・社会連携オフォス)
所内共同研究者 小野裕一,今村文彦,真野明,村尾修,池田菜穂
所外共同研究者 Jeremy Piggott(APRU事務局)、John Rundle(カリフォルニア大学デービス校)
研究の概要 環太平洋大学協会(Association of Pacific Rim Universities - APRU)は、環太平洋圏の主要大学間の相互理解を深めることにより、環太平洋地域社会にとって重要な諸問題に対し、教育・研究の分野から協力・貢献することを目的として、1997年に設立された。2012年に、当研究所は「自然災害リスク低減における大学の役割」をテーマに、第8回APRU自然災害リサーチシンポジウムを主催し、このシンポジウムを契機に、東北大学は今後の災害科学分野におけるネットワーク強化を目指し、APRUにおけるマルチ・ハザード分野でのハブ機能を務めることになった。このプログラムの主な活動として、APRU事務局(在シンガポール)との実務者会合、3日間のサマースクール及び第1回コアグループ定例会議の開催、報告書作成、政策提言のためのリサーチ等を予定している。
a-11 グローバル自然災害研究に関する連携強化プロジェクト ―ロンドン大学との連携
連携機関 ロンドン大学災害リスク軽減研究所
研究代表者 サッパシー・アナワット(地震津波リスク研究部門)
所内共同研究者 今村文彦,真野明,源栄正人,奥村誠,富田博秋,小野裕一,遠田晋次,Ingrid Charvet
所外共同研究者 Peter Sammonds(IRDR)
研究の概要 東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)とロンドン大学災害リスク軽減研究所(IRDR)は2012年3月から災害に関する共同研究の覚書の下、両研究所の各研究分野の日英学術交流を開始している。さらに、連携の強化を図るために、IRIDeS側(災害リスク、人間・社会対応、災害理学、災害医学、情報管理・社会連携研究部門)の担当教員とIRDRのパートナーから各研究課題を総合的な災害研究の観点で解明する。

研究種目(b)

b-1 風評被害を克服する食料生産・供給体系の構築に関する調査研究
連携機関 宮城教育大学,福島大学
研究代表者 増田聡(人間・社会対応研究部門・防災社会システム研究分野)
所内共同研究者 邑本俊亮,柴山明寛
所外共同研究者 関根良平(東北大学大学院環境科学研究科),小田隆史(宮城教育大学),小金澤孝昭(宮城教育大学),高木亨(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター),佐々木達(札幌学院大学)
研究の概要 福島県および宮城県など、原発事故による放射能汚染とその風評被害にみまわれている近隣諸県の地域を対象として、発災から2年を経ても未だ復旧途上にあるといえる農業生産部門の被害、および震災後の農産物の流通体系の変容、さらには消費者の購買行動と意識までを実証的・連続的に調査・記録し、それらを統合的に検討することで、被災地復興のうえで大きな障害となっている風評被害の全体構造を明らかにする。以上の検討を通じ、被災地における第一次産業が目指す方向性と災害に強い安全・安心な食料供給体制のあり方、そしてそれを具体化するための、被災地の実情に根差した農村/都市を含めた包括的な地域デザインを提示することで、現在進行形である風評被害の抑止と真の意味での復興にむけた実践的方策を明らかにする。
b-2 被災地の商業機能再建モニタリング調査
連携機関 宮城教育大学,福島大学
研究代表者 花岡和聖(地域・都市再生研究部門・都市再生計画技術分野)
所内共同研究者 石坂公一,小野田泰明,増田聡
所外共同研究者 磯田弦(東北大学大学院理学研究科),小田隆史(宮城教育大学),高木亨(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター),小金澤孝昭(宮城教育大学)
研究の概要 被災地の商業地は、地域リーダーの存在、外部からの専門的・技術的支援の有無、行政との協働体制のいかんによって、その地域の中心地としての機能が大きく損なわれる可能性がある。本課題は、昨年度特定プロジェクト研究「津波被災地の商業機能再建モニタリング調査」(研究代表者:磯田弦)で収集された個別の経営者の再建意向に関するデータを継承し、追跡調査するとともに、対象地域を原発事故被災地に拡大する。本年は、復興計画の具体化やグループ化補助金の採択などによる再建意向変化を半構造的インタビューにより調査し、復興に向けた必要条件を特定する。また、随時、当事者へ調査結果をフィードバックし合意形成および街の将来像の具体化に貢献することを目的とする。
b-3 災害文化教育カリキュラムの構築
連携機関 岩手大学
研究代表者 今村文彦(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
所内共同研究者 佐藤翔輔
所外共同研究者 阿部恒之(東北大学大学院文学研究科),山口浩(岩手大学),佐々木誠(岩手大学)
研究の概要 雪国に見るように、高頻度の災害は、その対策が災害文化として地域に定着し、被害が最小限に抑えられている。しかし東日本大震災のような大規模災害は、頻度が低いがゆえに、災害文化が成立し得ない。それが被害を一層深刻なものにしたという側面を見逃すことはできない。次の大震災・津波を前に、それに対応した災害文化を成立させ、定着させることは、災害科学研究の極めて重要な課題である。 そこで東日本大震災を教訓に、学術的アプローチによって大震災・津波の災害文化を生成し、それを次世代につなぐための実用的な災害文化教育カリキュラムを構築する。 本研究の構成は以下の通り。 a. 「備え」の災害文化研究:最新際・津波被害を抑制するための「知恵」の集積 b. 「被災後」の災害文化研究:災害後の心身・暮らしを守る「知恵」の集積 c. 教育カリキュラム化:集積した知恵の効果的伝達法の開発
b-4 超広域災害における災害対応支援NPOの効果的な連携モデルの構築
連携機関 岩手大学
研究代表者 佐藤翔輔(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
所内共同研究者 今村文彦,増田聡
所外共同研究者 麦倉哲(岩手大学),会津泉(多摩大学)
研究の概要 わが国では阪神・淡路大震災を契機にNPO団体による災害発生後のボランティア活動が本格化・常態化した。東日本大震災においても多くのNPO団体がボランティア活動に従事したが、被災地域が広域にわたるだけでなく、活動期間も長期化したため、これまでにない複数団体間の連携による弾力的・継続的な体制や活動が必要となった。本研究では、前例のないこのような実態を明らかにすることをねらいとして、東日本大震災における被災地支援活動に従事した主要なNPO団体を対象に、超広域にわたる支援に必要とされた複数主体による連携とICT活用に焦点をあてた実態調査と比較分析を通して、来る南海トラフ巨大地震・津波災害を念頭においた災害対応支援NPOの効果的な連携モデルの導出を目指す。
b-5 新たな共助のプラットフォーム創出に向けた被災地での実証・実践
連携機関 宮城教育大学
研究代表者 佐藤健(情報管理・社会連携部門・災害復興実践学分野)
所内共同研究者 藤岡達也
所外共同研究者 瀬尾和大(宮城教育大学),野澤令照(宮城教育大学),小田隆史(宮城教育大学),村山良之(山形大学)
研究の概要 東日本大震災後に設立された、本研究所及び隣接する教員養成系国立大学である宮城教育大学の付属教育復興支援センターに所属する研究者らとともに、震災後の被災地において、学校を中心に他の主体が連携して新たな防災教育のあり方を模索するネットワークの現状や課題を把握し、同時にその組織化の支援を目的とする。 事例地域において、共同研究、研究会、次なる災害を想定したワークショップなどの実践を通じて、学校、社会教育施設、行政やNPO、消防団、医療従事者、福祉士、看護師等の有資格個人が、地域防災や災害対応に関連する組織の、新たなネットワーク化の方途を検討する。 そうした成果を踏まえ、震災の経験を踏まえた新たな共助の実践ハンドブック作成に向けた予察的実証・実践型研究を試みる。こうした協働作業を通じて、被災地の復興をはじめ、次なる災害の発生における共助の体制づくりに貢献していくことを目的とする。

研究種目(c)

c-1 東日本大震災における避難所医療関係資料の保存・活用に関する研究―石巻市を中心に―
連携機関 神戸大学
研究代表者 平川新(人間・社会対応研究部門・歴史資料保存研究分野)
所内共同研究者 江川新一
所外共同研究者 奥村弘(神戸大学),川嶋隆久(神戸大学),石橋悟(石巻赤十字病院),佐々木和子(神戸大学),水本有香(神戸大学),川内淳史(関西学院大学),板垣貴志(神戸大学),古川圭太(神戸大学),兒玉州平(神戸大学)
研究の概要 東日本大震災時、石巻赤十字病院は、「石巻医療圏」の唯一の災害拠点病院として、医療救護活動を進め、災害医療コーディネーターとしての任を果たした。震災直後から、3600余の医療救護チームを統括し、300ヵ所に及ぶ避難所から継続的に情報収集をおこない、そのニーズに応えてきた。現在、石巻赤十字病院医療社会事業部救護資料室には、当時作成・使用された医療記録や避難所調査資料などが保管されている。この資料郡は、震災時の医療支援や救急医療の基礎資料(医療記録)であるとともに、避難所調査資料等から、石巻医療圏の避難所の全体像を把握することができる貴重な震災資料でもある。 本研究では、これまで震災資料として研究がなされてこなかった、個人情報が多く含まれ、医療記録と避難所資料の二面性をもつ避難所医療関係資料郡について、神戸大学と連携し、阪神・淡路大震災での震災資料についての知見をいかしながら、どのように保存・活用するのかという基礎的な研究を、歴史資料学の立場から医学と協力して行う。
c-2 被災した歴史資料の復旧・保存に向けた中長期的救済法の実践的研究
連携機関 神戸大学
研究代表者 天野真志(人間・社会対応研究部門・歴史資料保存研究分野)
所内共同研究者
所外共同研究者 吉川圭太(神戸大学),内田俊秀(京都造形芸術大学),竹原万雄(東北芸術工科大学),吉原大志(人と防災未来センター)
研究の概要 津波や台風など大規模自然災害の発生と被災により、各地に伝存する多くの歴史資料は劣化・消滅の危機に瀕する。災害の発生は、災害の種類や発生時期・場所によって被害状況は異なるため、水損被害を受けた歴史資料への対応方法も、様々な状況を想定し、それに即応した体制作りの迅速化が求められる。そのため、こうした歴史資料の被災対応と継承に向けた取り組みについて、今回の東日本大震災時の津波被災対応に加え、これまでの先行事例や各地の持続的事業を総合し、専門的修復業務との連関させた、実践形態と普及の方法論について、多角的に検討していく必要がある。 本研究では、神戸大学や宝塚大学など各地で実施される関連事業と連携して、東日本大震災への対応経過を総合的に把握・検証するとともに、津波や台風・洪水など様々な被害状況に即応する普及モデルを提示するとともに、これら普及事業がおよぼす社会的意義についての解明を目指す。
c-3 大規模災害からの復興計画および実施プロセスに関する国際比較~過去・現在から未来へ~
連携機関 神戸大学
研究代表者 井内加奈子(人間・社会対応研究部門・防災社会国際比較研究分野)
所内共同研究者 姥浦道夫
所外共同研究者 近藤民代(神戸大学)
研究の概要 「土地活用」、「住宅政策」、ならびに「生活再建」は大規模災害からの復興計画とその実現で中心的な役割を担う。本プロジェクト研究では、この三項目に焦点を当て、被災地域の復興を担った国内外の専門家を交えた交流を通じて、①過去・現在の災害で明らかになった重要事項を整理すること、②明らかになった項目を進行中の復興プロセスや災害に強いまちづくりに取り込むこと、③年代や地域が異なる復興経験を横断的に比較し、鍵となる共通項を明らかにすること、さらに、④復興・防災まちづくりの国際的な交流を始動すること、を目的として実施する。対象とする復興・防災まちづくりは、【過去】として神戸市(阪神大震災)とニューオリンズ市(ハリケーン・カトリナ)を、【現在】として東北地域(東日本大震災)とニューヨーク首都圏(ハリケーン・サンディ)を、【未来】として日米で防災努力が顕著な地域(静岡市・ボストン市)を選定する。
c-4 震災の教訓に基づくモデリングとシミュレーションの発展方向の明示
連携機関 神戸大学
研究代表者 寺田賢二郎(地域・都市再生研究部門・地域安全工学研究分野)
所内共同研究者 森口周二,加藤準治
所外共同研究者 京谷孝史(東北大学大学院工学研究科),飯塚敦(神戸大学都市安全研究センター),大石哲(神戸大学都市安全研究センター),芥川真一(神戸大学),河井克之(神戸大学都市安全研究センター),浅井光輝(九州大学),橘伸也(埼玉大学)
研究の概要 東日本大震災以降、減災・防災に対するソフト的アプローチや応用研究が重視されているが、中長期の視点で考えた場合、土木構造物の設計や外力評価などのハードの発展も同様に重要な課題であり計算機能力の発展した現代においては、現象のモデリングやシミュレーションの高度化が次世代の防災・減災の大きな鍵を握る。本研究では、東日本大震災と阪神大震災という大災害を乗り越えた地域の中枢研究機関である東北大学と神戸大学が連携し、震災の教訓から得られた知見を踏まえた上で、モデリングとシミュレーションの現状分析を行うとともに、今後のモデリングとシミュレーションの方向性を示すことを目的とする。東日本大震災や阪神大震災の被災事例は、複雑現象の予測や材料・応答の不確実性の重要性を強調するものであり、事象としての「不確実」を「リスク」に転化するモデリングとシミュレーションを要求している。本研究は、この従来の枠組みでは対応できない社会的要求に応えるための基盤を構築するものである。
c-5 ニュージーランド・ヒクランギ沈み込み帯での海底地震観測
連携機関 東京大学地震研究所
研究代表者 木戸元之(災害理学研究部門・海底地殻変動研究分野)
所内共同研究者 日野亮太,東龍介
所外共同研究者 望月公廣(東京大学地震研究所),篠原雅尚(東京大学地震研究所),小原一成(東京大学地震研究所),伊藤喜宏(東北大学大学院理学研究科)
研究の概要 ニュージーランド北島の東方沖に位置するヒクランギ沈み込み帯では、継続期間数週間でマグニチュード6.5相当のスロースリップがプレート境界面で繰り返し発生している。繰り返し間隔はおおよそ2年程度であり、震源断層が深さ10km程度と浅いことはヒクランギ沈み込み帯のスロースリップの特徴である。そのため、ヒクランギ沈み込み帯では、スロースリップ域の掘削提案がニュージーランド・アメリカ・日本等の研究者から構成される研究チームによりIODPに提出されている。本研究では、IODPへのプロポーザルと連携したプロポーザルとして、海底地震計を用いた非火山性低周波微動の観測をヒクランギ沈み込み帯で実施する。海底地震観測に加えて、海底圧力計、およびGPS・音響結合方式(GPS/A)と海底間音響測距方式による海底総合地殻変動観測をH24年度からH26年度(計3カ年)に実施する。これらの研究から非火山性微動やスロースリップの時空間分布を明らかにする。さらにヒクランギと東北日本の二つの沈み込み帯との比較研究を行い、両地域における巨大地震や津波地震による津波ハザードの評価を通した被害軽減に資する新たな知見を得る。
c-6 稠密GNSS連続観測による東北地方太平洋沖地震の余効変動モニタリング
連携機関 東京大学地震研究所
研究代表者 飯沼卓史(災害理学研究部門・海底地殻変動研究分野)
所内共同研究者
所外共同研究者 三浦哲(東北大学大学院理学研究科),太田雄策(東北大学大学院理学研究科),加藤照之(東京大学地震研究所)
研究の概要 2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動把握のため、福島県南部から房総半島にかけての東日本太平洋沿岸地域において、東北大学大学院理学研究科及び東京大学地震研究所が共同で展開している稠密GNSS連続観測網のデータを取得・解析し、地震後の地表変位場を明らかにする。また。得られる地表変位場の時空間変化を基に、沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートの境界でのプレート間固着の時空間変化を推定し、推定結果の図版番化及びウェブ上へのアップロードをルーチン的に行うソフトウェアの開発を行い、東北地方下でのプレート間固着のモニタリング結果を、定期的に一般に公表できるようなシステムを構築する。
c-7 短~長期的地殻変動に基づく東北沖地震時沈降域の回復予測
連携機関 京都大学防災研究所
研究代表者 遠田晋次(災害理学研究部門・国際巨大災害研究分野)
所内共同研究者
所外共同研究者 福島洋(京都大学防災研究所),西村卓也(京都大学防災研究所),橋本学(京都大学防災研究所)
研究の概要 東北沖地震に伴う断層すべり運動により、東北地方太平洋沿岸の広い範囲が沈降した。最大120cmに及ぶ沈降により、満潮時の浸水など、現地の生活に支障が生じている。このような沈降は、東北沖地震発生前の120年間にも最大60cm程度ほぼ等速度で起こっていたことが明治以来の測量データからわかっている。一方で、地形に現れる数千年~数十万年オーダーの地殻の変形からは、少なくとも青森県・福島県・茨城県沿岸は長期的に隆起していることがわかっている。東北沖地震後の余効すべり等により、沈降域一部が隆起に転じてはいるが、巨大地震の余効変動は未解明の部分が多く、どのような時間スケールでどの程度地盤が回復するかは明らかでない。 そこで本研究では、1996年以来の精密な衛星測位システム、明治以来の水準測量・験潮、地形地質から推定される数千年~数十万年オーダーの上下変動を統一的に検討することで今後の東北地方太平洋沿岸の隆起過程の予測を行う。結果は、土地利用計画等の観点から被災地の復興・再生に資するものである。
c-8 東日本大震災の被災地における「被災者目安箱システム」の開発
連携機関 新潟大学災害・復興科学研究所
研究代表者 佐藤翔輔(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
所内共同研究者 今村文彦
所外共同研究者 井ノ口宗成(新潟大学災害・復興科学研究所),中野敬介(新潟大学災害・復興科学研究所),阿部恒之(東北大学大学院文学研究科)
研究の概要 東日本大震災は我が国が戦後において初めて経験した広域複合災害である。発災から2年が経過した現在、被災地では復旧から復興へ局面を移行しながらも、複合災害により被災者が直面している課題は多岐にわたり、難航している。一方で、広域災害により多くの被災者が被災地外で仮住まい生活を続けており、状況把握するための仕掛けは存在しない。そこで、本研究ではWebシステムとして「被災者目安箱システム」を開発し、被災者の「いまの悩みごと」をリアルタイムで把握する仕組みを確立する。本システムでは、いつでも、どこからでもアクセスできるウェブに仕組みを展開し、登録情報をもとにして、TRENDREADERによる言語処理をとおして、被災者の悩みの変化をトラッキングする。また、被災地内外や被害の有無等から投稿者の属性や発災時の状況、地域性が「被災者の悩みの変化」に与える影響を分析するとともに、成果を社会発信することで二次利用の可能性を広げ、社会の復興力の一助になることを目指す。