IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2019.11.15

「世界防災フォーラム2019」を開催しました

 2017年、第1回「世界防災フォーラム」が実施されました。世界防災フォーラムの目的は、多様な防災関係者や市民が集まって経験・知識を共有し、世界の防災の具体的な解決策を創出しながら、世界の防災指針「仙台防災枠組2015-2030」の実施を促進することです。  第2回目となる「世界防災フォーラム2019」が、2019年11月9日~12日、仙台国際センター・東北大学萩ホールにて開催されました。11月9日の前日祭に続き、翌10日から12日にかけて、50のセッション、3つの基調講演、47のポスター発表、33のミニプレゼンテーションが実施され、企業・NGO等による14の展示ブースが出展されました。本体会議には、インドネシア・フィリピン・アメリカ合衆国をはじめとする38の国・地域から871名の会議登録者が参加しました。主な参加機関は、国連を含む国際機関、国内外の政府・大学等研究機関、地方自治体、企業等です。同時開催イベント「仙台防災未来フォーラム」「第10回震災対策技術展東北」を含めると、延べ来場者数は8,000人以上となりました。仙台市主催の被災地スタディツアーも実施されまし...

2019.11.8

IRIDeSに新寄附研究部門設立

開設式にて  IRIDeSは、応用地質株式会社からの寄附を受け、2019年11月1日、新たに「都市直下地震災害(応用地質)寄附研究部門」を発足させました。この新部門は、都市部直下でおきる内陸大地震を研究し、実践的な減災案を提案していくことを目指すもので、遠田晋次教授が部門長をつとめ(災害理学研究部門兼務)、見瑶子助手・乘松君衣助手が所属します。  11月6日、この新部門の開設式が開催され、具体的な研究方針の説明が発表されました。新部門では国内外で発生した内陸地震に関する詳細な事例研究とデータベース構築等を行う予定です。また特に、近い将来仙台市街地直下で発生が懸念されている、長町-利府線断層帯による地震に焦点を当て、地震動推定や断層のズレによる被害推定を行っていきます。遠田教授は、新寄附研究部門設立にあたって、「日本の主要都市の多くは活断層直上もしくは近傍にあり、高い地震リスクに曝されています。25年前の阪神淡路大震災や熊本地震など直下型大地震の教訓を生かし、新たな予測技術を開発していく所存です。また、応用地質株式会社様のサポートを受け、産学連携の強みを生かすことで、...

2019.10.25

感染症治療薬研究の長い道のりを歩む

災害としての感染症  「災害」と聞き、一般的に思い浮かべやすいものは地震や津波などでしょうか。しかし、ウイルスや細菌が人間の体内に入り、増殖して病気を引き起こす「感染症」にも、災害と捉えられるものがあります。例えばアフリカなどで大きな被害が出たエボラ出血熱や、一部の鳥インフルエンザなどの感染症には、致死率が高い危険なものがあります。アウトブレイクの規模によっては地震や津波と同じように、広範囲で住民の避難が必要になることもあります。除染が終了するまで戻ることができない場合は、原子力災害にも似た状況となります。 児玉教授の感染症研究 白血病ウイルス治療薬開発に取り組む  IRIDeSの児玉栄一教授は、これまでさまざまな感染症の研究に取り組んできました。携わってきたのは、結核、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、麻疹、EBウイルスなどですが、中でもEBウイルスによって引き起こされる白血病に関しては、約20年にわたって治療薬開発を主導してきました。児玉教授は、「ウイルス発癌は、エボラ出血熱のように劇的ではありませんが、感染した人に知らぬ間に癌を発症させるサイレント・アウトブレイクです」と説...

2019.7.26

シンポジウムの定期開催を通じて文理融合をはかる

 災害には多様な側面があり、異なる専門分野の研究者が協力して災害研究を進めることが重要です。しかし、専門分野によって前提や手法などが異なるため、学際研究、特に文系・理系双方の立場を融合した研究を行うのは、容易ではありません。  IRIDeSの蝦名裕一准教授(日本近世史、歴史災害研究)は、2017年より毎年、文理連携シンポジウムの企画・運営を担当してきました。第3回目となるシンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開III―日本の災害文化―」は、2019年7月21日、IRIDeSにて一般公開で開催されました(IRIDeSおよび「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業東北大学拠点」の共同主催)。シンポジウムでは、津波工学研究の先駆者である首藤伸夫・東北大学名誉教授の基調講演をはじめ、蝦名准教授を含む歴史学や、工学、情報学など、文・理双方の研究者による災害文化に関する議論やパネルディスカッションが行われ、136名の参加者を得て盛況となりました。  シンポジウムについて、蝦名准教授は「回を重ねるごとに、新たな研究分野の可能性が開け、手ごたえを感じています。所外からの参加者も増加...

2019.3.8

広報室コラム 広報室長より

広報室長 伊藤 潔 副研究所長・災害医学研究部門 教授  2019 年、平成最後の時期が愈愈迫ってきました。    ちょうど50 年前、1969 年は人類がアポロ計画で初めて月に到達した年です。あの頃は、科学万能主義で、50 年もたてば、人類が月で暮すのはもちろん、地震や災害の予知も、当たり前のように解決されるものと思われていました。結果は見てのとおりで、自然現象がいかに奥深く人知の及ばないものであるか、毎年のように我々は気付かされています。そして30 年前,1989 年は、平成の始まりであるとともに、株価が史上最高値をつけ、日本経済が最高潮に達した年です。バブルという言葉はあとで振り返って付けられたものです。あの頃、渦中の人間は、私自身も含め、皆、好景気が永遠に続くと信じ、浮かれていました。予知は、人の経済活動といった身近なものでも不可能なのでしょう。ベルリンの壁が崩壊したのもこの年で、誰も予想だにしない出来事でした。そういえば、20 年前の1999 年は、空前の世紀末予言ブーム「ノストラダムスの大予言」で、地球滅亡の年とされていましたが、当然のごとく、何も起こり...

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