IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2018.11.30

スイス・ダボスにて 第2 回世界防災フォーラム開催を発表

 2018 年11 月23 日、スイス・ダボスにてグローバル・リスク・フォーラム(GRF)主催により「災害リスクマネジメントに関する国際シンポジウム」が開催され、ユネスコや欧州委員会共同研究センター、各国の防災専門家、報道関係者ら20 名が参加しました。本シンポジウムには、今村文彦所長はじめIRIDeS 教員も参加し、インドネシア・パル地震津波現地調査等の報告を行ったほか、関係者と危機管理の柔軟な解決策や人材育成の重要性なども話し合いました。最後に、ウォルター・アマン氏(グローバル・リスク・フォーラム代表)、IRIDeS の今村文彦所長(第1 回世界防災フォーラム実行委員長)、小野裕一教授(同事務局長)の三者で、第2 回世界防災フォーラムを2019 年11 月9 日~ 12 日に仙台にて開催することを発表しました。今村所長は、「第2 回フォーラムにも、国内外からぜひ多くの産・官・学・民の防災関係者に参加いただきたい」と抱負を述べました。       ----------------------------------------------...

2018.11.16

「同じ活断層がわずか6年弱で繰り返し動いた」という 常識を覆す現象を発見し、その原因を追究

「活断層は滅多に動かない」という常識を覆す   災害理学研究部門  福島 洋 准教授 活断層とは、過去に繰り返しずれ動き、将来も活動すると考えられる断層のことです。活断層が急激にずれ動くことが、内陸型(いわゆる直下型)地震の原因となります。日本には約2000 本もの活断層が確認されており、活断層の総数が多いため、ほぼ数年に1回、全国のどこかで大きな内陸型地震が起きている状況です。しかし内陸はひずみの蓄積がきわめて遅いため、個々の活断層の活動間隔については、千年~数万年に1 回と考えられています1)。    そのような中、IRIDeS の福島洋准教授らは、茨城県北部のある活断層が、2011 年3 月19 日、2016 年12 月28 日と2 回動いたことを突き止め、かつ、その原因が、2011 年東北地方太平洋沖地震2)であったことを示しました。この研究は、同一活断層がわずか5 年9 か月という極めて短い間隔で繰り返し動いたことを明らかにしたもので、「活断層は滅多に動かない」という常識を覆します。従来の地震発生の考え方も、根本から変える可能性があります。 ...

2018.11.2

福島県いわき市薄磯地区で 地震・津波避難訓練に参加しました

2018 年10 月21 日、福島県いわき市平薄磯地区(以下「薄磯地区」)で、IRIDeS の杉安和也助教(リーディング大学院)らが協力する地震・津波避難訓練が行われ、IRIDeS 広報担当も参加しました。以下、訓練体験記をお届けします。 薄磯地区  海辺に面したコミュニティです。2011 年の東日本大震災の際は8.51m の津波が押し寄せ、87% の家屋が全壊、115 名が犠牲となりました1)。また福島第一原発事故により、漁業なども大きな影響を受けました。薄磯地区の人口は、2010 年時点で766 名2)でしたが、2018 年には156 名3)へと縮小しました。    甚大な被害を受けた薄磯地区ですが、震災後、再建を進めてきました。現在、高台への住宅移転が完了し、防災緑地も整備されました。2018 年夏には震災後初めて海水浴場も再開したところです。 薄磯地区の海岸沿いに整備された防災緑地。松の苗が植えられたばかり避難訓練について ドローンを飛ばして観光客の避難の様子を確認  杉安助教らは震災後、薄磯地区の復興まちづくり全般にかかわり...

2018.10.12

インドネシア・パルにて津波被害に関する現地調査

 2018 年9 月28 日6:02pm(日本時間7:02pm)、インドネシア・スラウェシ島中部でM7.5 の地震が発生し、この地震および地震に伴って生じた津波・液状化・地すべりにより、大きな被害が発生しました。IRIDeS の今村文彦教授(津波工学)は、10 月4 日~ 6 日、震源近くの主要都市・パルおよびその周辺地域で、他の研究者やインドネシア政府関係者らとともに、いち早く津波被害に関する現地調査を行い、帰国後の10 月11日、IRIDeS にて調査結果を報告しました。  当時のインドネシア政府が観測した潮位記録から、津波がちょうど満潮時に発生したことや、地震発生から6 分後に津波が到達し、水位差から4m の波高の津波が発生していたこと等が分かりました。震源から離れたパル湾で、大きな津波が短時間で到達したことになります。今村教授は「スラウェシ島沿岸部のマムジュ等他地域では潮位差数十cm で、大きな水位差を示したパル湾とは特徴が極めて異なっていました。パル湾の潮位記録は、今回のパル津波の実態を示す貴重なデータです」と指摘しました。  また、今村教授は、パルにおける現地調...

2018.9.7

地方都市における帰宅困難者問題とその解決策を調査

 2011 年の東日本大震災では、特に首都圏の“ 帰宅困難者”が社会の注目を集めました。首都圏では、交通網の麻痺により、大勢の人々が帰宅をあきらめ、一時滞在施設に泊まったり、徒歩で帰宅をした人も途中で苦労するなど大きな問題となりました。    震災時、実は、首都圏だけでなく地方都市でも帰宅困難者問題が発生していました。仙台市では仙台駅周辺で約11,000人の帰宅困難者が生じたと推計されています**。また、この人々が近くの学校・体育館などの指定避難所へ流入したことで、避難所は過密状態になり、運営面でも混乱が発生しました。しかし、地方都市における帰宅困難者問題の全体像は、これまで十分に明らかにされていませんでした。地方都市では大都市と人数規模や人の流れ、地域特性等が違うことを考慮して、地域に即した対策を立てておく必要があります。    この問題意識に基づき、IRIDeS の寅屋敷哲也助教・丸谷浩明教授は、仙台市を含む南東北、さらに関東・中部・関西地域の計12 の都市の自治体職員等に対して、地方都市に有効な帰宅困難者対策を抽出するために聞き取り...

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