IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2018.3.2

2011年東北沖巨大地震後の海底地殻変動を解明

IRIDeSの木戸元之教授ら、巨大地震後の海底地殻変動を世界で初めて明らかに   2011年3月11日、宮城県沖の太平洋海低深くの日本海溝沿いで、プレート(地球の表面を覆う岩盤)同士が大きくずれ動き、マグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。この地震と地震による津波は東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。専門家の間では、「純粋な自然現象としての地震」は「2011年東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)」、「地震が引き起こした災害」については「東日本大震災」と、区別して呼ばれています。   大きな地球の動きとして、日本列島付近では、常に陸側のプレートの下に海側のプレートが沈み込んでいますが、摩擦力が働くため沈み込みとともにプレート内にひずみがたまり、時折、このひずみを断層の破壊として解消することで地震が発生します。東北沖地震も同じ原理に基づくものでしたが、断層の破壊域が極めて広く、日本の観測史上最大規模であったことが特徴です。   IRIDeSの木戸元之教授、日野亮太教授(東北大理学研究科所属、IRIDeS兼任)らの研究チ...

2018.2.23

不確実な科学情報を社会の災害軽減に役立てるためには 「南海トラフ地震予測対応勉強会」で追求

「南海トラフ」とは、静岡県沖から宮崎県沖まで延びる、深海のプレート沈み込み帯に形成されている溝のことで、この付近では過去に何度も巨大地震が発生してきました。1854年安政地震、1944、46年昭和地震など、東南海地震・南海地震が連続して起こり、大災害となった事例も知られています。東日本大震災後、日本では地震想定の再検証が進み、2012年、内閣府は専門家の意見をもとに「将来、南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大でM9クラス、最悪で32万人以上の死者数となるケースもありうる」という、新想定を発表しました。   IRIDeSでは若手研究者有志が発起人となり、2016年12月から、南海トラフ巨大地震に関する勉強会を、さまざまな分野の専門家を招いて月一回のペースで行ってきました。特に中心となるテーマは、「不確実な予測情報を、どのように社会の災害軽減に役立てることができるか」です。現在の科学では、いつ、どこで、どのくらいの規模の地震が発生するか、正確に予知することはできません。しかし、近年急速に整備が進んだ海底観測網により、海底のプレートの動きや、「スロースリップ」など、地震の誘発...

2018.1.26

津波工学・災害医学が協働で救命に取り組む

  はじめに   2017年度、IRIDeSの越村俊一教授ら研究チームは、広域被害把握技術と災害医療を融合させる5年計画の大型研究を開始しました。発災直後、広範囲におよぶ津波の人的・物的被害をすばやく把握し、そこから被災地の医療救護ニーズを推定した上で、最善の医療体制を明らかにすることが目的です。南海トラフ巨大地震・津波が発災すると、圧倒的に医療資源が不足することが想定されます。人命救助のタイムリミットが迫る中で、一人でも多くの命を救うために、災害派遣医療チームはどう動けばよいかを、短時間で提案できるようにすることを目指しています。       研究チーム・IRIDeS主要メンバー。 左からマス・エリック 准教授、越村俊一 教授(災害リスク研究部門) 江川新一 教授、佐々木宏之 助教(災害医学研究部門) 集団災害医療学会の会場にて       きっかけ   越村教授は、2011年の東日本大震災直後、「通信網が途絶し災害情報が得られず、災害研究者でありながら、被災...

2017.12.1

第1回「世界防災フォーラム」を開催しました

        世界防災フォーラムとは   2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議で、「仙台防災枠組2015-2030」が策定されました。会議のホスト国・日本では、今後、国内の防災対策を進めていくだけでなく、国際社会との連携を深め、「仙台防災枠組」*1の実施を強⼒に牽引していくことが求められています。   その一環として、スイスの防災ダボス会議と協力して、「世界防災フォーラム/防災ダボス会議@仙台」を、2017年より隔年で開催していくことになりました。国内外から産・官・学・民の防災関係者が仙台に集い、地元市民の方々も参加します。多様な人々が世界最先端の防災知見を共有し、防災の具体的な解決策を創り出すとともに、東日本大震災に関する教訓を世界に発信していくことが目的です。   *1:「仙台防災枠組」…世界全体の将来の防災の方向性を示す取り決め。国連加盟国は今後2030年まで、この国際的防災指針に沿って防災を推進していくことに合意し、会議開催地・仙台を記念し「仙台」という名前...

2017.11.10

石垣島で「世界津波博物館会議」

2015年12月に国連総会で「世界津波の日」の制定が決議されました。2回目の「世界津波の日」となる2017年11月5日、国連国際防災戦略事務局UNISDR・日本の外務省・国際協力機構JICAは、沖縄県石垣島において「世界津波博物館会議」を開催し、IRIDeSも協力しました。   石垣島は過去に何度も津波に襲われてきたと推定されており、中でも1771年の明和大津波の際は甚大な被害を出したことが、歴史記録から明らかになっています。また、石垣島は、津波で内陸に運ばれた巨石「津波石」が数多く存在することでも知られてます。     会議に先立ち石垣島にて行われた巡検で、津波石の解説を行う後藤准教授       世界津波博物館会議では、アメリカ・ハワイ「太平洋津波博物館」、和歌山県「稲むらの火の館」をはじめ、インドネシア、タイ、スリランカ、ポルトガル、トルコの津波や防災に関する博物館の関係者が一堂に会し、各博物館の活動紹介や課題の共有を行いました。IRIDeSの川島秀一教授と後藤和久准教授は、それぞれ民俗学と地質学の...

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