IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2017.10.27

平成28年台風10号被災地・岩泉で巡検

2016年8月30日、台風10号による豪雨と小本川の氾濫により甚大な被害が出た岩手県岩泉町。1年あまりたった2017年10月21日、IRIDeSの蝦名裕一准教授(歴史学)および森口周二准教授(土砂災害)らが現地を訪れ、台風10号の報道を担当した地元メディアのエフエム岩手岩泉支局・鷲塚由美子氏、地元で活動する防災士・守田敏正氏らの案内で巡検を行いました。   蝦名准教授と森口准教授は,河川氾濫分析結果(呉修一准教授(富山県立大)提供)や岩泉の古地図から得られる情報を、現地の地形や地元関係者の証言と照らし合わせながら考察しました。その結果、当時、短時間に集中した豪雨および堰として作用した流木により小本川が氾濫したこと、また、あふれた水が流れ下った道路の位置に、以前は川が流れていたことが示唆されました。蝦名准教授は、「結論を導くにはさらに詳細な調査が必要ではあるが、人為的な作用によって土地利用が変化しても、災害時にはときとして昔の土地利用の名残が影響してしまう一例ではないか」と指摘しました。         さらにI...

2017.7.14

仙台平野で新たに活断層を確認

  活断層とは   活断層とは、過去に何度もずれ動き、将来もまた動くと考えられている断層のことで、内陸型地震の原因として知られています。活断層を動かす根本の力は地球のプレート運動です。日本列島付近では、陸側のプレートに海側のプレートが沈み込んでいますが、この沈み込みとともにプレート内にはひずみがたまっていきます。ひずみを解消するため、時折、プレートは、内部で割れたり、ずれたりします。プレート内が割れて形成されるのが活断層です。   現在、日本全国には約2000の活断層が存在することがわかっています。活断層は、一般的は千年~数万年に一度動き、地震を発生させます。1つ1つの活断層は滅多に動かないと言えますが、2000もの活断層の動きを平均すると、日本のどこかで5~10年に1回は活動し、内陸型地震を起こす計算になります。距離の長い活断層は断層面積も大きく、ため込まれるエネルギーもそれだけ大きくなるため、大きな地震につながりやすくなります。日本では、特に110ほどの活断層が、大地震を起こす可能性があり要注意とされています。日本各地で活断層の調査が進み...

2017.6.16

津波と藻場被害の関係を科学的に明らかに

「藻場」(もば)とは、浅い海域で海草・海藻が生息する場所のことです。たとえば海草のアマモは水を浄化し、稚魚の成育を助けます。ワカメやコンブなどの海藻は日本の食生活に欠かせず、アワビやウニの餌になるものもあります。さまざまな海の生物を育む藻場は、海面下にあるため日常生活で目にすることはありませんが、生態系・水産業・経済などの点で、人間にとって極めて重要な存在です。   東日本大震災の津波により、東北沿岸部の藻場は打撃を受け、例えば宮城県南三陸町志津川湾のアマモはほとんどが失われてしまいました。しかし、津波が藻場に被害を与える「科学的メカニズム」については、これまでほとんど解明が進んでいませんでした。     そこでIRIDeSの山下啓助教(津波工学)らは、津波と藻場被害の関係を明らかにする研究に着手しました。以前から津波土砂移動に関する研究に取り組んでいた経験を生かし、まず、津波による土砂移動や流速と藻場の被害にはおそらく関係があるだろうと推論し、「津波により土砂地盤が削られ、砂場が巻き上げられることで、アマモが根こそぎ失われる」、「強い流れに...

2017.5.8

ラジオパーソナリティ・板橋恵子さんと研究者との意見交換

IRIDeSは災害・防災に関する学術研究所です。その研究内容が人々の安全に直結するため、IRIDeSは社会発信を重視し、広報室も設けています。今村文彦所長をはじめ、IRIDeS研究者は、メディアからの取材依頼にも、極力、円滑に対応するようにしてきました。   しかし、多くの研究者は社会発信の専門家ではなく、取材にあたり、メディアのスピード感への戸惑い(「大至急、今日中にコメントを!」ということもよくあります)や、意図しなかった内容で報道されてしまったという声が、広報室に寄せられることもありました。   そこでIRIDeSで、研究者がメディア関係者と話し合い、相互理解を深めて妥協点を探るための少人数意見交換会を実施してみることにしました。毎回、さまざまなメディアからゲストを招いてお話を伺い、研究者として疑問があったらぶつけます。   今回は、ラジオパーソナリティの板橋恵子さんをお招きしました。研究者側は、IRIDeSの森口周二准教授(土砂災害)、佐藤大介准教授(歴史)が参加しました。   * * *     ...

2017.4.7

IRIDeS所長 今村文彦教授 ご挨拶

  一期目(2014~16年度)に続き、二期目(2017~19年度)も所長を務めることになりました。   IRIDeSの発足から満5年が経過しました。防災・減災を学際的に研究するIRIDeSは、これまで、東日本大震災の実態把握、巨大地震・津波のメカニズム解明をはじめ、着実に研究知見を蓄積してまいりました。その成果として、今日IRIDeSは、災害科学という学問分野で世界トップクラスの研究所として位置づけられるようになりました。   今後、今までの蓄積をさらに発展させ、国内外で連携を深めて共同研究を推進しながら、世界の災害研究・実践科学の重要な核となる研究所を目指したいと考えています。今年度、IRIDeSでは、地震・津波リアルタイム情報と災害医学・医療を組み合わせて災害対応するための大型研究や、震災祈念公園におけるアーカイブデータ活用プロジェクトなど、新たな研究・活動が始まります。社会のニーズや市民の防災意識も取り込んだ、新しい多分野融合研究プロジェクトの創出を目指します。   IRIDeS棟のある青葉山新キャンパスは、地下鉄「青葉山」...

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