IRIDeS Newsletter | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2016.4.28

「みやぎ防災・減災円卓会議」 今年度は実践的な活動へ展開 (vol.14)

平成27年4月、河北新報とIRIDeSが呼びかけ人となり、「みやぎ防災・減災円卓会議」が発足しました。第3回国連防災世界会議での議論を受けて、学術機関とメディアの連携を軸に、産官学民が連携して防災・減災に取り組む場です。昨年度は計11回開催され、今年度は4月27日(水)、第一回総会が河北新報社にて開かれました。 総会は、武田真一・河北新報編集局次長の司会で進行しました。冒頭、IRIDeSの今村文彦所長が挨拶し、「2015年3月、第3回国連防災世界会議が仙台で開催され、15万人が参加しました。みやぎ防災・減災円卓会議は、その成果を発展させ、東日本大震災の教訓を広く伝えてゆくために発足しました。1年目は、国連防災世界会議の総括や、円卓会議に参加している団体やメンバーの活動紹介を行ってきましたが、2年目は本格的な実践活動に入りたいと思います」と述べました。 「みやぎ防災・減災円卓会議」は、45団体・70人で発足し、毎回、40人~70人ほどの出席者を得て、様々な防災関係者が情報共有を行う貴重な場になってきました。このたび、自治体・学術関係者・企業等から更に新たな会員が加わり...

2016.4.27

写真特集 東日本大震災5年目の春 2016年4月 (vol.13) 

IRIDeSの新しい活動のひとつとして、写真特集を企画いたしました。今後、不定期ですが、津波で大きな被害を受けた東北沿岸各地のその後の様子を写真等で紹介したいと思っています。 4月下旬、東日本大震災から5年がたった岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、同南三陸町の各地を訪れました。復興土木工事がいたるところで進んでおり、新しい街の姿がしだいに見え始めています。(写真をクリックすると拡大します)    【陸前高田】 海に接する第一線堤(T.P+3m)は完成済みで、陸側の第二線堤(T.P.+12.5m)の防潮堤工事も95%程度まで完成しています(陸前高田市復興局市街地整備課)。左の写真は陸側の第二線堤。2つの堤防の間に松を植えてかつての松林を再興させる計画です。市街地予定地のかさ上げ工事もほぼ完成していました。            動画はこちら (YouTubeに飛びます)    &...

2016.4.26

「世界津波の日」に向けて、活動開始 (vol. 12)

昨年12月、国連総会で、11月5日を「世界津波の日」に制定することが決議されました。これは、江戸時代の1854年11月5日(旧暦)に発生した安政南海地震の大津波の際に、いまの和歌山県広川町の実業家だった浜口梧陵(ごりょう)が収穫したばかりの稲わらに火をつけて村人を避難させて命を救ったとされる「稲むらの火」のエピソードにちなんで、日本政府のイニシアチブにより全会一致で採択されたものです。 IRIDeSは、世界で唯一の「津波工学」研究分野を有し先進的な津波防災の研究を行っており、また、国内外の地域社会に役立つ実践的防災学を目指しています。そこでIRIDeSは、この「世界津波の日」を全面的にサポートすることとし、制定後はじめて迎える今年の「世界津波の日」に向けて、日本のほか、アメリカ、タイ、ドイツ、フランスなど多様な出身地のIRIDeS研究者で構成する「世界津波の日」対応ワーキンググループ(WG)を国内・国際連携委員会の下に設け、準備を進めていくことになりました。 国際的に津波への理解と関心を高め、津波防災に貢献する目的で、今秋、ハワイとインドネシアにおいて、地元の研究機...

2016.4.25

地下深部では斜めずれ、地表では横ずれ断層と正断層が約2㎞離れて並走-スリップパーティショニング 国内で初めて確認か- 遠田晋次・岡田真介(IRIDeS)・石村大輔(首都大東京)・吉田春香(福岡県立八女高校) (vol. 11)

遠田晋次教授らは4月15日からの現地調査に続いて4月22日から25日まで現地に入り、調査を続けてきました。その結果、布田川断層帯に正断層も確認し、地下深部では斜めずれ、地表では横ずれ断層と正断層が約2㎞離れて並走していることがわかりました。 遠田教授らの調査と分析によりますと、地下から地表に向かって断層が分岐し、地下での斜めすべりを地表では横ずれと縦ずれに分担して解消していることが推定されます。これを専門用語でスリップパーティショニング(slip partitioning)といいます(図2)。海外の地震では報告例が複数ありましたが、国内で確認されたのは初めてである可能性が高いと考えられます。布田川断層が正断層成分を持つことは、同断層が別府-島原地溝帯の南縁付近に位置することと整合的です。* 正断層とは地盤が引っ張られたときに縦にずれ動く断層。 4月24日に実施した現地調査で、西原村の俵山の西麓に約2km以上にわたって連続する正断層を確認しました(図1、写真1〜3)。 正断層による縦ずれは最大約1.5mで、北西側が落ちる動きを示します。これらは地すべりの滑落崖ではなく...

2016.4.22

熊本被災地で東北大学病院DMATが医療支援活動(佐々木宏之助教) (vol. 10)

2016熊本地震を受け、東北ブロックDMATが被災地で医療支援活動にあたっています。IRIDeSの佐々木宏之助教は、東北ブロックDMATの一チームである東北大学病院DMAT(災害派遣医療チーム)の一員として現地入りし、4月17~19日、被災地で医療支援活動を行いました。 DMATとは、訓練を受けた医師、看護師、業務調整員で構成され、一人でも多くの命を救うため、災害急性期に活動する医療チームです。佐々木助教は、IRIDeS災害医学研究部門に所属し、かつDMATの資格を持つ外科医でもあります。 18日朝より、佐々木助教らは、熊本県の阿蘇医療センターを活動拠点に、南阿蘇村の老人福祉施設で症状のある入所者を医療機関へ救急搬送する活動を行いました。支援に向かった特別養護老人ホームは、通常の入所者に加えて被災した周囲の養護老人ホームからも入所者を受け入れていましたが、電気・水道が止まり、阿蘇大橋の崩落等で通常の半数程度のスタッフで運営している状況でした。 ライフラインの途絶、過密状況、かつスタッフの疲弊も著しく、このままでは数日内に危険な状況に陥りかねないと判断、佐々...

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