IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2016.4.21

熊本地震:余震のメカニズムは合理的説明可能、冷静に引き続き警戒を(遠田教授) (vol. 9)

IRIDeSの活断層専門家・遠田晋次教授は、4月16日以降に余震が広範囲で発生しているメカニズムを探る目的で、M6.5、M7.3地震による周辺地域・周辺断層への応力変化(地震前と後でのゆがみの変化)を計算しました。以下の図中で、赤色は応力が増加し断層活動を誘発しやすい状況、青色は応力が減少し断層活動を押さえる傾向(抑制)があることを意味します。 遠田教授は、その結果、異常な事態が連続して発生しているのではなく、そのメカニズムは科学的に十分合理的な説明ができるので、事態を冷静に受け止めつつ推移を注意深く見守ってほしいと以下のように話しています。(以下引用可能) 「M7.3地震以降に別府-由布、阿蘇山北東部で活発化した地震活動(図中、緑色で囲んだ部分)は、震源となった布田川断層の運動により、急激に周辺地域の力のバランスが崩れたことで発生したと考えられる。   まだ熊本地震の収束の見通しはつかないものの、前代未聞の天変地異ではないかとことさら不安をおぼえる必要はない。現在までの余震はおおむね科学的な知見で説明が可能で、異常事態が連続して起きて...

2016.4.19

ネパール地震から1年 世界銀行とIRIDeSがセミナーを共催します(4月26日、東京)  (vol. 8)

来週火曜日、東京にて、世界銀行とIRIDeSが共催で、「ネパール ゴルカ地震からの復興:リスクをレジリエンスへ」と題した一般公開セミナーを開催します。   2015年4月25日、ネパールの首都カトマンズの北西、ゴルカ地方でM7.8の大地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。今回のセミナーでは、震災直後からネパール政府と密に連携し、復旧・復興に取り組んできた世界銀行およびJICAと、東日本大震災の知見を生かすため、学術の立場からネパール現地調査・研究・復興支援を行ってきたIRIDeSの関係者が、現地の生の声や最新状況も含んだ報告を行います。   特に発展途上国で、開発・復興・防災のためのプロジェクトを数多く実践してきた世界銀行と、多分野融合の実践的防災学をミッションとするIRIDeSが、初めてコラボするセミナーです。最近、国際的に重要性が認識されつつある、災害医療に関するトピックもあります。   参加費無料、日本語・英語同時通訳つきで、どなたでもご参加いただけます。お気軽にお申し込みください。     防災...

2016.4.18

日奈久断層帯の地表地震断層を確認 続報(遠田教授、岡田助教) (vol. 7)

今回の調査では、16日のM7.3の地震によって、布田川断層帯の一部に沿って、また日奈久断層帯北部にも地表地震断層を確認し、地表面に出現していることが明らかになりました。 現在のところ、今回の調査で、布田川断層帯では、最大約2mの右横ずれの地表地震断層を、日奈久断層帯北部では、最大約 50cmの右横ずれの地表地震断層を測定しています。 布田川断層帯の東部は、阿蘇大橋周辺の地すべり等およびその救助活動で、立ち入ることが難しいため、地上での 踏査は難しいですが、報道等の空撮映像からは、地表地震断層の出現している可能性が高いことが判明しています。よって今回の地表踏査で確認されている地表 地震断層の位置よりも、さらに東まで延びる可能性があります。 また、日奈久断層帯の地表地震断層も、我々は現在の学会等からの報告よりも南の位置で、地表地震断層を発見しましたが、今後さらに南側でも変位が確認できる 可能性があり、こちらに関しても、地表地震断層は南に延びる可能性があります。 地表の地震断層のずれの方向・ずれの量などを空間的に明らかにすることは、地震で地下がどのよう...

2016.4.17

2016熊本地震 熊本県御船町で新たに地表地震断層を確認 (遠田晋次教授、岡田真介助教) (vol. 6)

東北大学災害科学国際研究所の緊急調査で4月17日、熊本県上益城郡御船町滝川において、 日奈久断層においても右横ずれ約25 cmを伴う地表地震断層が出現していることを確認しました。 これは、4月16日未明のM7.3の地震によるものと考えられます(地主さんの証言に基づく)。 また、さらに南に地震断層が連続している可能性も考えられます。      【お問い合わせ】IRIDeS 広報室 電話 022-752-2049、Eメール koho-office*irides.tohoku.ac.jp (*を@で置き換えてください)...

2016.4.16

IRIDeSチーム現地入り 第一報 村尾修教授ら (vol. 5)

村尾修教授、森口周二准教授、柴山明寛准教授の3人のIRIDeSチームが熊本県の現地に入りました。第一報です。   ・古い建物に被害集中。新しい建物は軽微な被害。   ・断層沿いに被害が集中。特に瓦屋根の被害が多い。   ・重要拠点としての役所の耐震化の必要性。   ・直下型被害地域が拡大、広域化。     建築基準法の新耐震設計基準が施行される1981年以前に建設されたために、現行の耐震基準を満たさない、いわゆる既存不適格建物に被害が集中している一方、最近の建物は全体的に被害が軽微である。既存不適格が数多く分布するのは、熊本に限らず日本全国の地方都市に共通する大きな問題である。     1995年兵庫県南部地震でも老朽化した木造家屋の問題は指摘されていたが、まだまだ課題が多い。南海トラフの地震を考えた場合、こうした問題が大きな課題として残されている。             左の写真は,老朽化した旧住宅...

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