IRIDeS Newsletter | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2022.3.18

ご挨拶

  東北大学 災害科学国際研究所(IRIDeS) 所長 今村文彦  昨年の2021年3月11日は、東日本大震災から10年の節目でした。IRIDeSは編著『東日本大震災からのスタート 災害を考える51のアプローチ』を出版し、シンポジウム「東日本大震災から10年とこれから」を開催するなどして、これまでの歩みを総括し、今後に向けた決意を表明しました。  震災の約1年後、2012年4月に7部門で発足したIRIDeSは、東日本大震災の被害把握、巨大地震・津波メカニズムの解明、震災アーカイブの整備、伝承活動の支援など、着実な成果を挙げてまいりました。また、被災地の復興とビルド・バック・ベターを支援し、産・官・学・民の連携をはかりながら世界の防災指針「仙台防災枠組2015-2030」の実施を推進し、国内外の災害対応、防災活動の推進に邁進してきました。2021年4月より、IRIDeSは4部門体制へと再編され、引き続き災害科学の深化と、実践的防災学の展開を進めています。そして、今年2022年4月に、IRIDeSはいよいよ設立10周年を迎えます。  コロナ禍...

2022.3.10

「東日本大震災メモリアルシンポジウム2022」を開催

  シンポジウムの様子  2022 年 3 月 5 日、IRIDeS は「東日本大震災メモリアルシンポジウム 2022 -海溝型地震研究の発展と将来への備え-」を、仙台国際センターにて、 対面参加・オンライン参加を併用したハイブリッド形式で開催しました。こ のシンポジウムは、海溝型地震研究の現状および将来の大地震・大津波のリ スクについて理解を深めた上で、東日本大震災の教訓を踏まえた各地の取り 組みを確認し、地域防災力を高める方法を探ることを目的としています。  シンポジウム前半では、海溝型地震研究の第一人者である高橋浩晃教授(北海道大学)と松澤暢教授(東北大学)を迎え、千島海溝における超巨大地震 のリスクおよび 2011 年東北地方太平洋沖地震の発生要因や周辺域の地震へ の影響等に関する基調講演が行われ、現時点で、東北北部や北海道地域における臨時情報の有効活用には課題が多いことなども指摘されました。後半で は、IRIDeS の研究者らが、災害の予防・応急対応・復旧復興等の視点から地域防災について論じ、総合的な対応やコーディネーショ ンの重要性が...

2022.3.4

広報室コラム 『私にとっての東日本大震災』

  広報室長 江川新一 教授 災害医療国際協力分野  東日本大震災から 11 年が過ぎようとしています。忘れもしない 2011 年 3 月 11 日午後 2 時 46 分、金曜日午前中の外来診療を終え、東北大学医学部 2 号館 8 階の自室にいた私は、 突然の激しい揺れに身動きできず、ぼんやりと「ああ、宮城県沖地震だ。これは相当に強い地震だな」と感じました。第 1 波の揺れが収まってほっとしたのもつかの間、第 2 波のさらに強い揺れが来て、本棚から落ちてくる本を横目に見ながら、「自分の部屋は割と狭く四方に柱があるので、それほど弱くもなさそうだ、倒れて下敷きになるような重量物もないな」 と判断し、「ああ、これで天井か床が抜けたら死ぬのだな」と思いながらも、「もし助かったときにこのコンピュータがなかったら困る」と考え、自分のノートパソコンを抱えながら揺れに耐えました。揺れが収まってすぐに、医局と遠隔の実験室にいた全員の安全を確認し屋外に避難しましたが、東北大学病院災害対策本部がすぐに立ち上がったという全館放送に応え、災害対策本部に参加し、院内と関連病院の...

2022.2.28

World BOSAI Walk Tohoku+10

  World BOSAI Walkで立ち寄る主な場所 「一般財団法人 世界防災フォーラム」は、防災の理念を世界に広め、災害で苦しむ人たちをなくしていくことを目指して活動する、IRIDeS と密に連携する団体です。通常は、スイスの防災ダボス会議と連携した市民参加型国際会議「世界防災フォーラム」の事務局をつとめていますが、2022 年春、会議とは異なるイベント「World BOSAI Walk Tohoku +10 ビルドバックベターを探す東北沿岸縦断の旅」を企画・実施することになりました (IRIDeS 後援)。   この旅は、フォーラム関係者らが、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県から青森県にわたる東北沿岸部を主に徒歩で移動しながら、地域で復興や災害経験の継承に取り組む方々と連携し、その活動を世界中に発信するもので、随所で IRIDeS の関係者も参加します。コロナ禍を受け、参加人数を絞って実施する一方で、毎日の旅の様子を YouTube や SNS で発信していくことになりました。   2 月 23 ...

2022.2.18

記者懇談会において、東日本大震災で亡くなられた方々に関する研究の進捗を報告

IRIDeSの門廻充侍(せと しゅうじ)助教・今村文彦教授らは、宮城県警察本部から提供された東日本大震災犠牲者に関する情報の分析を、2018 年度に開始しました。研究グループは、震災における人的被害の解明と、今後の人的被害軽減に関する提言を目指して分析を続け、毎年2月に、1年間の研究の進捗をメディア関係者に説明する記者懇談会を開催しています。 今村文彦教授 2022 年2月 18 日、門廻助教らは第4回となる記者懇談 会をオンライン開催し、2021 年度に得られた本研究に関する知見をまとめ、報告を行いました。前年度までは陸上での被害実態の 報告が中心でしたが、今回の記者懇談会では、海上で発見された方々 568 名に関する詳細な分析と、今後、低体温症リスクによりよく対応するための提案等を行いました。 今回の懇談会において、門廻助教は、海上で見つかった犠牲者の数は、沿岸自治体の海域別でみると石巻市、女川町、気仙沼市の 順に多くなっていたことや、平野部よりリアス式沿岸部のほうが、海上流出のリスクが高いこと等を述べました。また、これまでの 研究知見に基づき、今後の低体...

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