IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2021.3.19

【報告】感染症に関するさまざまな研究・実践活動を開始

ひかり拓本により疫病碑を調査する(写真:災害文化研究分野提供)    IRIDeS は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、東日本大震災10年の節目に予定していた複数の催事の中止・延期を余儀なくされました。また、研究者が現地に赴いて行う調査活動も大幅な制約を受けました。その一方で、IRIDeS では、執行部・災害医学の専門家が災害対策本部幹事会を所内で定期開催して研究・教育現場の感染症対策に真剣に取り組み、所内会議や研究活動、一般公開イベントのオンライン化も進めました。    また、2020年にさまざまな分野の研究者が、感染症を災害と捉え、東日本大震災の教訓を活かしたポストコロナ社会の構築に向け、研究プロジェクトをスタートさせました。テーマは「感染症をめぐる社会文化の歴史的変遷(疫病退散プロジェクト)」「新型コロナウイルス感染症に対応する企業・組織の事業継続計画(BCP)改善」「感染症蔓延下における水害時のCOVID-19伝播リスクの可視化・低減策」「ポストコロナを生きる力」など、いずれもその学際性を特徴としています。 ...

2021.3.12

ご挨拶

  東北大学 災害科学国際研究所(IRIDeS) 所長 今村 文彦  今年3月11日で、東日本大震災から10年となりました。この10年間のあゆみを検証しながらさらに復興を進め、同時に、将来の災害へ向けた備えを充実させることが肝要です。昨年は阪神・淡路大震災から25年の節目であり、震災を経験していない世代の増加、記憶の風化、伝承の役割が取り上げられていました。東日本大震災においても阪神・淡路と同様の課題に直面せざるをえない中、IRIDeSの果たすべき役割は一層重要になると考えています。    現在、国内外で新型コロナウイルス感染症の深刻な影響が広がっています。東北大学は、社会とともにある大学として新型コロナウイルス感染症対応に最大限の努力を続けています。IRIDeSも、「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東北大学の行動指針(BCP)」を踏まえて教育・研究活動を実施し、また、災害医学研究部門の研究者が学内外で感染症対策に尽力しております。さらに、さまざまな専門分野の研究者が感染症関連研究を開始しました。感染症は、事前予防、発生時の...

2021.3.10

広報室コラム

  広報室長 江川 新一 災害医学研究部門 教授 東日本大震災からのスタート    東日本大震災から10年が経過しました。災害科学国際研究所では『東日本大震災からのスタートー災害を考える51のアプローチー』と題して広く一般の方に向けて本を出版しました。    東日本大震災はわが国で記録された最大規模の地震によって引き起こされ、津波、原子力発電所事故が複合した災害として世界中に衝撃を与えました。10年経過してもなお余震が発生し、震災は現代社会にさまざまな課題を突き付け続けています。一方、東日本大震災があったからこそ分かったこと、改善されたこともたくさんあり、それは仙台防災枠組にも生かされました。仙台防災枠組は第3回国連防災世界会議で策定された、2015年から2030年まで個人、家庭、社会、国際社会のすべての地域・レベルで使われる指針です。    私は膵臓を専門とする外科医として災害(disaster)と病気(disease)に共通点を強く感じています。どちらもdis- という否定を表す言...

2021.3.5

【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(1)

書名:東日本大震災からのスタート 災害を考える51のアプローチ 編者:東北大学災害科学国際研究所 発行:東北大学出版会 判型:B5 判 製本:並製本(ソフトカバー) 定価:(本体3,000 円+税) ISBN:978 - 4 - 86163 - 357 - 7 C3000  東日本大震災から10年となる2021年3月、IRIDeS 編著『東日本大震災からのスタート:災害を考える51のアプローチ』が出版されました。同書は、IRIDeS 研究者らがそれぞれの専門分野に関し、東日本大震災が明らかにした問題、その後の進展、今後の課題を総括するものです。「災害評価と防災」「人間と社会」「健康」「国内外との連携」に関する4つの大きなテーマのもと、全51章(1章1トピック)と4つのコラムで構成されています。    このたび執筆者のうち4名が集い、同書のトピックのうち、特に復興と災害記憶の継承について話し合うオンライン座談会を開催しました。司会はIRIDeS 副所長の丸谷浩明教授(経済学)がつとめ、佐藤翔輔准教授(災害情報学)、佐藤大介准教授(歴史学)、マリ エリザベ...

2021.3.5

【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(2)

「【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(1)」の続き   ▷歴史資料保全活動は、被災者の回復を促し、地域を災害に強くする   佐藤 大介 准教授 佐藤大:第26章「『民間所在史料』の救済」を川内淳史先生と共著で執筆しました。日本には推計で20億点を超える過去の文書記録があるという試算があります。そのほとんどは個人所有です。1995年阪神・淡路大震災を契機に、自然災害で貴重な資料を失わないよう、有志によるボランティア組織「資料ネット」が、被災資料のレスキュー活動を行ってきました。宮城県は、2003年7月に発生した地震を受けた活動が最初で、私も参加してきました。    東日本大震災により、かけがえのない人命、ふるさとの姿とともに、各地の資料が失われました。一方で、市民の方々と震災前から構築していたネットワークが生き、所蔵者に連絡を取り資料を救済できたケースも、私が関わった活動で83件ありました。また震災後10年で、延べ5,300人の市民ボ...

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