IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2021.3.5

【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(3)

「【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(1)」 「【特集】東日本大震災からのスタートー IRIDeS研究者が復興と震災教訓の継承について話し合う(2)」の続き。   ▷東日本大震災からの住宅復興を国際的視点から考える     丸谷:ではマリ先生お願いします。   マリ エリザベス 准教授 マリ:第47章「よりよい住宅復興とは-国際比較から考える」を担当しました。東日本大震災については、必要住宅数が極めて多く、被災地は多様で、仮住まい生活も長くなり、住宅復興は容易ではありませんでした。優れた住宅復興支援の国際的な共通点は、①選択肢が多く柔軟性が高いこと、②良質な建築(設計・建材両面)で快適な住環境を整えること、の2点と考えています。東日本大震災では、この点に合致する事例がありました。  まず、被災者の選択肢が増えたこととしては、プレハブ仮設住宅のみならず、みなし仮設住宅が大規模に提供されたことがあります。この場合新たな...

2021.2.4

【活動紹介】「山元町震災遺構中浜小学校」のデザインディレクションを担当

  情報管理・社会連携部門 本江 正茂 准教授  2020年9月、震災遺構として、宮城県山元町立中浜小学校の校舎の一般公開が開始されました。ここは2011年3月11日、大津波が迫る中、児童・教職員・保護者ら90人が屋上に逃れ、屋根裏倉庫で一夜を過ごした後、救助された場所です。小学校としては閉校となりましたが、2014年、同町はこの被災した校舎を震災遺構として保存する検討を開始し、IRIDeS の兼任教員・本江正茂准教授(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻、一般社団法人SSD)が、そのデザインディレクションを担当することになりました。本江准教授は、編集者、グラフィックデザイナー、映像作家、建築家らに協力を要請してチームを作り、関係者への聞き取り、調整・合意形成も行いながら、プロジェクトを進めていきました。    震災遺構をデザインするにあたり留意したのは、単純に津波の「脅威」を思い知らせたり、すでに定まったものとして「教訓」を教えたりする場所にはしない、ということです。「当時の校長をはじめ経験者は、津波があと1m高ければ駄目...

2021.1.29

【研究紹介】東日本大震災の教訓から学び、病院の事業継続計画(BCP)の本質的要素を追求する

  災害医学研究部門 災害医療国際協力学分野 佐々木 宏之 准教授 ▷はじめに  事業継続計画(Business Continuity Plan, BCP)とは、自然災害などの緊急事態が発生した際、事業の損害を最小限にとどめつつ、核となる部分の事業は可能な限り継続し、事業の早期復旧ができるよう、平時から備えて決めておく計画のことです。日本では特に21世紀に入ってから、企業などで先行して取り組みが行われていた分野でしたが、東日本大震災を機に、病院BCPについても本格的な策定が進むようになりました。人の生命と健康を守る社会基盤である病院が、災害時に機能停止してしまうと、社会にとって大きな打撃となるため、病院BCPは極めて重要です。  IRIDeSの佐々木宏之准教授は、東北大学病院のBCP策定に携わり、かつ、病院BCPの本質的要素を追求する研究を行ってきました。しかしその佐々木准教授も、東日本大震災が発生した当時、災害医療や、災害発生時の事業継続については、全くの専門外でした。   ▷東日本大震災により、病院の事業継...

2020.12.4

【活動紹介】DMATとしてドライブスルーPCR検査に従事

  災害医学研究部門 稲葉 洋平 助教  IRIDeSの稲葉洋平助教は、災害放射線医学分野の専門家として、放射線災害時に個人が被ばくした線量を迅速に推定するための研究を行っています。さらに、2018年12月より、研究・教育活動と並行して災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)のメンバーとしての活動も開始しました。    DMATは、災害時に多くの命を救うために活動する、平常時から訓練を積んだ医師・看護師・業務調整員で構成される組織です。DMATにおいて、稲葉助教は業務調整員の資格を持ち、人・物の動きや組織間の調整、情報収集・分析を通じて、医師や看護師が効率よく円滑に動けるようにするロジスティクス分野の任務を担います。    DMATは、通常は自然災害対応が中心ですが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、その対応にも尽力しています。2020年4月より稲葉助教も、宮城県におけるドライブスルー方式によるPCR検査にて活動を開始しました。開始に先立ち、まず稲葉助...

2020.11.27

【活動紹介】2019年台風19号災害に関する最終報告会を開催

 2019年台風19号により、岩手県・宮城県・福島県における死者は59名に達し、甚大なインフラ被害も発生しました。土木学会、地盤工学会、日本地すべり学会の各東北支部とIRIDeSは、東北学術合同調査団として互いに連携し、被害実態やメカニズムの解明に当たってきましたが、発災から1年余りとなる2020年11月20日、2019年台風19号災害に関する最終報告会をオンラインで開催しました。 地盤災害シミュレーションのための道具と入力情報 (図:森口周二准教授提供)  報告会では、河川氾濫、地盤災害・土砂災害、災害対応等の観点から、岩手県・宮城県・福島県に関する知見が発表された後、発表者は参加者から寄せられた質問を検討しながら今後の防災・減災に関し意見交換を行いました。    IRIDeSの今村文彦所長は、所内研究者による調査・研究、丸森町など被災した自治体への支援活動等を発表した後、意見交換会において、「災害被害を拡大させない鍵の一つは、連鎖災害を防ぐことだと考える。重要設備を重点的に守ることが、すみやかな復旧・復興につながる」と述べました。森口周二准教授は、...

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