IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2020.1.6

所長ご挨拶

 IRIDeSは、東日本大震災の教訓に基づき、災害科学の進化と実践的防災学の構築を目指してきました。IRIDeS発足から9年が経ち、各研究者がそれぞれの専門に基づいて災害現場の問題を分析し、その知見を学際的に体系化して社会発信していくプロセスは整いつつあります。2019年台風19号対応でも、IRIDeS研究者は早くから情報収集・分析を行い、必要に応じて所内外研究者とも連携し、迅速かつ学際的に実態や課題を社会発信するよう尽力しました。今後は、災害現場に関する情報を、学術的価値の高い知見に昇華させて学術界へ還元することにより、科学・技術のさらなる進歩へも貢献していきたいと思っています。  来年・2021年に東日本大震災から10年を迎えるにあたり、被災地と災害科学の課題をさらに整理していきたいと考えています。今年は東京オリンピック・パラリンピックも開催され、多くの外国の方が訪日されます。この機会に東北での復興にも関心を持っていただき、防災・減災の活動についても国際交流を盛んにしていきたいと願っています。 東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)          ...

2019.12.20

報告:2019年 台風19号に関する調査報告会を開催

決壊した堤防(宮城県丸森町新川。写真提供:森口周二 准教授)  2019年も地震や台風など災害が発生しましたが、10月12日に日本に上陸した台風19号は、宮城県を含む広範な地域で、人的被害を含む甚大な被害をもたらしました。IRIDeSの緊急調査ワーキンググループ(WG)は、10月11日から情報収集および調査を開始し、10月15日に公開報告会を行いました。さらに、土木学会・地盤工学会・日本地すべり学会の各東北支部とIRIDeSは共同で、東北学院大学土樋キャンパスにて、12月14日、岩手・宮城・福島の3県に関する速報会を開催しました。緊急調査WG長の森口周二准教授は「広域で多数の甚大な被害が発生し、効率的な調査を実施するために4組織合同の調査団が編成され,学際的な調査が実施された。今後、合同調査団の枠組みの中で、減災・防災の課題や災害と向き合うためにあるべき社会の姿などについてもしっかり整理したい」とコメントしています。  IRIDeS研究者による、洪水、土砂災害、避難行動、医療、水害史・歴史資料保存等の観点からの台風19号に関する報告は、IRIDeSホームページに公開...

2019.12.6

災害時の補助犬に関する啓発活動に協力

 「補助犬」とは、特別の訓練を受け、視聴覚や身体が不自由な人の社会参加を助ける、盲導犬・聴導犬・介助犬の総称です。災害発生時、補助犬のユーザー(使用者)が避難する時は、ユーザーを助けるため犬も一緒に避難します。  IRIDeSの三木康宏講師は、災害医学の基礎研究を専門としますが、獣医師でもあることから、災害時の補助犬をめぐる課題にも注目してきました。1995年阪神・淡路大震災発生時は、指定避難所において補助犬受け入れは認められていませんでしたが、2002年に成立した身体障害者補助犬法により、指定避難所において補助犬の「同伴避難」受け入れ義務ができました。以降、補助犬は避難所でもユーザーを助け、離れず過ごすのが原則となりました。  「しかし、この法律がまだ十分に周知されていないのが課題です」と三木講師。災害時のみならず平時でも、公共性の高い場所では補助犬の受け入れ義務がありますが、レストランや病院等で、補助犬が拒否された事例が報告されています。もし災害時に補助犬受け入れが拒否された場合、ユーザーの命にかかわる可能性もあります。普段からの連携と啓発が重要と考えた三木講師は、「特別非営...

2019.11.29

“防災まちあるき”に参加しました

 2019年11月10日、片平地区まちづくり会が主催し、IRIDeSの佐藤健教授らが協力するイベント「まちに隠された忍者の認定書を手に入れろ!~第四回宝探しゲーム 政宗公からの密命~」が開催されました。これは、子ども・大人、日本人・外国人が仙台市片平地区を一緒に歩いて地域の防災を楽しく学ぶ活動で、「仙台防災未来フォーラム」の一環として実施されたものです。以下、IRIDeS広報担当が参加した体験記です。 情報管理・社会連携部門佐藤 健 教授 Start! 防災忍者となることを目指し、出陣式で士気を高めて出発  朝9時半、参加者70名(関係者含む)は仙台国際センター前広場に集合。本日の設定は「約四百年前、仙台を災害から守る忍者組織“三日月団”が伊達政宗によって作られた。これから参加者は班に分かれ、地図とヒントが書かれた紙を頼りに、片平の各所に隠された宝箱を探していく。宝箱に記された暗号をすべて集めて政宗公の密命を理解し、新たな忍者と認定されることを目指す」。忍者のお頭(今野均 片平地区連合町内会会長)を囲み、参加者は「えい、えい、おー!」と出陣式を行います。佐...

2019.11.22

インドネシア・アチェと学術交流

IRIDeSで開催されたAIWEST  日本とインドネシアは地理学や地形学的にも共通性が多く、いずれも数多くの災害が発生する国です。さらに東北とインドネシア・アチェは、いずれも巨大地震・津波の被災地でもあります。震災の教訓を継承することをミッションの一つとするIRIDeSは、世界のさまざまな機関と学術交流がありますが、中でもインドネシア・アチェとは活発な連携活動を行ってきました。IRIDeSは、アチェにあるシアクアラ大学数理学部および同大学津波災害軽減研究センター(TDMRC)、ならびにアチェ津波博物館と、それぞれ「部局間学術交流協定」を締結し、津波工学の研究や復興支援の活動等で協働を重ねています。  シアクアラ大学TDMRCは、2005年より「持続可能な津波災害復興に関するアチェ国際ワークショップおよび博覧会(AIWEST)」と呼ばれる学術会議を定期開催してきました。第12回目のAIWESTは初めてインドネシア国外で実施されることになり、2019年11月7~8日、IRIDeS棟にて開催されました。シアクアラ大学学長、および、アチェ研究の第一人者である京都大学...

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