2016.4.16
IRIDeSチーム現地入り 第一報 村尾修教授ら (vol. 5)
村尾修教授、森口周二准教授、柴山明寛准教授の3人のIRIDeSチームが熊本県の現地に入りました。第一報です。
・古い建物に被害集中。新しい建物は軽微な被害。
・断層沿いに被害が集中。特に瓦屋根の被害が多い。
・重要拠点としての役所の耐震化の必要性。
・直下型被害地域が拡大、広域化。
建築基準法の新耐震設計基準が施行される1981年以前に建設されたために、現行の耐震基準を満たさない、いわゆる既存不適格建物に被害が集中している一方、最近の建物は全体的に被害が軽微である。既存不適格が数多く分布するのは、熊本に限らず日本全国の地方都市に共通する大きな問題である。
1995年兵庫県南部地震でも老朽化した木造家屋の問題は指摘されていたが、まだまだ課題が多い。南海トラフの地震を考えた場合、こうした問題が大きな課題として残されている。
左の写真は,老朽化した旧住宅の横に新居を構えた家族の家であり、古い木造家屋は倒壊してしまっていた(上)。
基本的に断層に沿って建物被害被害が発生している。特に瓦屋根の民家の被害が多い。九州地方なので台風対策としての瓦屋根は有効だが、地震時にはトップヘビーな条件になるので、被害が出やすい。
宇土市役所は構造にまで被害が及び、災害対応重要拠点としての機能が果たせなくなってしまった。市役所周辺の建物はそれほど被害を受けていないので、市役所の耐震性が十分でなかった可能性がある。
繰り返し発生する余震による繰り返し荷重と建物自体の老朽化が大きな原因だとは思われるが、市役所は病院や小中学校とともに需要な防災拠点であるため、周辺の建物よりも耐震性に優れた状態を保つべく、より確実なメンテナンスと必要に応じた補強の徹底が望まれる。阪神淡路大震災の神戸市役所の被害の教訓が十分に活かされていない。
被害が大きいところでは,ガソリンスタンドに給油の列ができている、コンビニが閉まっている、信号が動いていないなどの混乱が残る。
震度5~6レベルの余震が高頻度に発生するため、一般市民も行政も対応が難しく、大きなストレスとなっている。少しずつ揺れの強い地域を変えながら頻発するので、直下型でありながら広域の被害のイメージを受ける。
既に土砂災害が多く発生しているが、本日予報されている降雨で確実にリスクは上がる。特にこれまでの連続した地震の中で大きな震度であった地域では要注意。被災者は,避難所での生活に既に強いストレスを感じていると思われるが、早目の自主避難が望まれる。とくに今夜に見込まれている豪雨と風によって、既に被害を受けている建物の脆弱性は高まっているので、より一層の注意が必要であろう。
2016年熊本地震に関する活断層現地調査 第一報 遠田晋次教授、岡田真介助教
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