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2016.5.26

日本独特の歴史資料保存活動 カナダ開催の文化財修復学会で発表(天野真志助教)(vol.19)

Processed with Rookie Cam 学会発表を行う天野助教ら

世界の文化財修復活動の転機となった1966年のイタリア・フィレンツェの大洪水から今年で50年。5月13-17日、カナダのモントリオールでアメリカ・カナダ合同による文化財保存修復学会が特別開催され、IRIDeSの天野真志助教(歴史資料保存研究分野)らが、独自の発展をとげている日本の歴史資料保存活動について発表しました。

 

災害時における歴史資料レスキューの実務を修復専門家が担当している欧米に対して、日本では歴史研究者が中心になって行っています。欧米では、歴史資料の大部分が公文書館、博物館等で保存されているのに対し、日本では資料の多くが一般市民所有であるという違いもあります。

 

 

 

 

頻繁にフィールドワークを行う日本の歴史研究者は地域との距離が近く、歴史資料が被災した場合にも地元の人々と連携して迅速にそのレスキューにあたるとともに、しばしば市民ボランティアの協力を得て資料修復作業を行ってきました。一方欧米では、歴史学者、博物館員、図書館員、保存専門家、修復家などと専門分化が進んでおり、歴史研究者が修復の実務を行うことはほとんどないようです。日本の研究者はいわば専門分野を超えたレスポンダーとしても、資料保存の中心的な役割を果たしているのです。天野助教らの学会発表は、歴史資料修復に対するこうした日本と欧米との違いを浮き彫りにし、学会参加者から大きな関心を持って受けとめられたということです。

 

天野助教v2 天野助教

日本では、阪神・淡路大震災や東日本大震災等を経て、歴史研究者のネットワークによる資料保全活動が独自の発展をとげる中で、課題も整理されてきました。これまで日本で活動の主力を担ってきた歴史研究者が、修復・保存・建築分野等、関連分野の専門家と連携すればいっそう効果的な活動となる可能性があり、天野助教らは、今後、互いの効果的な協働方法を探り、その成果をまた海外からの関心に答える形で学会発表したいと話しています。

 

 

 

 

 

 


 

【お問い合わせ】IRIDeS広報室 電話 022-752-2049、Eメール koho-office*irides.tohoku.ac.jp (*を@で置き換えてください)

 

 

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