2016.9.23
IRIDeSとハワイ大学が「世界津波の日」プレイベントを共催しました
昨年の国連総会で11月5日が「世界津波の日」に制定され、今年、初めての「世界津波の日」を迎えます。
9月15日~17日、IRIDeSは、東北大学と学術協定を締結しているハワイ大学マノア校と共催で、「世界津波の日」を記念したプレイベント「災害科学のコミュニケーション」(Communicating Disaster Science)を、ハワイ大学キャンパスにて開催しました。
本イベントの目的は、東日本大震災の経験・教訓を世界と共有しつつ、防災に関する国際連携を深めることです。
オープニングでは、デニス・コナン社会科学部長ほか関係者が、今回のイベントの意義や期待を述べたのに続き、今村文彦IRIDeS所長が「ハワイの皆さんと共に津波防災の国際的啓発に貢献できることを大変喜ばしく思います」と述べる映像メッセージを上映しました。
また、震災直後にハワイから支援を受けた元仙台育英学園高校生が、ハワイの方々へ感謝表明も行いました。
IRIDeSの越村俊一教授による基調講演では、東日本大震災の津波に関する分析に基づき、車による避難やハザードマップに依存しすぎることについての危険性を指摘し、出席者の大きな関心を呼びました。
また、ローバー・フォルカ助教は防潮堤に関する事例を、保田真理助手はハワイの学校関係者への防災教育セッションを、リズ・マリ助教はリーディング大学院生・ハワイ島ヒロの太平洋津波博物館長とともに災害記憶の継承に関する発表・議論を、それぞれ行いました。
防災に向けた学術―メディア連携の取り組みに関するセッションでは、IRIDeSの広報担当者および東北メディアの発表に続き、ハワイのメディア関係者を交えた議論が行われ、様々な課題が共有されました。
その他、ハワイ大研究者やローラ・コング・国際津波情報センター長による、津波に関する知見の講演等も行われました。
イベントの締めくくりには、ドキュメンタリー映画「大津波3.11未来への記憶」(今村文彦・IRIDeS所長監修)の海外初上映が行われ、約300人の視聴者を得て会場はほぼ満席となりました。
冒頭、智片通博・映画総合プロデューサー(IRIDeS特任教授(客員))が映画の紹介を行い、映画製作の経緯や映画に表れている日本の自然観・死生観に触れつつ、「この映画は震災について記憶しつづけるよすがです」と述べました。
上映後、地元ハワイの視聴者から「非常に説得力があってよかった。東日本大震災に関する映像は数多くあるが、英語のものは少なく、広範囲に関するまとまった内容は貴重です」と、感想が寄せられました。
今回のイベントは、通常の学会と異なり、メディア関係者や多くの市民の参加を得て、親しみやすくかつ多面的な充実した内容となりました。
歴史的に日本とつながりが深く、かつ日本と同じく津波の常襲地であるハワイでは、東日本大震災から5年経った現在も、震災の経験・教訓に関する関心が深いことも示されました。
IRIDeSは今後も、実践を重んじる国際研究所として、東日本大震災の教訓を世界につなぐべく尽力してまいります。
【お問い合わせ】IRIDeS広報室 電話 022-752-2049、Eメール irides-pr*grp.tohoku.ac.jp (*を@で置き換えてください)