2016.11.5
過去400年に世界で発生した津波を解析、可視化(今日は「世界津波の日」)
本日11月5日は「世界津波の日」。昨年暮れに国連総会でこの日が制定されて以来、初めて迎えることになります。「世界津波の日」にあわせ、IRIDeSの今村文彦所長、サッパシー・アナワット准教授ら研究チームは、過去400年間に全世界で発生した地震による津波について解析し、地図上で可視化した上、レポートとしてまとめて一般に発表しました。
今村所長ら研究チームは、世界における過去400年間の地震による津波災害(94例)に関する発生・伝播に着目し、各津波の高さ分布、流体力、到達時間などを計算しました。その結果、「1970-2016年」と「1600-1969年」の2つの異なるタイムスパンで最大津波高さ分布をみると、地域的に大きな違いがあることが明らかになりました。過去約40年間だけで見れば、主な津波被害はインド洋津波と東日本大震災によるものになりますが、さらに過去400年まで遡れば、リスボン、チリ、アメリカ西海岸など、より広範囲で大きな津波被害が発生していたことがわかります【図1~3】。また、研究チームは、津波の強さ・速さは高さと必ずしも一致せず、高さにだけ注意を払っていると予想外の場所で建物流出被害等が起こりうることも示しました。
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これまで、例えばインド洋など、限定的な地域でこれまで発生した津波を地図化した論文はありましたが、全世界で過去の津波を解析・可視化したのは今回が初めてで、また、年代によって津波発生地域に違いがあることに注目したことや、解析結果を一般公開するのも初めてと考えられます。
津波は低頻度大災害の一つですが、今回の結果は、現世代の記憶に残っている津波だけでなく、歴史的な津波災害の事実に留意し、より広範な地域で注意を払う必要性を示しています。今村所長・サッパシー准教授ら研究チームは、「このような科学的な分析結果を、全世界で津波対策や啓発活動に役立てていただきたい」とコメントしています。
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