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2018.10.12

インドネシア・パルにて津波被害に関する現地調査

 2018 年9 月28 日6:02pm(日本時間7:02pm)、インドネシア・スラウェシ島中部でM7.5 の地震が発生し、この地震および地震に伴って生じた津波・液状化・地すべりにより、大きな被害が発生しました。IRIDeS の今村文彦教授(津波工学)は、10 月4 日~ 6 日、震源近くの主要都市・パルおよびその周辺地域で、他の研究者やインドネシア政府関係者らとともに、いち早く津波被害に関する現地調査を行い、帰国後の10 月11日、IRIDeS にて調査結果を報告しました。

 当時のインドネシア政府が観測した潮位記録から、津波がちょうど満潮時に発生したことや、地震発生から6 分後に津波が到達し、水位差から4m の波高の津波が発生していたこと等が分かりました。震源から離れたパル湾で、大きな津波が短時間で到達したことになります。今村教授は「スラウェシ島沿岸部のマムジュ等他地域では潮位差数十cm で、大きな水位差を示したパル湾とは特徴が極めて異なっていました。パル湾の潮位記録は、今回のパル津波の実態を示す貴重なデータです」と指摘しました。

 また、今村教授は、パルにおける現地調査の結果、海岸線から約200 ~ 300m 内陸までは建造物被害が見られ、海岸線近くの建物は1階部分が破壊されているが、泥水の痕跡も残っておらず、水流が速かったことが推定されること、地盤沈下等も確認したこと、また、目撃情報も考慮すると、スプラッシュ(水しぶき)と呼ばれる現象により津波は10.4m の高さに達した可能性があることを報告しました。さらに、今回パル湾内で大きな津波が発生した原因は、地震直接ではなく揺れに伴って発生した海底地すべりであった可能性が高いと述べ、地形図等を用い、地すべりの規模や方向などに関する自らの考察を発表しました。

 

(写真提供:今村文彦教授)

パル湾で観測された潮位変化        (Muhari et al, JDR, 2018)

写真1 海岸線に近い建物。 赤線部分まで津波が到達した。

写真2 現地調査を行う今村教授

写真3 海岸線に沿って河口に架けられていた橋。 津波により大きく破壊された。

写真4 写真1の建物内1 階。津波の泥水の痕跡が 残っておらず、水流が速かったと推定される。

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