IRIDeS NEWs | 東北大学 災害科学国際研究所 IRIDeS

2019.7.26

シンポジウムの定期開催を通じて文理融合をはかる

 災害には多様な側面があり、異なる専門分野の研究者が協力して災害研究を進めることが重要です。しかし、専門分野によって前提や手法などが異なるため、学際研究、特に文系・理系双方の立場を融合した研究を行うのは、容易ではありません。
 
 IRIDeSの蝦名裕一准教授(日本近世史、歴史災害研究)は、2017年より毎年、文理連携シンポジウムの企画・運営を担当してきました。第3回目となるシンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開III―日本の災害文化―」は、2019年7月21日、IRIDeSにて一般公開で開催されました(IRIDeSおよび「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業東北大学拠点」の共同主催)。シンポジウムでは、津波工学研究の先駆者である首藤伸夫・東北大学名誉教授の基調講演をはじめ、蝦名准教授を含む歴史学や、工学、情報学など、文・理双方の研究者による災害文化に関する議論やパネルディスカッションが行われ、136名の参加者を得て盛況となりました。
 
 シンポジウムについて、蝦名准教授は「回を重ねるごとに、新たな研究分野の可能性が開け、手ごたえを感じています。所外からの参加者も増加傾向にあります。一方で、同一データでも文・理で解釈が異なるなど、専門分野による相違点も明らかになってきました」と述べます。異なる立場の研究者同士で議論を戦わせることが、研究を発展させるために重要であると、蝦名准教授は指摘します。
 
 東日本大震災を経て、史料のデジタル化が進み、組織間・地域間連携による史料保存活動も発展を遂げました。地域の災害情報を含む過去の貴重な情報が、全国での研究に活用できる方向へと進みつつあります。しかし、史料の解釈には専門的訓練が必要なため、史料の情報を充分に活用できていないのが課題です。蝦名准教授は、「今後、文理融合による研究を進める過程で、史料の情報を効果的に研究に取り入れることができれば、災害研究の飛躍的な発展も期待できます。これからもシンポジウム開催や日々の研究を通じて、文理融合の道を探求していきます」と抱負を述べました。

10_2_蝦名先生

人間・社会対応研究部門
蝦名 裕一 准教授

10_2_シンポジウム写真

パネルディスカッションの様子

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【お問い合わせ】IRIDeS広報室 電話 022-752-2049、Eメール koho-office*irides.tohoku.ac.jp (*を@で置き換えてください)

 

TOPへ