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2020.12.4

【活動紹介】DMATとしてドライブスルーPCR検査に従事

 

災害医学研究部門
稲葉 洋平 助教

 IRIDeSの稲葉洋平助教は、災害放射線医学分野の専門家として、放射線災害時に個人が被ばくした線量を迅速に推定するための研究を行っています。さらに、2018年12月より、研究・教育活動と並行して災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)のメンバーとしての活動も開始しました。

 

 DMATは、災害時に多くの命を救うために活動する、平常時から訓練を積んだ医師・看護師・業務調整員で構成される組織です。DMATにおいて、稲葉助教は業務調整員の資格を持ち、人・物の動きや組織間の調整、情報収集・分析を通じて、医師や看護師が効率よく円滑に動けるようにするロジスティクス分野の任務を担います。

 

 DMATは、通常は自然災害対応が中心ですが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、その対応にも尽力しています。2020年4月より稲葉助教も、宮城県におけるドライブスルー方式によるPCR検査にて活動を開始しました。開始に先立ち、まず稲葉助教は、医療関係者および宮城県・仙台市・自衛隊関係者等と協議しながら、安全に検査を行っていくための体制を協同して構築しました。その後はドライブスルーPCR検査が安全かつ効率的に行われるよう、運営面で尽力し、今日まで続けてきました。

 

ドライブスルーPCR検査の様子
(写真:稲葉洋平助教提供)

 現在行われているドライブスルーPCR検査は、本人確認・問診・体温測定・PCR検査等を車1台あたり約2分間で実施しています。しかし、大規模クラスター発生後、多数の濃厚接触者が一度に検査に訪れることもあるなど、当初の想定から外れた変則的な事態も日常的に発生します。そのような場面でも、人や物の動きを、安全性を確保したまま臨機応変に再構築し、滞りなく検査を続けていけるようにするのも、稲葉助教の仕事です。今までで最も多かった検査数は1日99件でした。感染者対応の最前線は、多忙な業務に加え、常に自身の感染リスクもつきまとう緊張を解けない場です。防護具を着用しての活動は過酷ですが、さらに屋外テント内での診療のため、夏は熱中症対策(気温は40℃にも達する)、冬は防寒対策が課題となります。

 

 日々の報道で目にするPCR陽性者数の一部は、稲葉助教らの、地道で粘り強い活動からもたらされたものです。すでに社会の感染症対策に不可欠となっているドライブスルーPCR検査ですが、感染症が長引き、関係者は困難にも直面しています。「この感染症では、DMATの活動がいつまで続くかわからない点が、自然災害と違うところです。長期にわたって緊張状況が続いている医療従事者へのメンタルヘルスケアも重要です」と稲葉助教。これまでのドライブスルーPCR検査は、関係者の志によって支えられてきました。しかし、長期化する感染症を、社会が医療従事者と協力してどう乗り切っていくかが、喫緊の課題として問われています。

 
 
 
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