組織・メンバー

寄附研究部門
地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門
研究テーマ
複合的で複雑な津波による被害の軽減を目的として、主に津波による土砂移動(黒い津波)に関する研究を現地調査や数値計算を基に取り組んでいます。また、津波氾濫+土砂移動+漂流物移動を一連で解析する津波統合モデルや、非線形分散波モデルの開発・高度化も行なっています。
研究キーワード
津波工学 / 海岸工学 / 津波計算 / 土砂移動計算 / 非線形波動
関連サイト
研究概要

大津波による強い流れは地盤を削り土砂を運搬し、黒い津波となって市街地に侵入します。土砂の混入や地形変化が波力の増加や浸水範囲等の津波挙動に影響する他、健康や環境被害にも波及します.従来の津波被害想定では、土砂移動の影響は十分に考慮されておらず、より正確なリスク評価が必要です。そこで、津波による土砂移動・地形変化を予測・評価するための数値シミュレーションモデルの高度化を図るとともに、土砂移動(黒い津波)に伴う津波リスクの評価法を検討しています。これまでに、東日本大震災の岩手県陸前高田市や宮城県気仙沼湾で生じた大規模土砂移動の再現計算を通じて、土砂移動や地形変化、被害拡大要因の特徴がわかってきました。

東日本大震災で観測・調査された複雑で複合的な津波被害の予測・評価、減災手法を確立することを目指して、土砂移動や漂流物移動を含む津波を再現可能な津波統合モデルの開発・高度化に取り組んでいます。これまでに、気仙沼湾における3.11津波(黒い津波や船舶漂流)を解析することに成功しました。漂流物は流れ場の影響を受け、流れ場は地形の影響を受けます。従来手法では扱えなかった、津波氾濫・土砂移動・漂流物移動の連成解析の実現により、複合的な津波被害予測の可能性が高まったと言えます。

その他、以下のような研究にも取り組んでいます。
・海岸林の津波減災効果に関する研究:海岸林が有する津波減衰・減災効果を定量化する他、海岸林を有効活用する津波減災研究に取り組んでいます。
・沿岸生態系(アマモ場等)の津波リスク評価に関する研究:津波による水産被害の軽減に資するデータを構築するために、津波シミュレーションを活用して津波外力と被害との関係性を調べています。
・都市型津波に関する研究:建物が密集する都市部に津波が浸水すると、津波は建物間で加速・合流して複雑な動きを見せます。こうした都市型津波を高精度・高効率に解析するための津波氾濫解析モデルの開発・高度化に取り組んでいます。
・非線形分散波モデルの高度化:波の非線形性と分散性を記述する様々な波動方程式系を基礎式とする非線形分散波モデルの開発・高度化に取り組んでいます。

主な業績
  • 山下 啓・菅原大助・有川太郎・鴫原良典・高橋智幸・今村文彦 (2018), 強い非定常流れにおける飽和浮遊砂濃度を考慮した津波土砂移動モデルの改善, 土木学会論文集B2(海岸工学), Vol. 74, No. 2, I_325─I_330, doi:https://doi.org/10.2208/kaigan.74.I_325.
  • Kei Yamashita, Anawat Suppasri, Yusuke Oishi, and Fumihiko Imamura (2018), Development of a tsunami inundation analysis model for urban areas using a porous body model, Geosciences, Volume 8, Issue 1, No. 12, doi:10.3390/geosciences8010012.
  • 山下 啓・鴫原良典・菅原大助・有川太郎・高橋智幸・今村文彦 (2017), 土砂移動が及ぼす津波ハザード及び建物被害への影響-東日本大震災の宮城県気仙沼市における津波氾濫・土砂移動・船舶漂流の統合計算-, 土木学会論文集B2(海岸工学), Vol. 73, No. 2, I_355-I_360, doi:https://doi.org/10.2208/kaigan.73.I_355.
  • Yamashita, K., Sugawara, D., Takahashi, T., Imamura, F., Saito, Y., Imato, Y., Kai, T., Uehara, H., Kato, T., Nakata, K., Saka, R., Nishikawa (2016), A., Numerical simulations of large-scale sediment transport caused by the 2011 Tohoku Earthquake Tsunami in Hirota Bay, Southern Sanriku Coast, Coastal Engineering Journal, Vol. 58, No. 4, 1640015 (28 pages), doi: 10.1142/S0578563416400155.
  • 山下 啓・柿沼太郎・中山恵介 (2016), 表面孤立波及び内部孤立波の特性, 土木学会論文集B2(海岸工学), Vol.72, No.1, pp. 27-41, doi:https://doi.org/10.2208/kaigan.72.27.
主な所属学会
  • 日本土木学会
  • 日本自然災害学会
  • American Geophysical Union (AGU)
主な受賞
  • Coastal Engineering Journal Citation Award of 2018
  • 平成24年度鹿児島大学学長表彰
  • 平成23年度土木学会西部支部研究発表会優秀講演賞受賞