2016.4.15
2016年熊本地震 古い木造家屋ほど倒壊(王欣助教) (vol. 4)
IRIDeS災害リスク研究部門の王欣助教は、年代別の木造家屋の全壊・全半壊率の予測値を算出し、今回倒壊したのは、比較的古い木造建築物が多い可能性を指摘しました。(以下引用可)
王欣助教は過去の地震被害関数に基づき、今回被害を受けた熊本県10か所につき、年代別の木造家屋の全壊率と全半壊率を算出しました。兵庫県南部地震の被害関数(村尾・山崎、2000)を用いると、1951年以前の古い木造家屋については、益城町で89.7%、熊本市で80.9%、宇土市で48.7%の高い全壊・全半壊予測値となり、1982年~1994年の建物については、益城町で41.7%、熊本市で 22.3%、宇土市で2.0%の全壊・全半壊率の予測値が算出されました。また中越地震などの建物被害データから求めた被害関数(翠川ら、2011)を用いると、1981年以前の旧基準の木造民家の全壊・全半壊率予測値は、益城町で25.8%、熊本市で6.0%、宇土市で0.2%となり、1981年以降の新基準の木造民家の全壊・全半壊率の予測値は、益城町で12.3%、熊本市で2.6%、宇土市で0.0%が算出されました。
分析の結果、全半壊率の予測値はいずれのケースも益城地区が一番高く、続いて熊本地区、宇土地区の順番となり、特に益城地区に集中していることが判明しました。古い木造家屋の倒壊が多いことは、現地のTV映像からも予想されていますが、研究データからも裏付けられた、といえます。
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