組織・メンバー

防災実践推進部門
2030国際防災アジェンダ推進オフィス
助教
博士(地球環境学)
HARA Yuta
はら ゆうた
気候変動適応防災学分野、災害統計グローバルセンター 兼務

兼任先 環境科学研究科
研究テーマ
自然環境と共生したレジリエンスの高い文化景観の評価、国内外における生態系の保全・持続的利用と防災・減災、住民生活が並立する社会の構築などの研究課題について、フィールドワーク、土地利用調査、GISを用いた空間統計分析などを駆使して取組んでいます。
研究キーワード
地理学 / 自然共生システム / 風土・景観 / 地域研究 / 地域計画
研究概要

地球環境との付き合い方を考える際、大地や大気、生物との関係のなかで培われた人々の知恵や営みへの理解が大切です。私は農山村の景観と空間立地を読み解くことで、土地利用の工夫の評価や、社会変容により生じる課題の改善に取組んでいます。
なかでも内陸中国の半乾燥地・黄土高原は地球環境問題の最前線です。森林と草原の劣化が、飢饉や貧困、水害・土砂災害、砂塵嵐、旱魃を引き起こしてきました。20世紀末からは世界最大規模の植林緑化と禁牧政策が進められましたが、地域の農業・農村環境を変化させたことで新たな課題も生じています。現在は、緑化後の社会変容を観察し、住民生活や食料・食文化の面から持続的な社会について考えています。

東南アジア諸国や中国などを対象に、過去の自然・文化景観(農村・都市開発、自然再生、自然荒廃など)を面的に復元する試みを進めています。これは、アジア近現代史を自然環境・災害の側面から再構築し、今後の防災、生態系保全、気候変動適応に関する諸政策に貢献しようとする取組みでもあります。そのために、機密解除された米国CIA/空軍偵察衛星画像や偵察機U2撮影の空中写真、ソ連軍参謀本部作成軍用地形図、旧植民地宗主国作成の旧版地形図、以上の関連文書、災害被害統計などを収集し、GIS(地理情報システム)を活用して空間分析を行っています。米国立公文書館やインドネシア国家研究革新庁、現地諸大学などの協力を得て進めています。

加えて、インクルーシブ防災のためのソリューション創出を目指す科学技術振興機構(JST)「SOLVE for SDGs」プロジェクトや、本学災害科学コアリサーチクラスター、災害統計グローバルセンター、災害レジリエンス共創センターのミッションにも参画しています。各地の社会的脆弱性の軽減に向けて、国内外のフィールドにおいて、諸分野の研究者や行政、地域の方々らと連携した課題解決型の学際・超学際研究に取組んでいます。
さらに、高等学校地理の副教材の執筆、JICA国別研修の講師、国連砂漠化対処条約締約国会議(UNCCD COP)や国連防災グローバルプラットフォーム(GPDRR)などの場での発表や情報発信も行っています。

主な業績

Hara, Y. et al. (2025). The “fallacy of composition” as an ethical challenge facing scientific research in disaster-affected areas: The 2024 Noto Peninsula Earthquake and Tsunami. International Journal of Disaster Risk Reduction, 119, 105359. doi: 10.1016/j.ijdrr.2025.105359

Hara, Y. (2022). Restoration of the distribution of pit-type yaodong dwellings in the 1970s using US military reconnaissance satellite images in Luoyang Basin, China. Journal of Arid Land Studies, 30(S): pp.253-257. doi: 10.14976/jals.32.S_253

原 裕太(2022). 中国北京郊外・河北省蔚県におけるアワ生産の現状―2019年夏季の調査より―. 雑穀研究, 37, pp.12-20.

原 裕太(2021). 中国における水田養殖業および水田養殖研究の展開と課題.E-journal GEO,16(1),pp.70-86. doi: 10.4157/ejgeo.16.70.

原 裕太ほか(2017). 黄土高原・陝西省呉起県農村における河岸地域の経済的優位性 : 呉倉堡郷の行政統計表を用いて.地理学評論,90A(4),pp.363-375.doi: 10.4157/grj.90.363.

主な所属学会
  • 日本地理学会
  • 人文地理学会
  • 農村計画学会
  • 日本沙漠学会
  • International Consortium of Landscape and Ecological Engineering
主な受賞
  • Best Presentation Award, 16th China-Japan-Korea Joint Conference on Geography
  • 環境情報科学センター 事務局長賞(優秀学会発表賞)