レジリエンスのフレームワークとして提唱された “4つのR”をレジリエントネットワークの実現に適用するには、自律分散協調の仕組みをネットワークに具備する必要があります。発災後に、ネットワークの機能と性能が低下することを防ぐには、RobustnessとRedundancyをそれぞれ「自律」と「分散」により実現することが可能です。ネットワークの機能と性能を発災前に戻すには、ResourcefulnessとRapidityを「協調」により実現可能です。
つまり、ネットワークが持つ「自律」と「分散」により、生き残ったネットワークが自律的に連携して、ネットワークを稼働し続けます。また、外部からのネットワーク資源(Ad-hoc NW)を投入し、生き残ったネットワークと「協調」することで、迅速にネットワークが復旧します。
EICT( Energy Information Communication Technology)により、フィジカル空間とサーバー空間が密接に連携したサイバーフィジカルシステムでは、フィジカル空間のモノ(Xi)をサイバー空間にデジタルツインとして構築可能です。
レジリエントEICT工学は、EICTをベースとして、自律分散協調システムをサイバーフィジカルシステムに適用することを目指しています。サイバーフィジカルシステムを構築するため、アーキテクチャ、プロトコル、デバイス等の技術の研究開発が必要となります。自律分散協調システムを構築するには、数理モデルと設計理論の研究開発が必要となります。社会工学的アプローチにより、サイバーフィジカルシステムに社会科学の領域を取り込むことができるものと考えています。
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