准教授
博士(医学)
國井 泰人
KUNII Yasuto
くにい やすと
東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故後の避難住民のメンタルヘルスの疫学調査と支援に携わってきた経験を活かし、これまで同分野が行ってきた東日本大震災の宮城県の被災者を対象とする健康調査や支援活動・普及啓発活動、また東日本大震災が被災住民の心の健康や地域の精神医療保健体制に及ぼしている影響の把握、その影響からの回復の支援や今後の災害への備えに有益な情報の抽出を継続するとともに、原発事故の影響を含めた福島県での疫学調査との比較を行うことでより質の高い解析を行い、より有益な支援の在り方を探りたいと考えています。その中で、福島県立医科大学と連携し、原発事故後の精神疾患入院患者の強制避難転院者の帰還支援プロジェクトも行っております。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の世界的感染拡大に伴い、日本は現在緊急かつ深刻な健康危機の状態に陥っています。今回のような感染症の広範な流行による緊急事態は「特殊災害」であり、五感で感知できず、終息が見えない災害という意味で原発事故後の不安な状況と類似しています。このような状況下で重要となるメンタルヘルスと心理社会的支援についても検討しています。
さらに、災害精神医学の前提として、精神疾患や心の健康の本質の理解に向けた精神医学研究が重要と考え、災害精神医学研究をその基盤となる精神医学の発展も見据えて進めるため、医学系研究科精神神経学分野と連携し、これまで培った死後脳研究の知識、技術、リソース、人的ネットワークを活かして、心的外傷後ストレス障害、気分障害、統合失調症などの精神疾患病態解明のための基礎的な生物学研究にも並行して取り組んでいます。