- メンバー
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- 概要
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グローバルヘルス政策学分野は、複雑化する地球規模の健康課題に立ち向かうための新たなアプローチを提示します。薬剤耐性や新興感染症の脅威、不健康な食事に起因する生活習慣病の蔓延、紛争や気候変動による人道危機に加え、国際的な開発援助体制の脆弱化や、悪意あるAIの利用といった、未来の健康を根底から揺るがす新たな構造的課題も出現しています。これらの課題を乗り越えるには、現状を正確に読み解く「解像度の高い地図」と、未来をより良い方向へ導く「実効性のある航路図」が不可欠です。
私たちのミッションは、この二つを創り出すことです。世界最大規模の疫学研究データなどを駆使して健康課題をかつてない解像度で可視化し、その科学的根拠を基に、国内外の政府や国際機関と共に、インパクトを最大化する政策という航路図を描き、その実装を支援します。
ここでは、知的な探求が社会の変革に結びつくことで、初めてその真価を発揮すると考えます。理論と実践、データと政策決定のダイナミックな往還の中から、世界を動かす知見を生み出す。次世代のリーダーとして、国際舞台で活躍したいと考える皆さんの参画を心から歓迎します。
- 主な研究紹介
グローバルヘルス政策学分野では、地球規模の健康課題を多角的に捉え、解決策を探るため、以下の4つの柱を中心に研究プロジェクトを推進しています。
1. 国際的な疾病負荷研究と政策応用 (Global Burden of Disease & Policy Application)
世界160カ国以上・1万人超の研究者が参画する「世界の疾病負荷(GBD)研究」の日本統括として、国内の疾病構造やリスク要因を詳細に分析します。その成果は、日本の国民健康増進計画「健康日本21」の評価や、次期計画策定の科学的根拠として活用されてきました。また、本分野の主宰者はGBD科学評議会委員として、国際的な研究戦略の策定にも関わっています。
2. グローバルヘルス外交と開発援助戦略 (Global Health Diplomacy & ODA Strategy)
各国の政府開発援助(ODA)が、本当に現地の健康課題解決に貢献しているのかをデータに基づき評価します。独自に開発したODA可視化ツール「VODA」などを活用し、日本のODA配分戦略や「グローバルヘルス戦略」の策定に貢献。ビル&メリンダ・ゲイツ財団など国際的なパートナーとも連携し、より効果的な国際保健協力のあり方を探求します。
3. 健康危機管理とデータ駆動型パンデミック対応 (Health Security & Data-Driven PPR)
福島第一原発事故における住民の健康リスク検証や、その後の国の防災指針改定への貢献など、災害・健康危機管理(EDRM)に関する豊富な実績を有します。新型コロナウイルスのパンデミックにおいては、「超過死亡ダッシュボード」を開発・運用し、リアルタイムでの死亡負荷の監視体制を主導。世界保健機関(WHO)の国際研究ネットワークにも参画し、日本の経験を世界のパンデミック対策へと還元しています。
4. 食と栄養改善のためのグローバル・ビジョン (Global Vision for Food & Nutrition)
世界の栄養政策を評価・可視化する最も権威ある独立機関の一つ、「Global Nutrition Report(GNR)」の専門家パネル委員として、国際的な栄養課題の進捗評価を担っています。高塩分食や栄養不均衡といった課題を国際的に指摘し、その知見は「東京栄養サミット」の主要議題やG7広島首脳コミュニケにも反映されました。食と栄養から、非感染性疾患(NCDs)の予防と健康寿命の延伸を目指します。