スマートフォンアプリで取得されるGPSデータや、携帯電話の基地局ネットワークで取得される滞留人口データを用いて、人々の移動や活動の定量的かつ動的な観察手法を実装しています。例えば、GPSで得られる人々の移動軌跡と歩数の情報を関連付けることで、人々がどこで移動・活動し、その結果どの程度の歩行を実施したのかを推定できます。これにより、災害などで日常的な活動空間が制限された際の人々の身体活動への影響を、広範囲かつ動的(あるいは遡及的)に評価することが可能となります。
人々の活動と同様に、都市環境も様々な空間ビッグデータから観察することが可能です。例えば、深層学習モデルによって街路景観画像から景観の構成要素を抽出することで、ある地点における景観の状態を定量的に把握することができます。これまでに取り組んだ研究では、ある地点の街路景観が高齢者の歩行を促進または抑制する環境であるかを機械的に評価するための統計モデルを構築しました。
Nagata, S. et al. (2020). Objective scoring of streetscape walkability related to leisure walking: Statistical modeling approach with semantic segmentation of Google Street View images. Health & Place, 66, 102428, doi:10.1016/j.healthplace.2020.102428
Nagata, S. et al. (2021). Mobility Change and COVID-19 in Japan: Mobile Data Analysis of Locations of Infection. Journal of Epidemiology, 31(6), 387–391, doi:10.2188/jea.JE20200625
Nagata, S. et al. (2021). Relationships among changes in walking and sedentary behaviors, individual attributes, changes in work situation, and anxiety during the COVID-19 pandemic in Japan. Preventive Medicine Reports, 24, 101640, doi:10.1016/j.pmedr.2021.101640
Nagata, S. et al. (2022). Development of a method for walking step observation based on large-scale GPS data. International Journal of Health Geographics, 21(1), 10, doi:10.1186/s12942-022-00312-5