持続可能なエネルギーシステムを地域社会に実装することをめざします。過去から現在、未来に至る「時間軸」、地域社会のエネルギー需給の特徴や偏在を明らかにする「空間軸」。この基軸に、エネルギー効率、CO2排出量等の「技術指標」と、脱炭素、豊かさ、経済性、セキュリティ、レジリエンス等の「価値指標」、さらにエネルギーシステムの「資源」「変換技術」「需要部門」のセクターカップリングを加えた、統合最適化手法を開発して、地域社会にふさわしいエネルギーシステムをデザインします。
地域のエネルギー需給の現況を、エネルギーフロー図を作成して明らかにします。過去から現在に至るフロー構成の変遷を可視化して、現在のエネルギー需給構造の課題を明らかにします。化石燃料への依存度、エネルギー利用効率、有効利用されていない排熱、地域再生可能エネルギー資源の未活用量と質などを、緻密なデータ分析に基づいて明らかにします。
エネルギー需給構造は、国内各地にて大きな偏在があります。燃料供給では、ガスパイプラインの有無によってガス供給価格差は5倍に拡がり、需要側では外気温度によって空調・給湯エネルギー消費量に2倍以上の差があります。国内を均一に扱うのではなく、国内各地域のエネルギー需給データを客観的に分析し、持続可能なエネルギーシステム設計のために重要なエビデンスを整備します。
Hiroaki Onodera, Rémi Delage, Toshihiko Nakata (2024), The role of regional renewable energy integration in electricity decarbonization—A case study of Japan, Applied Energy 363 (123118) 1-13, doi:10.1016/j.apenergy.2024.123118
Yoshiki Kusumoto, Rémi Delage, Toshihiko Nakata (2024), Machine learning application for estimating electricity demand by municipality, Energy 296 (131138) 1-10, doi:10.1016/j.energy.2024.131138
Régis Delubac, Rémi Delage, Toshihiko Nakata (2024), Nonlinear optimization of biomass fueled combined heat and power boilers in district heating systems in Japan, Clean Technologies and Environmental Policy, 1-15, doi:https://doi.org/10.1007/s10098-024-02746-w
中田俊彦 (2024), 地域社会の背景をふまえた脱炭素まちづくり. 學士會会報 964, 67-71
Rémi Delage, Toshihiko Nakata (2023), Directed recurrence networks, Chaos: An Interdisciplinary Journal of Nonlinear Science 33(11) 1-8, doi:10.1063/5.0173394