ナイキストパルスという新たな光パルスを提案し、これにより超高速でかつ周波数利用効率が高いコヒーレント伝送を実現しています。この研究は科研費の特別推進研究に採択され、世界的に大きく発展しました。また、ナイキストパルスを発生させるレーザを提案するとともに、その技術を一般化してレーザから任意の光パルスが発生させることが出来ることを実証しています。また量子雑音に着目して、従来では難しかった長距離・高速大容量のQAM/QNSC暗号伝送にも成功しています。
今日の携帯電話の研究開発では、基地局とアンテナを大容量で結ぶ5G/6Gモバイル光伝送技術が重要です。この光伝送のことをモバイルフロントホールと呼んでいますが、この区間にデジタルコヒーレント伝送や我々が提案しているフルコヒーレント伝送に取り組んでいます。特にフルコヒーレント伝送は高速でありながら高信頼で安価なシステム構築が実現できるので6Gには最適であり、注目されている技術です。また、コヒーレント通信において新たな問題点として、GAWBS(Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)雑音の重要性を指摘し、長距離伝送においてはこの雑音の補償が重要であることを示しています。
我々はレーザの周波数をアセチレン分子の波長1.5ミクロン帯の吸収線にロックした周波数安定化ファイバレーザ技術を有しており、その光源を利用して重力加速度計・地殻ひずみ計・津波計などの光ファイバ計測技術を開発しています。今までに東京大学地震研究所と新たな重力加速度計を開発し、さらにはJAMSTICと光ファイバ干渉計を用いた地殻ひずみ計や津波計について共同研究をしてきています。
M. Nakazawa, T. Hirooka, P. Ruan, and P. Guan, "Ultrahigh-speed “orthogonal” TDM transmission with an optical Nyquist pulse train," Opt. Express vol. 20, no. 2. pp. 1129-1140, Jan. (2012).
M. Nakazawa, M. Yoshida, T. Hirooka, and K. Kasai, "QAM quantum stream cipher using digital coherent optical transmission," Opt. Express vol. 22, no. 4, pp. 4098-4107, February (2014).
M. Yoshida, T. Kan, K. Kasai, T. Hirooka, K. Iwatsuki, and M. Nakazawa, “10 channel WDM 80 Gbit/s/ch, 256 QAM bi-directional coherent transmission for a high capacity next-generation mobile fronthaul,” J. Lightwave Technol., vol. 39, no. 5, pp. 1289-1295, March (2021).
M. Nakazawa, M. Yoshida, M. Terayama, S. Okamoto, K. Kasai, and T. Hirooka, "Observation of guided acoustic-wave Brillouin scattering noise and its compensation in digital coherent optical fiber transmission," Opt. Express vol. 26, no. 7, pp. 9165-9181, April (2018).
中沢正隆, 吉田真人, 葛西恵介, "光ファイバネットワークを利用した地殻変動および津波計測,"光技術コンタクト, vol. 54, no. 12, (2016), pp. 22-31.
令和5年4月1日付けで、「東北大学特別栄誉教授」の称号が授与されました。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/04/news20230406-nakazawa.html