○効果的で持続的な災害伝承手法の解明・開発
30年を超えて災害の記憶を伝承・継承することは一般には難しいと言われています。そこで、被災した地域におけるフィールド調査、インタビュー調査、質問紙調査を通して、過去の災害伝承の実態解明や、実災害におけるその効果の有無を科学的に明らかにします。調査研究で得られた知見の提供や、それにもとつく協働実践を通じて、東日本大震災の被災地において震災遺構等のメモリアル施設や、3.11メモリアルネットワークを中心に各伝承活動団体を支援しています。また、災害伝承の担い手やコーディネーターの育成手法についても研究しています。
写真は、気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館内の様子です。同施設には東北大学災害科学国際研究所の気仙沼市分室を設置しており、共同で調査研究・事業活性化を行っています。
○災害対応経験の記録化・継承手法の確立
被災した自治体においても、時間の経過とともに実際に災害対応業務を経験した職員は徐々に減少します。大規模災害で得た災害対応業務の経験を、未経験の職員や将来に継承するために、災害対応経験を災害エスノグラフィー手法によって記録化し、これを普段の業務や研修の中で活用することで、対応経験を効果的に継承するシステムを設計しています。
具体的には、宮城県や仙台市での事業を支援しています。写真は宮城県職員を対象に災害エスノグラフィー調査の様子です。
○情報爆発時代における災害時の情報処理過程の改善
現代は、災害発生時に様々な情報源・情報媒体から、多種かつ多量の情報が誰でも受信できる情報爆発時代をむかえています。情報の量が増える一方で、犠牲者は減らず、被災生活においても未だ情報不足による生活支障が発生しています。近年発生した災害の被災地において、情報爆発時代だからこそ発生している「人と災害情報」の間の現象や課題を学術的に再検証し、災害情報に関する具体的な提言を行う研究を実施しています。具体的には、自治体における災害対策本部(実災害。訓練)の参与観察、ツイッター等のSNSを取り巻く実態・課題を行っています。
写真は、気仙沼市危機管理課主催の「災害対策本部図上訓練」(2019年6月)の様子です。
政府・自治体、地域・活動団体、企業等との連携を積極的に行っています。連携・共同の実績はこちらをご覧ください。ご関心ありましたらご遠慮なくご連絡ください.
2021年5月にディスティングイッシュトリサーチャーの称号が付与されました。