クロスアポイントメント教授
博士(医学)
杉浦 元亮
SUGIURA Motoaki
すぎうら もとあき
兼任先 加齢医学研究所
我々は災害を生き抜く際に有利に働く個人特性(性格・考え方・習慣)を「生きる力」ととらえ、東日本大震災の被災者を対象とした聞き取り調査(図1A)と大規模質問紙調査(図1B)からその主要因子を調べました。その結果8つの因子「リーダーシップ」「問題対応」「愛他性」「頑固さ」「エチケット」「感情制御」「自己超越」「能動的健康」が抽出されました(図1C ; Sugiura et al., 2015)。これらのうち災害の場面・文脈によって異なる因子が重要な役割を果たすことも分かってきました(Sugiura et al., 2019, 2020)。
生きる力の個人差の脳内基盤解明のため、機能的MRI(図2A)などの脳活動計測技術を用いて、その各因子が発揮されている際の脳内情報処理を可視化する研究を進めています。例えば、想定外の状況(図2B)に創造的に対処しているときの脳活動と問題対応との関係(図2C;Miura et al., 2020a)や、他者意見の認識時の脳活動と頑固さとの関係(Miura et al., 2020b)などが明らかになっています。これらの知見は教育技術開発への貢献が期待されます。