2015年に仙台で開催された国連世界防災会議において「仙台防災枠組」が採択され、2030年までに各国が実現すべき防災活動が提唱されています。そのためには、学術、国際機関、NGO/NPO, 企業、自治体、コミュニティなどの様々なステークホルダーの参加が不可欠であり、それぞれが防災における役割を認識しつつ連携することが重要です。現在、マレーシアにおいて「地域コミュニティの安心と安全向上のための災害リスク理解に基づく防災力強化プロジェクト」をJICA、マレーシア工科大学、スランゴール州防災課と協力して実施しています。このプロジェクトでは、科学技術や研究結果に基づいた防災政策の立案や活動の実施を支援するとともに、コミュニティ主導の防災活動が可能な体制構築を目指しています。
国際人道支援の主なアクターは国際機関、国際NGO、ドナー、政府など様々です。その中でも、今後はローカルレベルのアクター、つまり国内で活動するNGOやNPO、地元企業、コミュニティの役割が注目されています。日本国内の災害でも、特に、人口減少や高齢化社会の影響から、自治体のみならず、NPOの支援やその役割は大きくなっています。そこで、特にNPOと自治体の連携に着目にしながら、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などの災害におけるNPOの役割と今後の展望について研究を行っています。
東北大学災害科学国際研究所は、環太平洋大学協会(Association of Pacific Rim Universities - APRU)と連携し、2013年にマルチハザードプログラムを立ち上げました。そのプログラムディレクターとして、サマースクール、リサーチシンポジウム、キャンパスセーフティープログラム(大学における防災力向上)などの教育活動の企画・運営に加え、"Progress in Disaster Science"という新しい国際ジャーバルをエルセビアから発刊し、災害科学研究の発信に努めています。さらに、研究成果や学術からの提言を国際的およびアジア地域の議論に反映させるために、国連機関と連携しながら、防災グローバルプラットフォームやアジア防災閣僚会議などの国際会議やシンポジウムにおいて、防災イノベーションに関するセッションの企画や運営を通して科学技術の貢献についても議論や連携を深めています。
15年以上の国際NGOや国連機関(UNHabitat, UNOCHA, UNDRR, UN Office for the Recorvery Coordinator for Aech and Nias)などでの実践やフィールド経験を基に、途上国や被災地の立ち場にたった支援の実現、研究の実践への貢献などに注力していきたいと考えています。