組織・メンバー

防災実践推進部門
レジリエントEICT研究推進オフィス
特任教授
博士(工学)
TORIMITSU Keiichi
とりみつ けいいち

研究テーマ
生体機能支援を可能にする神経・機械インターフェイスの創製、導電性高分子修飾繊維による 神経インターフェイスの構築と機能制御、繊維電極によるリアルタイム荷重計測システムの構築
研究キーワード
導電性高分子 / 繊維電極 / ヘルスケア / 脳神経 / シナプス
関連サイト
研究概要

 脳内では神経細胞がシナプスを介して情報の授受を行い、その結果として運動・感覚・認識・記憶制御が行われている。脳梗塞や脊椎損傷などによる運動不随などの機能障害は、このシナプス活動による情報交換に障害が起きた結果である。シナプスの仕組みは単純であるが、機能は複雑である。その機能を明らかにし、工学的に利用することで、失われた機能の代替が可能な神経・機械インターフェイスの構築による支援技術を開発することを目標にしている。現在までに、導電性高分子と繊維素材との融合を図ることで、埋め込みや、接触・非接触での計測が可能な電極の開発に成功している。生体適合性の高いこの電極は、ヘルスケア・医療の分野において重要な役割を果たすと考え、これまでにベンチャー企業を設立しその社会実装に取り組んでいる。

神経・機械インターフェイスの構築 ~人工シナプス~
我々の体では、シナプスにおける神経伝達物質の授受による電気信号の変化が神経活動として運動や感覚へと結びついている。現状の電動義肢は主に筋表面電極からの筋電を利用して運動制御を行っており、使用する電極により詳細な制御や長時間の装着は難しいのが現状である。繊維電極の高い生体適合性とフレキシブル特性を生かし、肌表面からだけでなく、直接運動神経を制御するといった人工的なシナプス刺激が可能であることがわかっており、近い将来、神経・機械の融合の実現が可能であると考えている。

繊維電極によるリアルタイムバイタル計測システムの構築
繊維電極は、単なる導電性の電極としてだけでなく、様々な機能を有する。これらの機能を利用した様々なバイタル計測システムを研究開発中であるが、ここでは、その一例として荷重・歪みセンシングへの応用を紹介する。
繊維電極は、繊維を金属を用いずに導電性化できるため、椅子やベッド、靴といった身の回りの物をセンサー化し、計測されていることを意識せずに「さりげなく」バイタルセンシング可能にする点で優れている。リアルタイムで得られた荷重やバイタルの変化をクラウド解析することにより、姿勢・歩き方を含めたバイタル情報を管理するシステムの構築を進めている。

主な業績

S. Watanabe, H. Takahashi, K. Torimitsu, Electroconductive polymer-coated silk fiber electrodes for neural recording and stimulation in vivo, Jpn.J.Appl.Phys., 56_037001-1-5, 2017

K. Torimitsu, H. Takahashi, T. Sonobe, Y. Furukawa, Activity measurement using conductive polymer flexible electrode, Proceedings ISBS 2014 St Petersburg Russia, Stress, Brain and Behavior, 1, 23, 2014

J. Baranovic, C. S. Ramanujan, N. Kasai, C. Midgett, D. R. Madden, K. Torimitsu, J. F. Ryan, Reconstitution of homomeric GluA2 receptors in supported lipid membranes: functional and structural properties, J. of Biol. Chem., 288, 8647-8657, 2013

Y. Furukawa, A. Shimada, K. Kato, H. Iwata, K. Torimitsu, Monitoring neural stem cell differentiation using PEDOT-PSS based MEA, BBA Gen. Sub., 1830, 4329–4333, 2013

S. Tsukada, H. Nakashima, K. Torimitsu, Conductive polymer combined silk fiber bundle for the bioelectrical signal recording, PLoS ONE, 7, e33689-1-10, 2012

主な所属学会
  • 日本神経科学会
  • 日本マグネシウム学会
  • 応用物理学会
  • Society for Neuroscience
主な受賞
  • Slow-Mag Award: Gordon Research Conferences (2002)
  • Best Poster Award: Gordon Research Conferences (2008)