研究・実践

2024年度 災害レジリエンス共創研究プロジェクト 採択課題

2024年度 災害レジリエンス共創研究プロジェクトとして採択された課題を掲載いたします。

  1 災害デジタルツインの開発に関連する研究

① Towards an Automated Development of Geospatial Digital Twins: Fusion of AI and Multi-modal Remote Sensing to 3D Urban-Scene Mapping

研究代表者

Bruno ADRIANO(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

Geospatial Digital Twins (GDTs) have emerged as a new technology for detailed urban environment modeling and process simulation in recent years. However, building an accurate GDT still requires enormous effort. For instance, the core GDT component, a 3D representation, is conventionally acquired by field and aerial surveys using expensive laser-ranging systems to transform 2D maps into 3D models. Thus, this research seeks to develop a novel framework for 3D mapping urban environments by fusing AI and remote sensing technologies. This research will use the Tanezaki Peninsula in Kochi City as a target area and evaluate its application for tsunami risk mapping.

② 2024年1月能登半島地震災害を契機とした奥能登地域の社会・コミュニティ・マクロ経済・行政のレジリエントな適応・変容シナリオの検討に資するソーシャルデジタルツイン開発に関する基礎的研究

研究代表者

立木 茂雄(同志社大学 社会学部)

研究の概要

2024 年能登半島地震後の奥能登2 市2 町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町)の社会・コミュニティ・経済・行政のソーシャルデジタルツインを構築し、奥能登地域の持続可能性を維持・向上させるための政策シナリオとその効果についてシミュレーションを実施し、奥能登地域に最適なレジリエントな適応・変容戦略を検討する。

③ 水害時における人口変動の要因解析・再現モデル構築による避難シミュレーションの精緻化に関する研究

研究代表者

山下 慎二(日本工営株式会社 中央研究所)

研究の概要

本研究では、防災気象情報による人口変動への影響把握、及び人口変動の要因の特定を行い、水害時における人口変動を再現するモデルを構築する。複数の水害事例や複数の自治体を対象に分析することで汎用的な人口変動の再現モデルを構築し、避難シミュレーションの妥当性を向上させることを目指す。

④ Foundation modal based multi-modal data fusion for efficient disaster response

研究代表者

Wei YUAN(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

Disaster response demands accurate, prompt, and context-sensitive decisions to mitigate loss of life and property. Traditional systems may lack the nuanced understanding needed to address built environment changes, especially local critical infrastructures, such as bridges, roads, power grids, and power supplies, which are vital lifelines ensuring essential services and stability. This research seeks to propose a novel disaster-aware multimodal AI framework that assimilates different sources of data (e.g. image, weather observation social media, and aggregated mobility flows) to enable the extraction of real-time and localized knowledge about critical infrastructure conditions and effects on local communities. This research will use Japanese metropolitan area as the target area and analyzed in the context of experiencing a Typhoon condition.

  2 4つの重点研究領域の研究内容に関連し、災害レジリエンスの向上に貢献する研究

 (1) 災害レジリエンス数量化研究領域

① 近代と現代の町の豪雨災害リスクと居住空間特性の評価

研究代表者

鈴木 温(名城大学 理工学部社会基盤デザイン工学科)

研究の概要

実在する中山間地の町を対象として、豪雨災害リスク評価に特化した現代と過去のモデルを構築する。これらのモデルを用いたシミュレーションにより豪雨災害リスクを定量化するとともに、都市計画分野の技術を用いて空間特性を分析し、過去から現代への町の変化がもたらした豪雨災害に対する耐性の変化を論じる。

② Resilience patterns of multiscale human mobility under extreme rainfall events using massive individual trajectory data

研究代表者

Yao Yao(LocationMind Research Institute, LocationMind inc.)

研究の概要

This research presents a framework utilizing massive individual trajectory data to dissect resilience patterns of human mobility across scales. The framework includes the following components: 1) Quantifying human mobility and resilience levels. 2) Extracting resilience patterns and their spatial heterogeneity. 3) Explaining differences in resilience patterns through social factors. This study will be analyzed in the context of Japan experiencing an extreme rainstorm event, with the Japanese metropolitan area as the study area.

③ マルチハザード下にある道路ネットワークの橋梁最適復旧モデル

研究代表者

石橋 寛樹(日本大学 工学部 土木工学科)

研究の概要

災害後の早期復興を実現するには、被害予測に基づく合理的な復旧計画の事前策定が需要である。本研究では、将来起こり得る地震動と津波(マルチハザード)の連続作用を受ける橋梁の被害予測から、道路ネットワークの交通機能(レジリエンス)を最大化する橋梁復旧計画の同定までを一貫して実施可能は枠組みを構築する。

(2) ヒューマンレジリエンス研究領域

① Preservation and Dissemination of Diverse Disaster Narratives through Kamishibai

研究代表者

Julia Gerster(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

This research investigates kamishibai's potential in disseminating diverse disaster experiences, particularly from minority perspectives, enhancing inclusive disaster education. We aim to translate kamishibai pieces related to the Great East Japan Earthquake (GEJE) into English and archive them at Stanford University for global accessibility. Additionally, we will develop three new kamishibai narratives based on interviews with foreigners who experienced the GEJE in Tohoku. Through participant surveys at kamishibai performances, we seek to explore the efficacy of performing arts in disaster education. This initiative aims to broaden understanding and preparedness for disasters while preserving and sharing unique narratives.

② 大規模災害犠牲者の身元確認および死因究明における死亡時画像診断(Autopsy imaging: Ai)の活用

研究代表者

小林 智哉(東北大学 大学院医学系研究科)

研究の概要

災害犠牲者の身元確認を迅速かつ正確に行うことは、ご遺族のウェルビーイングや災害レジリエンスに関連する。また、災害犠牲者の死因を明らかにすることは災害死、災害関連死を予防する上で重要である。本研究の目的は、大規模災害犠牲者の身元確認および死因究明において死亡時画像診断(Ai)の活用を検討することである。

③ The Disaster Picture Book Project—international comparative analysis of narratives, texts, and images in disaster pictures books

研究代表者

Elizabeth Maly(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

The research in this Disaster Picture Book Project 「震災絵本プロジェクト」includes: 1) an investigation and inventory of disaster picture books;  2) analysis of the narratives, text, and images used in the pictures to convey the stories and experiences of disasters;  3) categorization and grouping of disaster pictures books based on themes and above-mentioned aspects;  4) characterization of “3.11 disaster picture books” (about the Great East Japan Earthquake, tsunami, and/or nuclear accident); and  5) comparison of 3.11 disaster pictures books with picture book about other disasters insides and outside Japan.

④ 防災行動変容の2経路モデルの脳実証

研究代表者

三浦 直樹(東北工業大学 工学部)

研究の概要

防災教育動画は、災害の自己関連性(自分事である)と対策の自己効力感(自分で実践できる)の統合によって行動変容を促すと想定される。本研究では地震津波発生メカニズム解説動画と津波避難行動推奨動画を用い、動画視聴中及び地震津波避難意思決定課題遂行中の脳活動を機能的MRIで計測し、この2経路モデルを検証する。

⑤ 災害シミュレーションを用いた行動実験パラダイムの開発を通した災害後協力とウェルビーングの実験的検討

研究代表者

水野 景子(関西学院大学 社会学部)

研究の概要

災害状況における協力は、被災者のウェルビーングおよびレジリエンスの向上に不可欠である。本研究は参加者約1000 人の大規模実験で災害をシミュレートすることで、災害後協力・被災者のウェルビーングに関する心理学的メカニズムの解明・効果的な予防的介入法の同定を目指す新たな学際的な実験パラダイムの開発を目指す。

⑥ Rooted placemaking to support long-term housing and community recovery after the 1995 Great Hanshin Earthquake and 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami

研究代表者

Tamiyo Kondo(Kobe University)

研究の概要

This research will investigate the role of rooted placemaking in the long-term recovery of communities affected by the 1995 Great Hanshin Awaji Earthquake in Kobe, and 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami in Tohoku. Rooted placemaking includes: 1) blue-green infrastructure with community participation and 2) community-based planting and growing projects. From the analysis of case studies, this research will clarify: ・Effective community involvement in civic scale blue-green infrastructure projects, and networks/mechanisms to support rooted placemaking at the local scale, such as community gardens, as part of neighborhood recovery ・ Contributions of rooted placemaking to community resilience across disaster cycle phases

(3) 災害情報キュレーション研究領域

①  短文形式の復興省察と災害伝承手法の開発

研究代表者

宮本 匠(大阪大学 人間科学研究科)

研究の概要

本研究は、短文形式で災害から現在までの出来事を言葉にして表現する手法「3.11 からの独り言」の作成を東日本大震災の被災地で展開することを通じて、短文形式での復興のふりかえりや災害伝承の意義と可能性を明らかにする。個別の被災者による作成だけでなく、集団で作成するワークショップ手法の開発も行う。

②  災害時における文化遺産救済を目的とした文化遺産マップの構築および活用の研究

研究代表者

鈴木 比奈子(専修大学 文学部)

研究の概要

文化財や民間所有の歴史資料といった文化遺産が、自然災害によって被災するリスクに対し、東北大学が整備する文化遺産データベースと防災科学技術研究所が提供するリアルタイムの災害情報や自治体が提供するハザードマップなどの防災情報をWeb-GIS で統合した「文化遺産防災マップ」を用いて、文化遺産に対するハザードへの曝露状況の可視化と災害時における文化遺産の劣化・破壊を事前に予防する手法を検討する。対象としては、令和6 年能登半島地震における発生直後の文化遺産被災推定と実際の被災状況の比較、また岩手県における文化遺産防災マップを活用した図上訓練などから、文化遺産のハザードへの曝露状況へのより効果的な情報構築と被災予測情報の構築を研究する。

③ 超デジタル時代における「情報の保護・保存」を越境する「情報の意匠」の追究:本人では伝えられなくなる震災証言・経験を科学的に効果的にデジタルで実践する

研究代表者

齋藤 玲(東北大学大学院 情報科学研究科 / 災害科学国際研究所)

研究の概要

震災証言・経験は、時間経過に伴い、本人では伝えられなくなる。最新のデジタル技術は、それらを“効果的に”伝承する可能性を拓く。本研究では、「情報の意匠」としての証言・経験のデジタルデザイン(例:自然言語から画像・地図等を生成し組み合わせる)を試行し、それらの有効性を確かめ、未来の教育実践に提言する。

④ 復興過程における「脆弱性の再生メカニズム」の解明:中部スラウェシ地震の沿岸部と内陸部の比較分析から

研究代表者

井内 加奈子(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

復興過程で、従前よりも不利な立場に置かれている中部スラウェシ地震被災地内陸部のコミュニティと住民を対象に、データ収集やインタビューを行い、「脆弱性の再生メカニズム」を国際検討研究会の開催等を通じて考究する。最終的に、包括的で公正な復興過程を推奨する国際社会にむけた政策提言への示唆を得る。

⑤ 国民自身の災害対応力向上を支援するデジタルコンテンツの作成と評価

研究代表者

野中 小百合(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

災害課題は平時での社会課題と同時に解決することが望ましい。しかし災害対応を考えることは、専門家や特定の職種が多く、社会課題まで議論が及ばない。災害と社会課題の同時解決には市民レベルでの理解が必要であり、その啓発・教育方法が課題である。本研究はどのような手段が市民の理解と行動に有効かを明らかにする。

⑥ 地域自然災害アーカイブのためのプラットフォームの構築

研究代表者

竹内 裕希子(熊本大学大学院 先端科学研究部)

研究の概要

熊本県(熊本大)、岐阜県(岐阜大)、東北地域(東北大)、長野県(信州大)、防災科研の防災研究者が、これまで培ってきた地域災害アーカイブの知見を結集し、自然災害アーカイブの構築で最も負担となっていたシステム構築、運営、維持管理を容易にするための連携・協働が可能なプラットフォームの構築の研究を実施する。また、令和6 年1 月1 日に発生した能登半島地震のアーカイブ構築を支援する。

(4) 災害レジリエンス共創領域

① 防災に関する行動変容促進手法の体系的整理と新たな手法の探索

研究代表者

福島 洋(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

本研究では、ワークショップと文献調査により既往の防災に関する行動変容促進手法や新たな手法開発の必要性を概観したうえで、公衆衛生学における手法との対比を手がかりとし、既往の手法や不十分な点を体系的に整理する。その結果の分析を通じて、防災に関し効果的かつ現実的に実行できる可能性のある行動変容促進手法をリスト化する。

② 日本海溝型地震に伴う津波のリアルタイムリスク評価~八戸市を対象としたレジリエンス強化のための事例検証~

研究代表者

高瀬 慎介(八戸工業大学 大学院工学研究科)

研究の概要

本研究では八戸市を対象に、近い将来襲来が想定されるいくつかの地震・津波シナリオについてシミュレーションを行い、これらを入力データベースとした逐次更新型リアルタイム津波リスク予測手法を適用する。また、沿岸部浸水リスク予測結果をXGIS 上に実装し、可視化することで、津波リスクの見える化を行う。

③ Web GISを活用した学校教員向けリスクコミュニケーション手法の高度化〜学区の災害リスクの理解に基づく実践的な避難計画の社会実装に向けて〜

研究代表者

桜井 愛子(神戸大学大学院 国際協力研究科)

研究の概要

本研究は地理院地図、重ねるハザードマップ等のWeb GISを活用した学校教員向け研修パッケージを開発し、学校が学区の災害リスクを踏まえ災害時に適切なタイミングでの安全な避難が行われるための「避難確保計画」を策定し、これらが学校防災マニュアルに統合され、避難訓練や防災教育との連携が図られることを通じて、学校教員向けリスクコミュニケーションモデルの高度化が図られることを目指す。

④ 自治体の防災格付けに関するフィージビリティスタディ

研究代表者

小野 裕一(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

自然からの外力や発生頻度を基にしたハザードのレベルとそれに対してソフトやハードやハートでの備えの力や復興力の要素を勘案して、ハザードをどれだけ下げられるかを地方自治体レベルで数値化して作成する防災格付けの方法論、効果や実効性について研究者と産業界の専門家が一緒になってフィージビリティスタディを行う。

⑤ 仙台防災枠組におけるグローバル指標の更なる社会実装に向けて:インドネシア・アチェを事例に

研究代表者

原 裕太(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

本研究は、仙台防災枠組の進捗評価の際等に用いられるグローバル指標の更なる社会実装に貢献するべく、発展途上国のパイロット事例としてインドネシア・アチェ州の複数の市県を選定し、申請者らが実施した仙台市での既往研究等を参考にしながら、地方レベルでグローバル指標の社会実装を図る際の課題を明らかにして政策提言に繋げる。

⑥ 局面急変下での農林業資源・生態系の維持管理意向と計画化:令和6年能登半島地震からの復興

研究代表者

山下 良平(石川県立大学 生物資源環境学部)

研究の概要

令和6 年能登半島地震以前から農林業や生態系の持続的管理が危機的状況にあった能登半島において,なし崩し的な農林地の放棄は自然災害の誘因となり,再度住民が定着する環境を著しく劣化させることが危惧される。本研究では,初動期の現段階で緊急的に農林業者の維持管理意向を情報収集し,公的計画に対して提言する。

⑦ 日本の災害関連死に関する医学的定義の欠如が引き起こす制度上の問題とその解決策

研究代表者

坪井 基浩(さいたま赤十字病院高度救命救急センター)

研究の概要

災害時の健康影響のなかで災害後の間接的な死亡の削減は重要な課題だが、現在の災害関連死制度は弔慰金制度に基づいており必ずしも医学的定義には基づいていない。本研究は、東日本大震災における災害関連死匿名化資料を用いて医学的側面を定量的に解析し、学際的に災害関連死のよりよい定義と社会実装を目指す。

⑧ 「自宅の耐震化」「支援・受援」をめぐる市民の防災行動・認識の研究

研究代表者

中鉢 奈津子(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

市民および防災関係者へインタビューを行い、日常生活で市民が防災行動を起こす、あるいは逆に防災をためらう各文脈を明らかにする。特に「自宅の耐震化」「支援・受援」に焦点を当て、半構造化インタビューを行う。得られた研究知見は、防災上の「弱点の把握とその解消」へつなげていく。

⑨ Disability in Inclusive Disaster Risk Reduction: Ableism and the Furthering Social Justice Through Co-creation of Knowledge and Perception on Disability

研究代表者

Sébastien Penmellen Boret(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

“Leave No One Behind” from the United Nations Sustainable Development Group encourages us to include vulnerable groups, particularly people with disability, in disaster risk reduction. People with disability receiving nonadapted disaster preparedness are still likely to be left at higher risks and vulnerable when facing hazards. One of the hurdles to providing for the needs of people with disability during disasters is a lack of understanding of their actual conditions and challenges in daily life. In other words, the erroneous preconceptions about disability stop society from identifying the needs of people with disability and building the coping capacity for disasters. This research fills this gap by developing an approach to inclusive disaster risk reduction for people with disability to provide a comprehensive and impartial understanding of their capacity and needs during disasters.

⑩ 神奈川県柏尾川流域における地下文化遺産を活用した災害リスクの評価

研究代表者

小倉 拓郎(兵庫教育大学 学校教育研究科)

研究の概要

地下文化遺産は、 長い歴史の中で様々な自然災害を経験しながら存続する、 地域の災害リスクをより精緻に把握する災害石碑同様の重要な指標となる。 気候変動に伴う近年の風水害発生頻度の上昇に伴い、これまでとは異なるリスクに晒されているUBHと地形・地質情報を可視化することから、地域の災害リスクを評価する。

⑪ Challenges of Disaster Risk Communication for Foreign Visitors in Disaster Preparedness of Japan: A Case Study of Korean Tourists

研究代表者

Hyejeong Park(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

The Japanese government has prepared emergency guidelines to protect foreign visitors and secure their safety from disaster risks. However, during the 2024 Noto Peninsula Earthquake, there was minimal risk and disaster information related to the situations and response (evacuation shelters and medical support) for foreign visitors. Considering the growing number of foreign visitors, there is a need to improve disaster risk communication for visitors who are not familiar with the Japanese disaster management system. Thus, this study investigates how disaster risk communication could be improved for the Japanese government and foreign visitors, mainly from South Korea, to avoid unnecessary damages from future disasters.

⑫ 五島列島における潜伏キリシタン集落の形成・立地と災害リスク評価に関する研究

研究代表者

原 裕太(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

長崎県五島列島を対象に、潜伏キリシタン集落の立地と災害リスクの関係性を定量・定性両面から明らかにする。さらに分析結果を地域と共有し、住民や教会等と協働して高リスク地域のレジリエンス向上を目指す。当研究は、2022 年度レジリエンス共創研究プロジェクトで実施した研究で得られた成果から派生して展開しており、今年度を最終年度として実施する。

⑬ 居住地選択における認知バイアスの影響と移転した被災者のQOL回復構造

研究代表者

青木 俊明(東北大学 国際文化研究科)

研究の概要

転居した被災者にとって、新たな地域でのQOL の回復が重要になる。QOL は住環境の影響を強く受けるため、居住地選定が重要になるが、その際に生じる認知バイアスの影響は明らかになっていない。本研究では、質問紙調査等を行い、移転した被災者のQOL 回復構造や居住地選択の際に生じる認知バイアスの影響を明らかにする。これにより、QOL の低下を抑える移転施策を提案する。

⑭ 祭礼の継承を担う地域の災害脆弱性の評価とレジリエンス強化に向けた検討

研究代表者

佐藤 弘隆(愛知大学 地域政策学部)

研究の概要

本研究では、GIS を用いた定量的アプローチによって、祭礼の継承を支える地域の災害脆弱性を空間・社会的に評価する。そして、災害に脆弱な地域で行われる祭礼を対象に、定性的なフィールドワーク調査を行い、災害に対する祭礼の運営主体の課題を把握し、その課題を共に解決するための方法を検討する。

  3 人流データを活用した社会動態の解明に関する研究

① 人流データの時系列変動分解に基づく災害レジリエンス情報の解析

研究代表者

山口 裕通(金沢大学 理工研究域 地球社会基盤学系)

研究の概要

本研究では、大規模な時空間データである人流データのパターン分解によって、突発的な変化を検出・評価する。具体的には、近年に日本で発生した移動行動の突発的な減少事象(災害ダメージ)とその回復過程を定量的に明らかにし、能登半島地震等を含む、複数の災害事象の情報を収集・解析しその特徴を解明する。

② 合成人流データを用いた令和6年能登半島地震発生時の津波避難モデルの構築

研究代表者

永田 彰平(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

本研究では、令和6 年能登半島地震前後に石川県で取得されたGPS データとモバイル空間統計の合成人流データを構築し、地震前後の精緻な人流解析を行う。これにより、発災時の津波避難行動と環境要因や個人の属性の関係を定量的に明らかにし、それらの要素を取り込んだ津波避難モデルの構築を目指す。

③ 人流データと社会調査を組み合わせた中小規模洪水災害の被災者の復興過程の解明

研究代表者

佐藤 翔輔(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

地球温暖化の影響で今後も頻発化すると予想されている中小規模洪水災害に着目し、今後の同様な洪水災害の被災地・者に対して、効果的な復興や生活再建に関する基礎的な知見を提供することを目的にして、2023 年7 月秋田豪雨および2023 年台風13 号の被災地における復興過程を人流データおよび社会調査を用いて科学的に分析する。

④ デジタル避難モデル上でのデータ融合による避難行動分析手法の開発と令和6年能登半島地震への適用

研究代表者

今村 文彦(東北大学 災害科学国際研究所)

研究の概要

⼈流データといった避難⾏動を記録するあたらしい社会データをデジタル避難モデル上に集約し、シミュレーションデータと融合することで、津波襲来時の動的な⼈間⾏動を分析する⼿法を開発する。開発した⼿法を令和6年能登半島地震津波の事例に適⽤し、強震動を伴う津波避難リスク分析の⾼度化に資する知⾒を創出する。

⑤ 複数のビッグデータソースを組み合わせたトリップチェーン拡大法の開発

研究代表者

塚井 誠人(広島大学大学院 先進理工系科学研究科)

研究の概要

携帯電話の人流ビッグデータ(携帯電話ビッグデータ)を交通調査に活用するには、従来法との異同を明らかにする必要がある。本研究は都市圏パーソントリップ調査、携帯電話ビッグデータ、および携帯端末のGPS データを用いて、居住者と来訪者のトリップチェーンの拡大手法を開発して、OD 交通需要の異同を明らかにする。

⑥ Incorporate the Mobility Dynamic into the Flood-affected Population Estimation

研究代表者

Jinyu Chen(The University of Tokyo)

研究の概要

Estimating flood-affected population is essential for effective flooding disaster preparedness and mitigation. Traditionalapproaches to this estimation have not incorporated the mobility dynamic into the flood-affected population estimation,leading to an underestimation of actual flood-affected population. This research will incorporate the mobility dynamic into the flood-affected population estimation, combining big mobile phone GPS data with multi-scenario simulation, Bayesian and deep learning modeling. The research is done with two work packages: (WP1) Multi-scenario estimation of distribution of directly and indirectly flood-affected populations; (WP2) Fine-grained characterization of directly and indirectly flood-affected populations. The research will contribute to efficient intelligent and emergency response.

⑦ 大雨災害時の救助に着目した人流データ推定結果の有用性検証:秋田市での令和5 年7 月以降の記録的大雨を対象とした事例研究

研究代表者

門廻 充侍(秋田大学 新学部設置準備担当)

研究の概要

令和5 年7 月14 日以降の記録的大雨により、秋田市中心部では大規模な冠水が発生した。本研究では、同災害における秋田市中心部で実施された救助に着目し、人流データの利活用方法を検討/整理することで、リアルタイムデータを活用したより良い救助方法の創出を目指す。

⑧ 人流データ等を活用した経済被害の推定手法構築等に関する研究

研究代表者

森田 格(日本工営株式会社 中央研究所)

研究の概要

本研究では、人流データによる災害時の生活や経済活動の変化の把握や、人口変化パターンの推定を行うとともに、災害時における経済被害予測モデルを構築する。複数の災害事例を対象に分析することで汎用的なモデル(予測式)を構築し、地域産業等のレジリエンスに資する評価技術の確立を目的とする。

⑨ インクルーシブ災害マネジメント:複合災害における時空間避難行動分析

研究代表者

Sunkyung Choi(東京工業大学 環境・社会理工学院融合理工学系)

研究の概要

本研究では、インクルーシブ災害マネジメントの向上のため、複合災害における要配慮者(観光客や高齢者)の時空間的な避難行動について、日本における複数の観光都市を対象として災害種類別に横断的な分析を行う。ガイドラインやレポートのテキスト分析、避難行動に関するアンケート調査、また災害時における時空間避難行動をパターン化するアルゴリズムとグラフ理論に基づき都市間の比較分析を実施する。

『災害レジリエンス共創研究プロジェクト』

 

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