研究・実践

2020年度 共同研究助成 採択課題

2020年度 共同研究助成として採択された課題を掲載いたします。

災害アーカイブ学

1 利活用を踏まえた震災アーカイブの自立的運用モデルに関する研究(継続)

研究代表者

廣内 大助(信州大学学術研究院 教育学系)

所内共同研究者

柴山 明寛(情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野)

研究の概要

本研究では、東日本大震災で構築された震災アーカイブや防災教育の知見を活用し、2014年神城断層地震,2016年熊本地震の被災自治体において震災アーカイブを構築(一部運用開始)し、この自立的運用を目指した利活用方法を防災教育と生涯学習の側面から検討し、そのプログラムを試行的に実践することを目的とする。

2 自然災害伝承碑アーカイブの構築(継続)

研究代表者

上椙 英之(国文学研究資料館 古典籍共同研究事業センター)

所内共同研究者

蝦名 裕一(人間・社会対応研究部門 災害文化研究分野)

研究の概要

本研究では、現在津波碑を対象として構築中の東北大学災害科学国際研究所の「ひかり拓本データベース」のデータの対象を、津波碑以外の水害碑や飢饉碑といった自然災害伝承碑全般に拡大し、北海道から東北地方にかけての総合的な自然災害伝承碑のデータベースとして拡充することを目的とする。

3 治水投資額と被害軽減効果の将来予測における新展開(新規)

研究代表者

石渡 幹夫(東京大学 新領域創成科学研究科)

所内共同研究者

佐々木 大輔(情報管理・社会連携部門 社会連携オフィス)

研究の概要

災害統計データを活用し、災害の規模・特徴等が防災投資に与えるインパクトを明らかにする。災害種は水害を想定しており、治水投資額・被害軽減効果の将来予測手法を開発するとともに、投資資金を確保するための施策について政策提言を行う。本研究は、防災の政策及び国際援助方針の策定に貢献する実践的な研究である。

4 災害アーカイブを活用したPRERADE (Preparedness for Better Response, Recovery and Reconstruction: Learning from Disaster Ethnography)の方法論の確立(新規)

研究代表者

田中 聡(常葉大学大学院 環境防災研究科)

所内共同研究者

佐藤 翔輔(人間・社会対応研究部門 防災社会システム研究分野)

研究の概要

本研究では、震災10年にむけて仙台市と共同で職員の災害対応のアーカイブス構築を完成させるとともに、これまで蓄積されてきた災害アーカイブスを活用したワークショップ研修の記録を分析し、手法を確立するとともに、手順を標準化し、本研究チームの支援がなくともどこにでも実装できるパッケージを開発する。

5 大規模災害における生命をめぐる対応の事例収集および教訓の防災教育への活用の分析(新規)

研究代表者

田中 成行(岩手大学 教育学部)

所内共同研究者

蝦名 裕一(人間・社会対応研究部門 災害文化研究分野)

研究の概要

本研究では、大規模災害時における被災者救済や死者への対応といった生命をめぐって自治体や住民組織が実施した対応について、ヒヤリングやアンケートによって事例を収集する。また、こうした大規模災害の経験が地域の中でどのように教訓化されるのか、各地の伝承施設や学校現場での活動について研究・分析をおこなう。

6 災害アーカイブを用いた地域教育支援プラットフォームの検討(新規)

研究代表者

柊 和佑(中部大学 人文学部)

所内共同研究者

柴山 明寛(情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野)

研究の概要

代表者は、自治体・地域住民が中心となって管理運営・アップデートする持続可能なデジタルアーカイブの研究を行っている。本研究は、各地の地域教育について調査・整理し、教育コンテンツとして継続的に利活用できる災害アーカイブに関して検討を行い、自治体と地域住民によってアップデートされ続けるデジタルアーカイブ基盤の検討・構築を目的とする。

津波減災学

1 津波発生時の局所避難情報伝達手段の基礎検討(継続)

研究代表者

山﨑 達也(新潟大学)

所内共同研究者

佐藤 翔輔(人間・社会対応研究部門 防災社会システム研究分野)

研究の概要

津波発生時に迅速な避難を促すために、公共交通機関と無人航空機を組み合わせた局所的な避難情報の伝達手段を検討する。マルチエージェントシミュレーションを用いて、提案手法の有効性を統計的に検証した後、新潟市を対象とした避難誘導計画の策定を行う。

2 川崎臨海部における災害デジタルツインによる次世代防災システムの検討(継続)

研究代表者

大石 裕介(富士通研究所 人工知能研究所)

所内共同研究者

今村 文彦(災害リスク研究部門 津波工学研究分野)

研究の概要

迅速かつ安全な津波対策の実現に向けて、人工知能とシミュレーションのよるモデル化による災害の状況をリアルタイムに写像し、近未来の災害状況を可視化する災害デジタルツインを川崎市臨海部において構築し、災害時の適切な避難誘導を含む対策を可能にする次世代防災システムの検討を産学官共創により進める。

3 災害研の設備を活用した古津波の波源推定手法の高度化(新規)

研究代表者

後藤 和久(東京大学大学院 理学系研究科地球惑星科学専攻)

所内共同研究者

菅原 大助(災害リスク研究部門 低頻度リスク評価研究分野)

研究の概要

本研究では、災害研が所有する分析機器及び計算機を活用し、地質記録に基づく古津波の波源推定手法の高度化の検討を行う。申請者らによるこれまでの調査研究の成果を踏まえて計画したもので、学術面での顕著な進歩に加え、防災・減災への大きな貢献が見込まれる。

4 沿岸低地の微地形による津波挙動・土砂移動への影響の解明(新規)

研究代表者

髙清水 康博(新潟大学 災害・復興科学研究所)

所内共同研究者

菅原 大助(災害リスク研究部門 低頻度リスク評価研究分野)

研究の概要

現代における津波土砂移動と侵食・堆積の特徴を、古津波との比較から解明するため、南相馬市沿岸低地にて2011年東北沖津波堆積物と古津波痕跡の調査を行い、堆積物の特徴と分布データを取得する。既存試料と災害研設備を活用して津波堆積物の性状に関する高精度データを取得し、高井研究成果の創出と防災への貢献を図る。

5 津波襲来時の住民避難プロセス解明と人的被害ゼロにむけた教訓の抽出(新規)

研究代表者

牧野嶋 文泰(富士通研究所 人工知能研究所)

所内共同研究者

今村 文彦(災害リスク研究部門 津波工学研究分野)

研究の概要

東日本大震災で見られた津波の危険を認識しながらも逃げないという行動には、正常化の偏見等の認知バイアスに加え、複雑な社会・心理的要因が影響している。本研究では、石巻市での100件以上に及ぶ詳細な聞き取り調査結果を、AI技術も駆使して包括的に解析、複数の避難者に共通する行動原理を解明し、教訓として発信する。

6 津波統合モデルを用いたマルチシナリオハザード評価手法の確立(新規)

研究代表者

有川 太郎(中央大学 理工学部)

所内共同研究者

山下 啓(地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門)

研究の概要

過年度まで行ってきた津波統合モデルを用いて、非地震性津波を含めた津波氾濫・土砂移動・漂流物移動のマルチシナリオハザード評価手法の確立を目指す。その際、砂・シルトによる密度変化に伴う波力の増大、漂流物の不確実性の影響を加えたモデルの構築を行うとともに、地形データ等の共有化を図り、モデルの普及に資する。

災害医学・医療

1 放射線災害で想定される慢性放射線被ばくストレスの定量 (継続)

研究代表者

盛武 敬(産業医科大学産業生体科学研究所)

所内共同研究者

千田 浩一(災害医学研究部門 災害放射線医学研究分野)

研究の概要

申請者らはこれまでに、i-STrap法を用いた血中抗酸化能の測定により、急性放射線被ばくの線量を事後に推定することに成功し、それをトリアージ指標として利用できることを明らかにした。本研究では、福島原発事故で問題となっているような慢性的な放射線被ばくにおいても、i-STrapによる被ばく線量の推定が可能かを明らかにする。

2  原子力災害によりサクラ樹皮に付着した含放射性セシウム粒子による被ばくリスク研究(継続)

研究代表者

杉浦 広幸(福島学院大学短期大学部保育学科)

所内共同研究者

千田 浩一(災害医学研究部門 災害放射線医学研究分野)

研究の概要

福島県北部を中心に、庭木表面に付着している放射性セシウムを含む不溶性汚染粒子(セシウムボール)について、イメージングプレート法とSEMを用いて調査する。それらの汚染粒子が、どの地域に、樹木のどの部位・樹種にどのくらい不着しているかを調査する。得られた調査結果から、汚染粒子の吸引等による取り込みによる被ばくリスクを予想する。

3 被災ニホンザルを用いた慢性複合放射線被ばく者外挿モデルの構築(新規)

研究代表者

三浦 富智(弘前大学 被ばく医療総合研究所)

所内共同研究者

鈴木 正敏(災害医学研究部門 災害放射線医学分野)

研究の概要

原爆被爆者や高自然放射線地域住民における染色体転座法による被ばく線量評価では、個人の外部被ばく線量と内部被ばく線量の詳細が不明である。本課題では、放射線慢性被ばく事故時にヒト線量評価に外挿可能なモデル構築を目的とし、ニホンザル慢性被ばくモデルを用いて転座発生頻度における被ばく形態の影響を研究する。

4 CBRNE災害後の間接的健康被害測定指標に関する研究(新規)

研究代表者

越智 小枝(東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座)

所内共同研究者

江川 新一(災害医学研究部門 災害医療国際協力学分野)

研究の概要

大災害後の後には精神的ストレスや大幅な環境変化により多くの間接的健康被害が起こり得る。これらの被害は事前に評定法を定め、継時的評価を行うことで早期発見・早期介入が可能である。本研究は文献レビューと専門家レビューにより災害横断的な間接被害の評価指標を作成し、東日本大震災時の実データを用いて評価する。

5 経時活動記録のテキストマイニングによるリアルタイム災害対策予測法の確立(新規)

研究代表者

田代 雅実(福島県立医科大学 新医療系学部設備準備室)

所内共同研究者

稲葉 洋平(災害医学研究部門 災害放射線医学分野)

研究の概要

災害時の医療活動で作成される、経時活動記録をテキストマイニングによって分析を行い、経時活動記録の単語の使用頻度や傾向、相関関係などの特徴を取得する。様々な災害の経時活動記録を解析することによって、災害対応時にリアルタイムに需要を予見し対策を講じることを目標とする。

6 身体的弱者の避難生活でのリスク低減とQOL向上を目的とした産学共同研究(新規)

研究代表者

坪内 暁子(順天堂大学大学院 医学研究科研究基盤センター)

所内共同研究者

佐藤 健(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

基礎疾患患者・高齢者・妊婦等身体弱者にとっての避難生活は、健常者以上に不自由で、しかも重症化や死亡のリスクが高まる状況といえる。本課題恵は、新宿区の成城学校避難所地域住民や生徒の協力を得て、整形外科分野の問診時に用いられる痛み等の評価表形式で調査を行い、災害ベッドや災害製品の検討を進める。

7 COVID-19感染のストレスにおける心的脆弱性の検出とその改善に関する研究(新規)

研究代表者

福田 雄(ノートルダム清心女子大学 文学部)

所内共同研究者

門廻 充侍(災害リスク研究部門 津波工学研究分野)

研究の概要

本研究は、自然災害の被災者のストレス脆弱性の検出と、それを改善する「社会的つながり」の有効性を検証することを目的とする。新型コロナウイルスCOVID-19蔓延下でストレスがかかっている日本のWebモニター者を対象として、過去の被災状況とともに心理状態、社会的つながりの情報を収集し、相関性を検出する。

防災人材育成学

1 避難訓練の持続可能な評価・改善に向けた学校・行政・研究者による協働モデル構築(継続)

研究代表者

林田 由那(宮城教育大学)

所内共同研究者

佐藤 健(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

本研究は、宮城県の公立学校において実施されている避難訓練について、学校・行政・研究者の協働により共通の評価の指標を開発し、当該指標に基づき県内全校・園の避難訓練を評価し、更にそれを三者が平素から協働し持続可能な形で改善していくことで、学校を拠点に地域の防災人材の育成に寄与することを目指すものである。

2 学校区の災害リスク理解のための地図を活用した教員研修・評価モデルの開発(継続)

研究代表者

桜井 愛子(東洋英和女学院大学国 際社会学部)

所内共同研究者

佐藤 健(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

本研究では、地形図、ハザードマップ、災害記録アーカイブ等を活用した学校区の災害リスク理解のための教員研修/評価モデルを開発する。教員が学校区の災害リスクを理解することは、地域に根差した学校防災の必須要件である。研修経験を学校防災の改善に活用することににより、実践的学校防災の推進に寄与することを目指す。

3 震災復興に寄与する災害を生きる力因子とその原理の解明(継続)

研究代表者

本多 明生(静岡理工科大学 情報学部情報デザイン学科)

所内共同研究者

杉浦 元亮(人間・社会対応研究部門 災害認知科学研究分野)

研究の概要

大規模災害では、復興事業の長期化に伴い、被災者間で生活再建のスピードに差が生じる傾向がある。本研究は、東日本大震災被災者の住宅再建に寄与した災害に生きる力因子(Sugiura et al., 2015)を検討し、その災害を生きる力因子が住宅再建になぜ寄与するのかという原理の説明をパーソナリティ心理学の見地から行う。

4 災害時要配慮者の避難移動・避難生活・生活再建の各過程をヨコ串にした災害時ケアプラン作成・実施のための福祉防災人材育成プログラムの開発と実践(継続)

研究代表者

立木 茂雄(同志社大学 社会学部)

所内共同研究者

佐藤 翔輔(人間・社会対応研究部門 防災社会システム研究分野)

研究の概要

被災者向けに開発した現行の生活再建支援システムを、被災前の高齢者や障がい者などの要配慮者の災害時ケアプランづくりにも活用できるデータベースにアップグレードし、「3.11からの学び」や「震災教訓文献」、今後蓄積されていく対応事例などからのエビデンスに基づいた福祉防災人材育成研修プログラムを開発する。

5 被災地の学校における心のケアと防災教育の融合プログラムの有効性と課題 -東日本大震災と北海道胆振東部地震被災地での実践から(継続)

研究代表者

冨永 良喜(兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科)

所内共同研究者

定池 祐季(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

本研究では、東日本大震災と胆振東部地震の被災地における心のケアと防災教育を融合した授業実践の有効性と課題を明らかにする。申請者らは東日本大震災以降当該プログラムの開発と実践に携わっており、アンケート調査と面接調査から個々の評価と被災地間の比較を行い、より汎用的なプログラムへと発展させることを目指す。

6 地域住民によるワークショップを通した災害情報のアーカイブ化を行う防災教育プログラムの開発(継続)

研究代表者

森 太郎(北海道大学大学院 工学研究科)

所内共同研究者

定池 祐季(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

本研究では、地域に内在化する災害に関する生活知を共有し伝承する仕掛けとして、地域住民が参加し資料調査とまちあるき、マッピングとlocalwikiの更新をセットとした「災害Wikipediaタウン」というワークショップの手法を開発し、その有効性を明らかにする。

7 教員免許状更新講習を利用した学校教員による防災教育の促進と有効性の評価(新規)

研究代表者

植木 岳雪(千葉科学大学 危機管理学部)

所内共同研究者

遠田 晋次(災害理学研究部門 活断層研究分野)

研究の概要

学校教員を対象とした教員免許状更新講習「紙芝居と人形劇による幼児・児童向けの防災教育」を秋に2回開催する。講習後に受講生に追跡調査(アンケート,ヒヤリング)を行い、講習の内容を生かした防災教育の活動を学校で行ったかどうかを調査することによって、学校における防災教育の促進のための教員免許状更新講習の有効性を評価する。

8 千島海溝南部超巨大地震の事前復興計画策定に向けたアクションリサーチ(新規)

研究代表者

高橋 浩晃(北海道大学大学院 理学研究院)

所内共同研究者

定池 祐季(情報管理・社会連携部門 災害復興実践学分野)

研究の概要

地震調査研究推進本部は、千島海溝南部で超巨大地震発生が切迫していると評価した。南海トラフ地震想定被災地に比べて、北海道では事前復興計画の前例がない。本研究では、東北津波被災地を参考とし、積雪寒冷地等の地域特性を反映した北海道太平洋沿岸自治体での事前復興計画策定に向けたアクションリサーチを展開する。

9 防災対応力向上のための教材・講座の効果検証に基づく防災教育の体系化(新規)

研究代表者

小山 真紀(岐阜大学 流域圏科学研究センター)

所内共同研究者

柴山 明寛(情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野)

研究の概要

防災に関わる多様なプログラムを整理し、体系化することで、その実施(対象・設えなど)と獲得できる能力、学校教育における教育体系及びカリキュラムとの関係の整理を行い、目的(獲得した能力やゴール)に応じた、適切なプログラム設計と実施を可能にする。合わせて、オンライン対応の防災ワークショップの開発も行う。

10 遺構と瓦礫のあいだ-移行期被災地における残存構造物記録方法の開発-(新規)

研究代表者

高原 耕平(ひょうご震災記念21世紀研究機構)

所内共同研究者

ゲルスタ ユリア(情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野)

研究の概要

2020年現在も、被災地には流出した家屋の基礎部などが多く残存している。これらは永久保存されないけれども、他方で地域住民や外部者に出来事のさまざまな記憶を呼び起こす、いわば遺構と瓦礫の中間的な存在である。こうした残存構造物を記録する方法を、奥尻島と石巻市での住民参加型フィールドワークを通じて開発する。

11 減災絵本の実証的ならびに脳科学的研究-保育者対象のアンケート調査と短期大学生を被験者とするNIRS分析から-(新規)

研究代表者

田久 昌次郎(いわき短期大学 生涯教育研究所)

所内共同研究者

今村 文彦(災害リスク研究部門 津波工学研究分野)

研究の概要

昨年度共同研究により幼児向け減災絵本制作に取組んだ。制作主体は学生サークルで行い、就職園の子どもへの披露を目標に、出版に至ったことは成果である。本年度共同研究では、減災絵本の教育効果について、幼稚園等の園児を対象に観察調査を行うとともに、近赤外分光法装置を用いた脳科学的機能分析の基礎的研究を行う。

災害科学の発展に寄与するその他の研究

1 蔵王・御釜における水・熱・化学物質収支から見た地下水流動系の解明(継続)

研究代表者

知北 和久(北海道大学 北極域研究センター)

所内共同研究者

三浦 哲(災害理学研究部門 火山ハザード研究分野)

研究の概要

2013年以来活動度の高い状態が続いている蔵王山で、現在は活動がないとされる火口湖「御釜」の水・熱・化学物質収支を定量的に求め、地下水系の動的状態を探る。これにより、現在および今後の蔵王火山の活動度評価に資するとともに、物理観測で得られた地下構造との対比や、発生が懸念される火山泥流の検討に有用な情報を得る。

2 東日本太平洋側に冷夏をもたらす気候場の長期復元に向けた基礎研究(継続)

研究代表者

市野 美夏(情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文オープンデータ共同利用センター)

所内共同研究者

佐藤 大介(人間・社会対応研究部門 歴史資料保存研究分野)

研究の概要

東日本太平洋側では、「やませ」などの北東流の影響による冷夏が凶作などの被害をもたらすことがある。東北太平洋側の歴史資料に記録された天気情報と気象災害を利用し、天気情報を気象数値予報モデルでデータ同化し、水戸で低温傾向がみられた1857年および1858年夏季の気候場復元を目指す。

3 大変形までを対象とした堤防破堤挙動を可能とする数値解析手法の確立(新規)

研究代表者

小高 猛司(名城大学 理工学部)

所内共同研究者

寺田 賢二郎(地域・都市再生研究部門 計算安全工学研究分野)

研究の概要

本研究では、河川水の浸透から大変形(崩壊)に至る河川堤防の浸透破壊現象を対象として、模型実験と数値解析を駆使し、メカニズムの解明を行う。目的は現象の再現ではあるが、地盤工学、計算工学、河川工学の専門家が集結し、最終的に実河川を視野に入れた境界条件での解析を目指し、堤防評価に発展しうる知見を提供する。

4  重力測定を用いた伏在断層の連続性の評価(新規)

研究代表者

岡田 真介(岩手大学 理工学部)

所内共同研究者

岡田 知己(災害理学研究部門 地震メカニズム研究分野)

研究の概要

活断層は地下の地質構造に変位や変形を与える。これにより地表で観測できる重力は、わずかに変化している。複数の測線において精密に重力測定し、平野下に分布する活断層の連続性を追跡し、評価する。活断層の長さは、発生させる地震規模を特定する上で重要であり、防災・減災にも資する。

 

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