東北大学災害科学国際研究所の使命は、東日本大震災における調査研究、復興事業への取り組みから得られる知見や、世界をフィールドとした自然災害科学研究の成果を社会に組み込み、複雑化する災害サイクルに対して人間・社会が賢く対応し、苦難を乗り越え、教訓を活かしていく社会システムを構築するための「実践的防災学」の体系化とその学術的価値の創成である。
そこで、東北大学の英知を結集して被災地の復興・再生に貢献するとともに、国内外の大学・研究機関と協力しながら、自然災害科学に関する世界最先端の研究を推進するために、特定プロジェクト研究の募集を行った。
特定プロジェクト研究は、東北大学災害科国際研究所内で推進する【拠点研究】と、所外の者等で推進する【共同研究】がある。ここでは、平成24年度特定研究プロジェクトとして採択された研究課題を掲載する。
源栄 正人(災害リスク研究部門・地域地震災害研究分野)
大野 晋、柴山 明寛
三辻 和弥(山形大学)、萩原 由訓(大林組)、Ulziibat MUNKHUU(モンゴル科学アカデミー)、Erdene GANZORIG(モンゴル科学技術大学)、Michael PENDER(オークランド大学)
東日本大震災における早期地震警報システムの実態と観測記録に基づく適用性の検証を行うとともに、宮城県内複数の公共建築物に構造ヘルスモニタリング機能を有するリアルタイム地震観測装置を設置し、伝播経路の途中にある観測点の地震波形情報を共有化するネットワークを構築する。これらにより高精度なリアルタイム地震動予測を可能とする次世代早期地震警報システムの開発を行う。100万都市仙台や宮城県内陸部の都市や産業施設の地震対策に供する次世代型地域版早期地震警報システムを構築し、その利活用を図るとともに、モンゴルとニュージーランドへの技術移転のための交流を行う。
今村 文彦(災害リスク研究部門・津波工学研究分野)
平川 新、今井 健太郎、菅原 大助、佐藤 翔輔、蝦名 裕一
後藤 和久(千葉工業大学)、原口 強(大阪市立大学)、佐々木 幹夫(八戸工業大学)
東日本大震災の大津波と同規模だったとされる1611(慶長16)年の慶長奥州地震による津波については科学的に不明な点が多い。仙台湾沖の境界型地震とそれに伴う三陸沖の「アウターライズ(海溝外側)地震」によって生じた可能性が高いとするが、否定する学説もある。本研究は、この地震津波の影響を三陸に止めることなく奥州とし、従来見逃されている歴史資料の再考、さらに、沿岸各地での津波痕跡調査の実施を行い、地震と津波の発生メカニズムの解明を文理融合の研究チームにより行い、その成果を新しいデータベース構築に生かすことを目的とする。
越村 俊一(災害リスク研究部門・広域被害把握研究分野)
Erick Mas
柴崎 亮介(東京大学)、松岡 昌志(東京工業大学)、Joachim Post(ドイツ航空宇宙センター)
数値シミュレーション・リモートセンシング・ジオインフォマティクスを融合した新しい「広域被害把握技術」の基盤を構築する。巨大地震発生直後からリアルタイムで津波被災地を探索して人的被害・建物被害を推計、発災後24時間を目途に生存者捜索、被害把握を実施し、その結果を国際社会に開示して災害救援活動に利用することを目標とした広域被害把握技術の体系を構築する。国際的標準化も視野に入れた、技術の社会実装の要件を明らかにする。
佐藤 源之(災害リスク研究部門・広域被害把握研究分野)
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藤澤 敦(東北大学埋蔵文化財調査室)、金田 明大(奈良文化財研究所)、土井 恭二(三井造船株式会社)、高橋 一徳(東北大学大学院理学研究科)
東日本大震災の津波被害により、宮城・岩手など東北各県の沿岸部の多くの市町村で住宅地の高台移転が計画されている。高台移転では移転用地の遺跡調査が条例により義務付けられているが、膨大な数の遺跡調査が必要となることから事業の遅延が危惧される。本研究ではまず地中構造や埋設物を可視化できる地中レーダを遺跡調査に用いることで、発掘必要性の検討や効率的な発掘作業の計画に役立てられることを実証する。そして自治体への技術供与などにより遺跡調査を効率化し、高台移転実現への貢献をめざす。また文化庁、奈良文化財研究所と協力し、継続的な文化財保護のための遺跡調査技術として地中レーダを地方自治体が利用できる仕組みを構築する。
杉浦 元亮(人間・社会対応研究部門・災害情報認知研究分野)
邑本 俊亮、佐藤 翔輔、今村 文彦
阿部 恒之(東北大学大学院文学研究科)、本多 明生(東北福祉大学)、野内 類(東北大学加齢医学研究所)、岩崎 雅宏(科学技術振興機構)
3.11震災では、被災・復旧・復興の様々な場面で、多くの人が様々な困難な状況をそれぞれの立場で克服してきた。本研究ではこの時発揮された「生きる力」について、様々な事例を包括的に分析し、状況・立場と認知特性との関係を脳内の情報処理特性にまで還元して、科学的な扱いが可能な一般論に整理する。これに基づいて、新しい防災・減災・復興のプロトコールを提案する。今年度は、被災者と復旧・復興当事者を対象に面接調査を行い、様々な困難克服事例とその背後に想定される個人の認知特性に関する見解を収集し分析する。
奥村 誠(人間・社会対応研究部門・被災地支援研究分野)
高橋 信、杉浦 元亮、島田 明夫、今井 健太郎、佐藤 翔輔
上原 鳴夫(東北大学大学院医学系研究科)、小貫 勅子(東北大学キャンパス計画室)、金 進英(東北大学大学院情報科学研究科)、本多 明生(東北福祉大学)
災害発生後の緊急対応の現場では、自治体やインフラ管理者、医療関係者等が判断し対応を決めていくが、被災実態や他主体の行動に関する情報が入手できないため、避難後の無人地域に支援物資を送るなどの不整合が生じる危険性がある。本研究ではこのような不整合を防ぐためには必要な情報交換と、被災状況下の実現可能性を、多主体が参加するゲーミング実験により検討する手法の開発を目指す。本年度は、自治体等からニーズを確認すること、ボーイング社の持つ実験技術を学び、災害対応型に発展させるための要件を整理すること、災害研新棟における実験施設の整備内容を検討して基本設計を行うこと、別途設備費で購入する機器を試行的に動作させて性能評価を行うことを目的とする。
海野 徳仁(災害理学研究部門・地震ハザード研究分野)
岡田 知己、今村 文彦、趙 大鵬、岩崎 俊樹
海田 俊輝(東北大学大学院理学研究科)、出町 知嗣(東北大学大学院理学研究科)、平原 聡(東北大学大学院理学研究科)、プリマ オキ ディッキ(岩手県立大学)、松田 浩一(岩手県立大学)
最新の3D映像技術であるMR(Mixed Reality)システムを用いて、実際には見ることができない、あるいは見ることが困難な現象(例えば、地球内部の震源分布、プレートの形状、津波、火山噴火、台風など)を表示する世界初の3D映像表示システムを開発する。各種の観測データやシミュレーション結果を3D表示することにより、自然災害を引き起こす様々な現象の発生機構の理解を深めることが可能となる。さらに、自然現象の内部にまで踏み込んでいくような疑似体験が可能となるため、子供たちが自然災害の発生の仕組みに興味を持ち、それを理解するための防災教育にとって非常に有効なツールとなることが期待できる。完成したシステムは災害科学国際研究所に展示して広く公開する。
今泉 俊文(災害理学研究部門・地盤災害研究分野)
中村 教博、岡田 真介
遠田 晋次(京都大学)、宮内 崇裕(千葉大学)、池田 安隆(東京大学)、楮原 京子(山口大学)、鈴木 毅彦(首都大学東京)、三輪 敦志(株式会社応用地質)、中島 秀敏(国土地理院)
東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)後に急変した地殻応力場の影響で、内陸活断層の活動性を再評価する事が求められている。仙台以南?福島常磐地域を対象に、この地域の活断層の詳細位置・形状を調査する。また、ボーリング調査・トレンチ調査などによって、変位様式・活動履歴・変位速度など活動性を解明し、長町利府断層と双葉断層の相互の関係を明らかにする。
服部 俊夫(災害医学研究部門・災害感染症学分野)
臼澤 基紀、ホルロC-Y、白鳥 ベアタ
デイニル.プシュパラール(東北大学大学院国際文化研究科)、トムルンジン(エーテボリ大学)、ハンス・オーグレン(エーテボリ大学)、慶長 直人(国立国際医療研究センター研究所)、鈴木 定彦(北海道大学)、杉本 千尋(北海道大学)、Elizabeth Telan(SACCL)、Bachti Alisjahbana(パジャジャラン大学)、Andros Theo(ザンビア大学)、Moonga Mwanamwela(NMCC)、張 暁燕(復旦大学)、凌 虹(ハルピン医科大学)、Jason D. Barbour(ハワイ大学)、Lishomwa Ndhlovu(ハワイ大学)
復興と併せて保健特に感染症の対策は教育された人手の増加が緊急の課題で、特に新興国では人材育成が大事である。東北大学のhuman security(医学系)マスターコースでは英語で感染症・災害を含めた公衆衛生の課題を教育している。本予算を用いて教育の充実と研究の強化を行う。災害における感染症対策は、resource limitedな状況での感染症対策を基本とする。対象としては蚊媒介感染症 人獣共通感染症 が災害直後の感染症としてあげられる。その後長期化した、被災者の密集した生活環境での顕在性結核症・インフルエンザ・ノロウイルスの早期発見としてのLAMP法の開発実施を行う。また被災者の中での発症危険者を早期に発見するためのバイオマーカー、免疫機能検査を行う。
富田 博秋(災害医学研究部門・災害精神医学分野)
兪 志前、小野 千晶、佐藤 翔輔、柴山 明寛、今村 文彦
小林 奈津子(東北大学病院)、吉田 弘和(宮城県子ども総合センター)、金 吉晴(国立精神・神経医療研究センター)、中島 聡美(国立精神・神経医療研究センター)、Edna Foa(ペンシルバニア大学)、Katherine Shear(コロンビア大学)、Marylene Cloitre(ニューヨーク大学)
災害後の急性期や復興期に地域の中で災害関連精神疾患への罹患者を把握し支援していく体制整備のあり方の検討は重要であり、同時に難しい課題であった。本研究は申請者らがこれまでに取り組んできた住民ベースでの精神保健実態把握を補完するため、(1)災害関連沿岸部医療機関への受診者を対象とする調査研究を行うこと、および、(2)被災地域での他の団体の精神保健活動情報をアーカイブすることにより、急性期や復興期に被災者や災害関連精神疾患への罹患者が如何に精神保健活動や医療機関を利用したかを分析し、災害関連精神疾患への支援体制整備のために有用な情報を抽出すると同時に、災害関連精神疾患者の病状評価に有用な指標を特定する。
伊藤 潔(災害医学研究部門・災害産婦人科学分野)
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三木 康宏(東北大学歯学部)、鈴木 貴(東北大学医学部)、笹野 公伸(東北大学医学部)、田中 創太(東北大学病院)
ストレスや生活環境は、女性の内分泌環境やホルモン依存性婦人科癌に関与する可能性がある。そこで震災に伴うストレスとその後の生活環境変化が、女性の内分泌動態や婦人科腫瘍の発生進展に与える影響を地域別(被災地とそれ以外)と時系列(震災前後)で検証する。婦人科悪性腫瘍では分子生物学・ホルモン動態からみた検討も行う。対象として宮城県の婦人科がん検診データ約12万検体および悪性腫瘍治療検体を用い、今回の事象と婦人科症状や疾患(特に悪性腫瘍)との関連性の解析から、震災に関連して発症する婦人科疾患の特徴の解明と防止策を検討する。
鈴木 敏彦(災害医学研究部門・災害医療情報学分野)
小坂 健
相田 潤(東北大学大学院歯学研究科)、千葉 美麗(東北大学大学院歯学研究科)、清水 良央(東北大学大学院歯学研究科)、高橋 温(東北大学病院)、篠田 壽(東北大学名誉教授)、福本 学(東北大学加齢医学研究所)
福島県および宮城県に在住するか、発災直後に居住していた幼小児を対象とし、永久歯列への交換過程で脱落する乳歯を十分な説明と同意のもとで収集する。それらの乳歯に蓄積した放射性物質を物理化学的・生物学的に評価することにより内部被曝歴を個体ごとに明らかにし、将来発症が危惧される疾患と原子力発電所災害による放射線の影響との因果関係を評価するための基礎資料を提供する。
小野田 泰明(情報管理・社会連携部門・災害復興実践学分野)
佐藤 健、平野 勝也、本江 正茂、今井 健太郎、姥浦 道生
佃 悠(東北大学大学院工学研究科)、北原 啓司(弘前大学)、野原 卓(横浜国立大学)
本研究は、震災で壊滅的被害を受けた石巻市市街地部を主な対象地として、質の高い空間の再・創生のための効率的効果的な事業、規制、誘導の実施に寄与することを目的として、都市の物的構成要素の再構築に必要な情報整備のための研究活動を行うと共に、そこで得られた情報等を活用した市役所・住民まちづくり組織等に対する復興まちづくりの実践的支援活動を、所内外の研究者等と連携しつつ行う。
大野 晋(災害リスク研究部門・地域地震災害研究分野)
源栄 正人
神山 眞(東北工業大学名誉教授)、三辻 和弥(山形大学)
仙台市内において、東日本大震災の面的地震動の推定を行い、主に公共施設の建物被害や地盤被害の調査結果を集約した上で、被害種別ごとに地震動特性と振動被害の関係について検討し、巨大地震災害における両者の関係を明らかにする。本研究で得られる結果は東日本大震災の複雑な振動被害の要因の解明に寄与するとともに、今後の都市の耐震性能向上のためのマイクロゾーニングの基礎資料となる。
真野 明(災害リスク研究部門・災害ポテンシャル研究分野)
有働 恵子、今井 健太郎
田中 仁(東北大学大学院工学研究科)、松本 秀明(東北学院大学)
2011年津波は、仙台海岸にある堤防を乗り越えて破壊し大きな被害を与えた。一方で、砂浜、海岸林、沿岸水路、微地形などの伝統的な地物は、その多くが破壊されたものの、災害軽減に効果があったとする証拠も見つかっており、地域再生計画にはこれらを組み合わせた多重防御の考え方が取り入れられている。これを受けて、本研究は、海岸堤防、砂浜、沿岸水路、海岸林、微地形からなる仙台海岸多重防御システムの2011年津波による破壊メカニズムを解明し、この多重防御システムによる被害軽減効果を定量的に評価することを目的とするものである。
菅原 大助(災害リスク研究部門・低頻度リスク評価研究分野)
今村 文彦
後藤 和久(千葉工業大学)、Bruce E. Jaffe(USGS)、Bruce Richmond(USGS)、Catherine Chague-Goff(ニューサウスウェールズ大学)、James Goff(ニューサウスウェールズ大学)
三陸沿岸では、確実性の高い古津波堆積物の報告が無く、仙台平野における貞観津波を含む古津波との関連は明らかでない。本研究では、岩手県陸前高田市および宮城県仙台市周辺において、国際的な協力関係のもと、高水準の津波堆積物調査・分析を行う。両地域の古津波履歴を対比することで、東北地方沿岸における巨大津波の波源域の時空間的分布を解明する。更に、堆積物データを基に古津波の水理特性を定量化する手法を高度化し、仙台平野から三陸沿岸における古津波の規模を明らかにする。
加藤 準治(地域・都市再生研究部門・地域安全工学研究分野)
寺田 賢二郎
京谷 孝史(東北大学大学院工学研究科)、Ramm Ekkehard(シュトゥットガルト大学)
先に起こった東日本大震災の特徴は、マグニチュード9.0 という日本観測史上最大の規模であることに加え、本震の地震動は東日本全域で6分以上、長周期地震動に至っては10分以上の長い揺れが継続したことである。このような背景から、構造物に加わる地震エネルギーを長い揺れの中でも時々刻々吸収する高性能な履歴型制震ダンパーの開発が期待されている。しかし、この課題を解決するための実験にかけられる時間とコストには限界があり、今後早期に実施される復興工事にも支障を来す恐れがある。そこで本研究では、実験の代わりに数値シミュレーションによりその実験を模擬し、さらにエネルギー吸収性能最大化を可能にする最適化手法の開発を行う。これにより、短期かつ低コストで、より高性能の制震装置の設計が可能となり、被災地の早期復興と防災、減災計画に貢献するものと期待する。
田所 諭(地域・都市再生研究部門・災害対応ロボティクス研究分野)
竹内 栄二朗
大野 和則(東北大学大学院工学研究科)、Vijay Kumar(ペンシルバニア大学)、Nathan Michael(ペンシルバニア大学)
インフラや大規模産業設備の高所の被災状況や老朽化の調査を目的とし、超小型飛行ロボットが構造物の壁や配管に留まりながら外観詳細検査を行えるための、ロボットの移動技術を研究開発する。飛行機能と構造物への固着離反機能の併用によって、風に対するロバスト性を確保し、カメラぶれ等を防止し、長時間の検査を可能にする。この技術によって、高所調査の大幅な時間短縮、安全化、低コスト化を図り、耐震補強や修繕等を進めやすくする。
内田 直希(災害理学研究部門・地震ハザード研究分野)
岡田 知己
太田 雄策(東北大学大学院理学研究科)、大久保 寛(首都大学東京)、松澤 暢(東北大学大学院理学研究科)、中島 淳一(東北大学大学院理学研究科)
大地震発生後のゆっくりすべりは、その隣接地域への応力集中により地震の連鎖を引き起こすことがある(例えばスマトラ島沖地震など)。東北地方太平洋沖地震後も地震後すべり(余効すべり)が観測されており、周囲の固着領域での地震の発生が心配される。本研究では地震後すべり・地震時すべりを、プレート境界で発生する小繰り返しの積算すべりと地殻変動データから迅速に推定する。具体的には地震波形データ、GPSデータを高速に処理するシステムを構築し、プレート境界でのすべりの準リアルタイムモニタリングを行う。
飯沼 卓史(災害理学研究部門・海底地殻変動研究分野)
藤本 博己、木戸 元之、長田 幸仁
太田 雄策(東北大学大学院理学研究科)、三浦 哲(東京大学)
福島県から茨城県にかけての沖合における海底地殻変動観測に対して、海上の音響測距装置の位置を決定するために必要となる陸上基地局を観測海域に近い地点に設けることによって、キネマティックGPS解析を行う基線を短縮し、測位精度の向上を図る。実際にデータを取得しての測位精度の評価を行うとともに、得られた海底地殻変動データから2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の解析を行う。
山崎 剛(災害理学研究部門・気象・海洋災害研究分野)
岩崎 俊樹
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数値気象予報モデルの高度利用手法を開発し、より正確な気象予測とそれに基づく気象災害の軽減を目指す。領域を絞った高解像度予報を行うダウンスケーリングの諸問題に取り組む。激しい大気現象の例として台風の数値シミュレーションを扱う。数値モデルの検証のため、青葉山キャンパスに自動気象観測装置を設置し、データをリアルタイムでIRIDeSのHP上に公開するとともに、学内外での研究、教育への活用を図る。
江川 新一(災害医学研究部門・災害医療国際協力学分野)
佐々木 宏之
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大規模災害時における災害保険医療コーディネーターは、発災前の準備、発災、発災後のタイムフレームにおいて保険医療衛生全体の災害対応活動の調整と指導を求められるが、十分に養成されているとはいいがたい。国内外の災害保険医療コーディネーター養成プログラムの情報を収集するとともに、養成プログラムの在り方に関するワークショップを開催し、戦略的に養成する方法を確立する。
栗山 進一(災害医学研究部門・災害公衆衛生学分野)
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菊谷 昌浩(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)、目時 弘仁(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)、小原 拓(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)、石黒 真美(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
調査疲れしている自治体や住民に新たな負担をかけず、小児の発育・発達を評価する指標として最も簡便かつ有用な指標である身長・体重を用い、被災地の子どもの発育・成長を当該市町村の産科医療機関診療録、乳幼児健診結果票を基に多角的に調査・分析する。これらの結果を基に、被災地の小児保健の向上を図ると共に、今後の災害時の小児保健に生かしていく。
柴山 明寛(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
今村 文彦、佐藤 翔輔、越村 俊一、Suppasri, Anawat
渡辺 日出雄(日本IBM)、立堀 道昭(日本IBM)、水科 良浩(国際航業株式会社)、南 幸弘(アジア航測株式会社)
本研究では、被災状況の実態把握及び津波被害関数の高度化、震災直後の即時被害把握の高度化を行うために、360度カメラ画像を用いた浸水域建物の被災度判定及び自動化技術に関する研究を行う。まず、360度カメラ画像から浸水域で被災した建物を目視判読により被災度判定をし、浸水域の面的な被災度分布の作成を行う。次にそこで得られた結果から建物被災度を自動判定するための技術開発を行う。自動判定に関しては画像からの自動認識と空間情報(航空写真、高精度DEM)、レーザ距離測位を組み合わせた自動判定を試みる。
福谷 陽(地震津波リスク評価寄附研究部門)
今村 文彦、Anawat Suppasri
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東北地方太平洋沖地震で得られた知見等を基に、日本国内主要各所における津波の沿岸波高等の津波ハザードを確率論的手法で評価し、各地域の防災施策の参考となるデータを構築する。
岡田 成幸(災害リスク研究部門・地域地震災害研究分野)
源栄 正人、柴山 明寛
山本 英和(岩手大学)、中村 晋(日本大学)
東日本大震災および余震における宮城県・岩手県・福島県の内陸被災地におけるアンケート調査に基づき、実際の被災状況をより反映した「震度」の分布を把握する。さらに、震度計測点での強震記録と周辺アンケート震度および建物の悉皆調査との対応を検討することで、器械観測に基づくより被害実態に対応する「計測震度」の算定方法を開発する。これにより、東日本大震災における揺れの実態を反映したより適切な地震動指標が提示され、将来の巨大地震における適切な初動対応への貢献が期待される。
今井 健太郎(災害リスク研究部門・津波工学研究分野)
今村 文彦
原田 賢治(静岡大学)、南 幸弘(アジア航測株式会社)
津波による海岸樹木の被害リスク評価の高度化のために、海岸樹木を対象とした現地実験を行う。1つは倒伏耐力実験であり、樹木の群生環境などを考慮した倒伏耐力の評価式の高度化を行う。もう一つは樹木構造に関する精密計測であり、海岸樹木に作用する流体力評価に重要な体積や表面積について、LP(レーザープロファイラ)技術を用いて精密計測を行い、群生環境などを考慮した黒松の体積・表面積概算式の高度化を行う。これらを統合することで、海岸樹木の被害リスク評価に大きく貢献することが期待される。
有働 恵子(災害リスク研究部門・災害ポテンシャル研究分野)
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本研究は、仙台海岸を対象として、2011 年津波を含む海岸災害ハザード(高波、高潮、海面上昇、津波)の砂浜侵食へのインパクトを、過去100 年間および2011 年津波前後の砂浜侵食解析、ならびに海面上昇による将来の砂浜侵食予測を通して、総合的に評価することを目的とする。本研究で解析する巨大津波被災前後の広域かつ詳細な砂浜データは世界的に類がなく、本研究成果は科学的に極めて貴重な知見であると同時に、今後の海岸管理に資する重要な教訓を国内外に提示する。
平川 新(人間・社会対応研究部門・歴史資料保存研究分野)
佐藤 大介、蝦名 裕一、天野 真志
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平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、被災した歴史資料は膨大な数にのぼる。被災状況も、津波による海水汚損からカビ・虫害などによる破損など、多種多様であり、これらの被害は今なお進行しつつある。本分野では、昨年の大震災発生以降、被災地における歴史資料のレスキュー活動を実施し、現在も日常的に被災資料のクリーニングや、下張り文書の解体などを実施している。本研究では、東日本大震災以来、これまで実践してきた被災歴史資料の応急処置技術や組織運営の成果と課題を整理し、大規模災害発生時における歴史資料保全システムの構築を目指すものである。また、本研究の成果を周知し、将来の大規模災害発生が確実視されている地域での歴史資料保全活動の展開に資することにしたい。
島田 明夫(人間・社会対応研究部門・防災法制度研究分野)
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牧原 出(東北大学大学院法学研究科)
今般の東日本大震災の実態に照らして、現行の災害対策法制が広域・大規模災害の実態に対応した適切な形の法体系になっているか否か、また、どこに問題点があるのか、その課題は何かについて、現地調査や各種の実態調査に基づいて実証的に研究することによって、現行法体制の問題点を洗い出し、それに即した必要な法改正等の方向についての研究を行う。
石坂 公一(地域・都市再生研究部門・都市再生計画技術分野)
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東日本大震災により被災した地域は都市から農漁村まで多岐にわたり、抱える地域課題と復興目標も多様であり、効果的な復興のためには地域の特性を十分に取り込んだ計画策定と事業実施が欠かせない。本研究は町丁目や基本単位区(50世帯程度)といった「小地域」単位での社会・経済データの推計手法を確立し、被災地域の地理的データと重ねあわせることで、従来の集計データによる分析では捉えられないミクロな地域レベルにおける地域特性を的確に把握し、より効果的な復興計画の策定を可能とするシステムを開発する。
姥浦 道生(地域・都市再生研究部門・都市再生計画技術分野)
平野 勝也
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本研究は、地区レベルの詳細かつ具体的な復興土地利用計画の策定が進められてきていることを背景として、第一にそのような復興土地利用計画を横断的に比較検討することを通じて、その基本的内容及び課題を網羅的かつ体系的に把握し、計画論的または制度論的解決策を探ること、第二に、それをハリケーンカトリーナ被災地の復興土地利用計画・規制及びその運用実態と比較することを通じて、我が国の復興土地利用計画に位相を明らかにすると共に、その有する課題の解決策の示唆を得ることを目的として、遂行する。
寺田 賢二郎(地域・都市再生研究部門・地域安全工学研究分野)
加藤 準治
京谷 孝史(東北大学大学院工学研究科)、樫山 和男(中央大学)、車谷 麻緒(茨城大学)
津波・洪水などによる流体力の作用するコンリート構造物の耐久性評価を意図して、節点ベース有限要素法を改良し、その動的破壊挙動の予測性能に関する検証を行う。将来的にはスパコン利用による大規模数値シミュレーションへの対応と流体・構造連成解析手法への展開も視野に入れているが、本申請における研究段階では、動的陽解法節点ベース有限要素法に適切な材料構成則と応力積分アルゴリズムを導出・実装して、流体力が既知外力として作用する際のコンクリート構造物の大変位・大回転を伴う破壊挙動のシミュレーションを行い、動的破壊現象の予測性能を検証するためのケーススタディを行う。
藤本 博己(災害理学研究部門・海底地殻変動研究分野)
木戸 元之、飯沼 卓史、長田 幸仁
日野 亮太(東北大学大学院理学研究科)、伊藤 喜宏(東北大学大学院理学研究科)
絶対変位を検出できるGPS音響結合方式の海底地殻変動観測と基線間の相対変位を精密に計測できる海底間音響測距観測の両方を同時に、かつ大深度海域で実施可能な機器を開発し、2011年東北地方太平洋沖地震の最大すべり域である海溝軸に設置し、海溝軸近傍での地震後の余効変動および再固着の状態を直接計測し、すべりが海溝軸まで達する海溝型超巨大地震の本質を明らかにする。
木戸 元之(災害理学研究部門・海底地殻変動研究分野)
藤本 博己、飯沼 卓史、長田 幸仁
伊藤 喜宏(東北大学大学院理学研究科)、日野 亮太(東北大学大学院理学研究科)、望月 公廣(東京大学)、小原 一成(東京大学)、Laura Wallace(テキサス大学)、Stuart Henrys(GNS Science)、Stephen Banister(GNS Science)、Bill Fry(GNS Science)
ニュージーランド北島東方沖のヒクランギ沈み込み帯において、海底圧力計(OBP)およびGPS・音響結合方式(GPS/A)と海底間音響測距方式による海底総合地殻変動観測を今後3カ年で実施する。これにより、同沈み込み帯で繰り返し発生するスロースリップに伴う地殻変動を観測し、スロースリップ域の詳細な空間的広がりを推定する。また、日本海溝との比較研究に基づき、津波地震による津波ハザードを評価する。
豊国 源知(災害理学研究部門・火山ハザード研究分野)
趙 大鵬、植木 貞人
竹中 博士(九州大学)
少ない計算時間やメモリで、火山の地形と強い内部構造不均質の効果を考慮して、現実的な火山性地震を再現できるシミュレーション手法の開発を行う。本手法は観測データを逆解析して、震源の位置・メカニズムといった火山噴火の予測や災害軽減に必要な情報を得る際の強力なツールとなる。またインフラサウンド等、大気-固体地球の相互作用で発生する波動現象の解析にも応用することができる。
中村 教博(災害理学研究部門・地盤災害研究分野)
菅原 大助
箕浦 幸治(東北大学大学院理学研究科)、後藤 和久(千葉工業大学)
環太平洋沿岸部は常に津波のリスクにさらされている。このリスク低減には、その規模と履歴を知ることが第一歩である。石垣島東岸には1771年明和津波によるサンゴ礁起源の津波石が堆積している。この津波は歴史書の記載と津波石の放射性炭素同位体比年代から、年代が明らかになっている。しかしながら、放射年代は津波でサンゴが剥ぎ取られた年代を知るのみで、定置にまでに経験した津波の履歴はわからない。そこで、地磁気を利用して、津波石の定置履歴を解明し、水理計算で検証することがこの研究の目的である。
岡田 真介(災害理学研究部門・地盤災害研究分野)
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池田 安隆(東京大学)
東北日本弧の地殻変形は、上部地殻では断層運動によって、下部地殻では粘性変形によって地殻全体が厚化しており、東北日本弧をアイソスタティックに支えている。東北日本では、背弧域に大きな地殻短縮量を生じていることがこれまでの研究によって明らかになってきた。しかし、前弧側の地殻変形量の詳細はまだ明らかになっていない。本研究では、東北日本弧全体の地殻変形を定量化すること、またそれらを西南日本弧と比較することにより、プレート沈み込みに伴う東北日本弧の造山運動の全体像をより鮮明に捉えようと試みる。
岩渕 弘信(災害理学研究部門・気象・海洋災害研究分野)
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早坂 忠裕(東北大学大学院理学研究科)
地上設置雨レーダーと衛星観測データを複合的に用いて、高精度の降水量を推定する手法を開発し、降水予測・評価の精度向上を目指す。レーダーと衛星観測データを用いて、対流雲と層状雲の識別を行い、降水の機構を考慮した降水量推定法を開発する。また、地上設置雨量計や衛星搭載レーダー、モデルによるシミュレーション結果と比較することで検証する。降水量の広域観測の精度向上によって、洪水や土砂崩れによる災害軽減・防止、および将来必要とされる水資源の最適な管理に役立つと期待される。
土屋 史紀(災害理学研究部門・宙空災害研究分野)
小原 隆博、三澤 浩昭
本間 規泰(東北電力株式会社)、佐藤 光輝(北海道大学)
落雷の位置とエネルギーの迅速な把握は落雷被害の早期復旧にかかせない。落雷エネルギー推定の実用化に向けた基礎研究として、落雷電流の直接観測と落雷に伴って発生する低周波(<300Hz;ELF帯)磁場変動観測との比較を行い、 (1)ELF磁場観測から推定した落雷エネルギーの妥当性の検証、(2)ELF磁場波形と落雷電流波形の比較から、両者の対応関係の経験モデルの構築、を実施する。
佐々木 宏之(災害医学研究部門・災害医療国際協力学分野)
江川 新一
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【背景と目的】東日本大震災では、急性期?亜急性期?中長期的医療支援において被災地域のニーズにあった人的・物的支援が効果的に行われたかどうかについて包括的評価の困難さが浮かび上がった。災害サイクルの概念にもとづき、今後、迅速且つ効率的な被災地医療支援を行うために、今回の震災で発生した医療ニーズと供給のバランスを測定・評価することを目的とする。【対象と方法】被災地の避難所・医療機関・役所における医療ニーズを急性期、亜急性期、中長期のそれぞれについて分析する。またニーズに対する供給に実態を検証する。アンケート調査とともに、震災時に入力されたデータの解析を行う。東北メディカル・メガバンク機構と共同して大学病院の各医局へのアンケートを行い、疾患ごとの医療ニーズの各期における特性を明らかにする。東北大学病院・中核病院からの被災地への医師派遣実態をあきらかにする。被災地で医療情報収集を基に、現在までに行われた(行われている)医療支援についての評価、問題点についての調査研究を行う。
千田 浩一(災害医学研究部門・災害放射線医学分野)
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武田 賢(東北大学大学院医学系研究科)、佐藤 行彦(東北大学大学院医学系研究科)、樫村 康弘(東北大学大学院医学系研究科)、八島 幸子(東北大学大学院医学系研究科)
原発事故を契機に国民の多くは、放射線に対して大きな不安を募らせている。その結果として、病院での放射線検査を拒む患者さえいる。これらの主要因は、放射線に関する誤った知識や情報整理が不十分であることが考えられる。さらに福島県内の病院では、原発事故の放射性降下物に起因したデジタルX線写真上に生じた黒点が問題となっており、医療被曝の懸念を助長する一因ともなっている。 そこで申請者等は、(1)放射線の基礎知識の普及啓発に関する研究、 (2)X線写真上に生じた黒点に関する研究、の2項目について研究する。
斎藤 昌利(災害医学研究部門・災害産婦人科学分野)
伊藤 潔
岡本 聡(東北大学病院)
宮城県の子宮がん検診受診率は全国一位であったが、大震災で検診体制は壊滅的打撃を被った。被災地での検診受診率は激減したが詳細は不明である。そこで震災により宮城県の婦人科がん検診体制がどのような影響を被ったかを、被災地のがん検診受診率の詳細や受診率減少の要因、復旧の障害事象という観点から検証する。対象として宮城県の婦人科がん検診データ計30万検体(震災1年前、震災年、震災後1年)を用い、被災地とそれ以外の地域での検診データを解析し、災害への備えをもつ新たながん検診システムのあり方を検討する。
佐藤 翔輔(情報管理・社会連携部門・災害アーカイブ研究分野)
今村 文彦、柴山 明寛、平川 新、越村 俊一、奥村 誠、石坂 公一、藤本 博己、富田 博秋、佐藤 健
阿部 恒之(東北大学大学院文学研究科)、渡辺 日出雄(日本IBM)
東北大学災害科学国際研究所では、東日本大震災アーカイブの構築を勢力的に行なっている。震災発生から現在までは、データや情報を収集し、保存・検索システムを構築しているが、震災の全体像の解明等の利活用の段階には至っていない。本研究は、本学で各研究者が保有している震災に関するデータ・情報のすべてを洗い出し、その内容分析を行い、学術機関である本研究所が開発・構築するアーカイブを、震災の全体像の解明に資する災害知識インフラとしての価値を創成できる可能性について探索することを目的とする。
佐藤 健(情報管理・社会連携部門・災害復興実践学分野)
源栄 正人、小野田 泰明、増田 聡、柴山 明寛
数見 隆生(東北福祉大学)、渡辺 正樹(東京学芸大学)、戸田 芳雄(東京女子体育大学)、南 哲(神戸大学)、藤岡 達也(上越教育大学)、村山 良之(山形大学)
本研究は、東日本大震災の被災地における教育分野における復興支援、および国内外に対する学校の災害危機管理の高度化に向けた情報発信を行うことを目的とする。具体的には、研究代表者が中心となってこれまで実施してきている「東日本大震災における学校等の被害と対応に関するヒアリング調査」に基づき、リスクマネジメントとクライシスマネジメントの両面から、学校における防災管理と防災教育の高度化、および災害危機管理学の構築に向けた学際的研究を行う。特に、児童・生徒の命を守るための新たな防災教育モデルの構築が喫緊の社会的ニーズとなっている状況において、教育現場の防災主任等との連携に基づいた実践的研究に重点を置く。さらに、ヒアリング調査結果は記録集(第三版)として発刊し、研究成果の教育現場への積極的な還元を行う。
本江 正茂(情報管理・社会連携部門・災害復興実践学分野)
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阿部 篤(せんだいスクール・オブ・デザイン)、遠藤 和紀(宮城大学)
本研究は、災害に関する研究を対象とし、災害教訓の継承および研究成果のアウトリーチに寄与する目的で、研究データの視覚化手法の調査開発の研究活動を行うとともに、それを活用した実践的な表現形式による発信活動を、所内外の研究者・専門家等と連携しつつ行う。
Anawat Suppasri(地震津波リスク評価寄附研究部門)
今村 文彦、越村 俊一、安倍 祥、Erick Mas
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本研究では、巨大津波に対応できる避難計画構築のため、避難場所・避難路の妥当性、避難所要時間、避難時のリスク等を総合的に評価する手法の開発に取り組む。東日本大震災やスマトラ沖地震津波等の既往災害における避難実態と課題を踏まえ、津波避難シミュレーションの活用による避難場所・避難ビル等の適正配置検討や、避難路の経路安全性確認を組み合わせ、津波避難計画策定手法の高度化を図るための基礎研究を行う。
安倍 祥(地震津波リスク評価寄附研究部門)
平川 新、今村 文彦、佐藤 翔輔
首藤 伸夫(東北大学名誉教授)、谷口 宏充(東北大学名誉教授)、宮城 豊彦(東北学院大学)、三橋 勇(宮城大学)、福留 邦洋(東北工業大学)
東日本大震災の被害や経験・教訓等を後世に伝承するため、被災建物等の実物を「震災遺構」や「震災遺物」として保存することについて、その意義や学術的・歴史的な意味、保存と活用による効果および配慮すべき等を整理して明らかにするとともに、震災の伝承方法を検討する。被災地方公共団体等への調査および一般からの情報収集により、震災遺構・遺物として保存の声がある施設・建物等を把握しデータベースを構築する。