研究・実践

南海トラフ地震臨時情報プロジェクト

 
 南海トラフ地震は、およそ100〜150年の間隔で繰り返し発生してきました。昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(1946年)から75年以上が経過し、「次」の南海トラフ地震の発生が懸念されています。ひとたび地震が起これば、国難とも形容されるほどの大被害が予想されていることから、地震への対策や備えが進められています。
 
 2013年5月に公表された国の報告書では、地震の発生時期等を確度高く予測することは一般的に困難であることとともに、「プレート間の固着状態に普段と異なる変化が観測されている時期には、不確実ではあるが、地震が発生する危険性が普段よりも高まっている状態にあると考えられる」と記載されました(1)。この報告書以降、国での検討が進められ、2019年5月より、南海トラフ地震臨時情報(以下、臨時情報)の提供が開始されました。この臨時情報発表の仕組みでは、マグニチュード7.0以上の地震が発生するか、異常なゆっくりすべりが観測されて、南海トラフ域で地震発生の可能性が平時に比べて高まったと評価された場合に、気象庁より「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」または「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されることとなっています。
 
 私たち東北大学災害科学国際研究所では、国での検討状況と呼応するように、2016年12月から2018年2月にかけて、不確実性を含む地震発生の見通しに関する情報を社会がうまく活用し防災・減災につなげられるのか、また、それにはどのような対応が必要なのか、ということをテーマに、有志による勉強会を行いました(2)。さらに、2019年から2022年には、セコム科学技術振興財団から助成をいただき、地方公共団体や企業などの組織の実効的な対応計画の作成を支援するための知見や処方箋などを詰め込んだパッケージを開発し、社会への浸透を図ることを目的とした研究プロジェクトを実施しました。
 
 本研究の成果が、南海トラフ地震による災害リスク軽減の一助となれば幸いです。

【プロジェクト成果物】

 南海トラフ地震臨時情報発表時における組織の対応計画作成支援パッケージ(2023年3月改訂)

【プロジェクト概要】

助成機関 セコム科学技術振興財団
研究実施機関 2019年1月〜2022年3月
課題名
南海トラフ地震の事前情報発表時における組織の対応計画作成支援
パッケージの開発
研究プロジェクトメンバー(肩書は2022年3月時点)
研究代表者 福島 洋  東北大学災害科学国際研究所 准教授
現象評価研究班 木戸 元之 東北大学災害科学国際研究所 教授
越村 俊一 東北大学災害科学国際研究所 教授
日野 亮太 東北大学大学院理学研究科 教授 災害科学国際研究所兼任
太田 雄策 東北大学大学院理学研究科 准教授 災害科学国際研究所兼任
福島 洋  東北大学災害科学国際研究所 准教授
対応行動体系化班 丸谷 浩明 東北大学災害科学国際研究所 教授
今村 文彦 東北大学災害科学国際研究所 教授・所長
佐々木宏之 東北大学災害科学国際研究所 准教授
寅屋敷哲也 人と防災未来センター 主任研究員
社会影響研究班 奥村 誠  東北大学災害科学国際研究所 教授
杉浦 元亮 東北大学災害科学国際研究所・加齢医学研究所 教授
森口 周二 東北大学災害科学国際研究所 准教授
中鉢奈津子 東北大学災害科学国際研究所 特任准教授
平野 香南 東北大学災害科学国際研究所 学術研究員
【活動紹介】
 
 
 

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